RENZABURO
感動の映画化原作 アカデミー賞®主要4部門ノミネート ゴールデン・グローブ賞ノミネート
アイルランドとアメリカ。離れ離れになって50年近くお互いを探し続けた母と息子の信じられないような本当の話 書評 佐藤友紀(ジャーナリスト)
あなたを抱きしめる日まで 3月15日(土)感動のロードショー
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映画『あなたを抱きしめる日まで』3月15日(土)、全国公開

あなたを抱きしめる日まで
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あなたを抱きしめる日まで

1950年代、アイルランド。
未婚のまま妊娠したフィロミーナは“堕落した女”というレッテルを貼られ修道院に収容される。院で出産した息子アンソニーを精一杯愛するが強制的にアメリカへ養子にだされてしまう。その後、結婚して、娘を出産し、新しい人生を歩むのだが、息子が忘れられないフィロミーナは50年間捜し続ける。
そしてついに、アンソニーの行方をつきとめるのだが……。
マーティン・シックススミスの原作は
ひとりの女性の哀しみを、
淡々とした筆致でていねいに描いている。
Independent on Sunday


書評 book review

佐藤友紀 (ジャーナリスト)

『青春と読書』2月号より

 アンソニーの件がなければ接点など何もなかったはずのフィロミナとマーティンの、一見珍道中にも映るアメリカ行きが面白い。必死で息子の消息を尋ねながらも、マーティンのプライベートを少しずつさぐっていく辺りが普通のおばちゃん然としていたり。緊迫感の中にも、ファニーとしか言いようのないおかしさがあって、こちらをホッとさせる。この点については、監督のフリアーズも、マーティンを演じながら共同脚本も手掛けたスティーヴ・クーガンもそしてジュディ・デンチ本人も、「悲しい話は、″悲しいだろう〟と押しつけるだけではダメだ。シックススミスの原作がそうであるように、おかしさも加えることで、より人間らしさが描けるのだから」と語っているように、本作の一番の成功の秘訣だろう。
 実は、原作ではかなりのページを割いて、アメリカに連れていかれたアンソニーの成長ストーリーが記されている。それこそ「事実は小説より奇なり」を地で行くような、彼の数奇な運命には息を飲むしかないが、トニー・クシュナー著の『エンジェルス・イン・アメリカ』にも描かれた、あの時代のアメリカの政治、個人の性癖、性生活、そして・・・・・と1人のアイルランド女性の人生が、よりスケールの大きなエピソードに広がっていくのが興味深い。



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