ブータンに関する本や雑誌に書かれているのは、ほとんどがぼんやりとした「美しい国」というイメージだが、実際のブータンは全然違うと著者の高野氏は言う。
「山の奥深くには『チュレイ』という悪霊じみた物の怪、『毒人間』と呼ばれる謎の一族、恐怖の『首切り人』が跋扈し、人々は神隠しや人形をつかった土俗的な祈祷、占術などを深く畏怖してくらしている。その一方で、英語を公用語とし、環境と文化の維持などを実施し、高度に人工的な国家を作っていた。まるでSFのような国だったのだ!!」。
ワンチュク国王、GNPよりGNH(国民総幸福量)、生物多様性の聖地、環境立国、雪男……、あなたの知りたいブータンの秘密がすべて解き明かされる、入門書としても最適なエンターテインメント・ノンフィクション!
高野秀行(たかの・ひでゆき)
1966年東京都生まれ。早稲田大学探検部時代に書いた『幻獣ムベンベを追え』でデビュー。92~93年にはタイ国立チェンマイ大学日本語学科で、08~09年には上智大学外国語学部で、それぞれ講師を務める。著書に『巨流アマゾンを遡れ』『異国トーキョー漂流記』『ミャンマーの柳生一族』『アヘン王国潜入記』『アジア新聞屋台村』『腰痛探検家』『辺境中毒!』(以上集英社文庫)ほか、『西南シルクロードは密林に消える』(講談社文庫)『世にも奇妙なマラソン大会』(本の雑誌社)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)など多数。『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)で第一回酒飲み書店員大賞受賞。