定価:1,100円(本体)+税
版型 四六版ソフトカバー
装丁 松田行正+日向麻梨子
ISBN:978-4-08-771586-6

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職場で浮いていませんか? 下記に当てはまったら、あなたは要注意リーダーです。

□部下が相談してこない。
□自分が行くとトイレ内の女子同士の会話が止む。
□お茶や食事の誘いに乗ってこない。
□エレベーターが同じになるのを避けられている気がする。

内容紹介
既婚未婚、子供の有無に関わらず、働く女性がキャリアを重ね、男性の補佐的な立場に留まらず、部下を持つ立場になることも増えつつある。しかしながら、周囲にモデルとなるべき女性リーダーが少ないことも事実。大企業の課長、コンビニのまとめ役等々、チームの規模は違っても、自分がリーダーになったときに、とるべき行動、言動、心構えとは。ベストセラー『感情の整理ができる女(ひと)は、うまくいく』の著者が、自らの豊富な仕事体験をもとに、<女性の仕事術>を伝授!

本書の目次
第1章 コミュニケーション術
□「ありがとう」を心から言っていますか?
□声にドスを利かせていませんか?
「だから? なに?」「~してって言ったよね」こんな言葉を、低い声で、部下や同僚に投げかけていたら要注意。声の調子や話し方で、同じこともまったく違った印象に聞こえることを肝に銘じましょう。
□乱暴に受話器を置いていませんか?
□謝罪ではなく言い訳をしていませんか?
□小さなことで大騒ぎをしていませんか?
□自分の話ばかりしていませんか?
座持ちで会話をまわしているつもりが、周囲はあなたの「自分話」にぐったりしているかもしれません。七割聞いて三割話すくらいがちょうどいいと、心にとめておきましょう。会話上手とは話し上手ではなく、聞き上手のことなのです。
□メールチェックばかりしていませんか?
□正論を振りかざしていませんか?
□若者言葉や流行語をむやみに使っていませんか?
□食事やお酒に執拗に誘っていませんか?
ほとんどの部下にとって上司との会食は「仕事」でしかありません。一度断わられたら時間をたっぷり置いてから誘う、くらいのつもりでいましょう。上の立場からの誘いほど、断わりにくいものはありません。食事中も部下は「早く終わらないかな」とばかり思っていることを想像してください。
□嫌われるものの言い方をしていませんか?
□会話美人になっていますか?
□対等な振る舞いができていますか?
□仕事相手、スタッフの名前を呼んでいますか?
□過去の仕事のつながりを断っていませんか?
□大声や大げさな笑い声をたてていませんか?
中年女性の甲高い笑い声、場にそぐわない大きな声ほど、耳障りなものはありません。まして職場でデスクにいるということは、部下は仕事をしているということ。その客観性のなさが、部下の気持ちを離れさせることを自覚しましょう。
第2章 セルフコントロール術
□〝一人時間〟を持っていますか?
□時間を守っていますか?
□ため息をついたり、ひそひそ話をしていませんか?
□デスクが散らかっていませんか?
資料の山に囲まれて、狭いスペースで作業をしていませんか?「あれがない」「これどこいった」と、もの探しに時間を取られていませんか?あなたのデスク模様は、あなたの頭の中を表しています。職場は公的な場。子供やペットの写真をむやみにデスク周りに置くのも控えましょう。
□仕事服に自信がもてますか?
ミニスカートにノースリーブ、胸の谷間。ほどんどの人は中年女性の体のラインを見たいと思っていません。職種、TPOに応じた身づくろいが、仕事への信頼につながることを忘れずに。
□嫉妬、批判を上手にかわしていますか?
□健康管理を後回しにしていませんか?
□秘密を漏らしてはいませんか?
立場が上になればなるほど、組織の機密事項、部下の個人情報が耳に入るはず。それを口外しては、信頼は一夜にして崩れます。言っていいこと、悪いこと、よく飲み込みましょう。
□自分の家、部屋は片付いていますか?
□感情のコントロールはできていますか?
自分のことでいっぱいいっぱい、気分にムラがあるリーダーに、相談案件は持ち込まれません。イライラしたり、カリカリした態度が表に出ていることは、幼稚で恥ずかしいことです。
□社外、異業種の人で相談できる人はいますか?
□ドタキャンしていませんか?
会食や打ち合わせのドタキャンが度重なるリーダーは、部下からの信頼が目減りしていきます。「立場」で呼ばれている場合、とにかく、その場に「いる」ことが重要であることをお忘れなく。




第3章 マネージメント術
□今後の仕事人生(目標設定)をイメージしていますか?
□謙虚な気持ちを忘れていませんか?
□仕事を一人で抱え込んでいませんか?
雑務で常に忙しくて余裕がないリーダーは、仕事ができないことを体現しているようなもの。任せられる部下を育てられていないことの証明です。リーダーのメインの仕事は雑務ではなく、コンセプトワークなのです。
□怒るではなく、“アドバイス”“注意”になっていますか?
□会議の目的を見失っていませんか?
□企画に行き詰まっていませんか?
□パソコン技術が滞っていませんか?
□価値観の異なる部下を遠ざけていませんか?
意見が甚だしく食い違ったり、相手の節度に問題を感じたり。どうも苦手、実は嫌い……。そんな部下に出会うことも。しかし、ここは仕事場。ひとまず感情を取り去って、相手の資質に目を向けてみましょう。
□部下に仕事を丸投げしていませんか?
□すぐに結果を求めていませんか?
□意味不明の指示を出していませんか?
□潔く決断していますか?
□板挟みから逃げていませんか?
□簡単なことを丁寧にしていますか?
部下やアルバイトに残す伝言メモ。乱雑な文字で、わかりにくい指示を出していたら、仕事人としての底の浅さが見えてしまいます。ひとつひとつを丁寧にこなしてこそ、大きな仕事につながることをお忘れなく。
□決まりごとに縛られていませんか?
□優先順位が混乱していませんか?
□情報入手ができていますか?
□乗りかかった仕事を最後まで見届けていますか?
□部下の個性に応じた指導をしていますか?
□責任から逃れていませんか?
□案件経路を見極めていますか?
□上司としての美学をもっていますか?


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筆者紹介
有川真由美(ありかわ まゆみ)

作家、写真家。鹿児島県姶良市出身。台湾国立高雄第一科技大学修士課程修了。
塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー編集者など数多くの職業経験を生かし、主に働く女性に向けたエッセイの執筆や講演などを精力的にこなす一方、世界40カ国以上を旅し、旅行作家としてエッセイも執筆している。
著書に、『感情の整理ができる女は、うまくいく』『10年先を考える女は、うまくいく』『仕事ができて、なぜか運もいい人の習慣』『30歳から伸びる女、30歳で止まる女』『今いる場所で幸せになれる女の心のもち方』(以上、PHP研究所)、『遠回りがいちばん遠くまで行ける』(幻冬舎)、『あたりまえだけどなかなかわからない働く女のルール』『働く女!38才までにしておくべきこと』(以上、明日香出版社)などがある。

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刊行記念 インタビュー
有川真由美さん『好かれる女性リーダーになるための五十条』 刊行記念 ロングインタビュー!

──怒りっぽい女はかわいそうに見える──など、働く女性の琴線にじわりと触れるフレーズ満載のベストセラー『感情の整理ができる女(ひと)は、うまくいく』の著者、有川真由美さんの新刊が発売される。
<レンザブロー>で、反響を呼んだ人気連載『好かれる女性リーダーになるための五十条』は、女性リーダーとしての働き方だけでなく、すべての女性が心地よく働くための「知恵」や「秘訣」や「奥義」が、ぎゅうっとつまった参考書だ。言葉の使い方、肝の据え方、感情のコントロールの仕方…など、具体的で的確なアドバイスは、今日からすぐに取り入れたいことばかり。裏を返せば「女性上司はなぜこわいのか?」「なぜめんどうくさいのか?」という、痛い謎も解明できるから面白い(?)怖い(?)。世界40カ国以上を旅し、50以上の職種を経験したという豊富な「キャリア」を持つ女性の言葉は、やさしく、リアルで、すーっと胸に届き、すとんと腑に落ちる。そんな有川さんに、ご自身のこれまでの「仕事」について語っていただいた。それはさながら、どきどきハラハラのロールプレイングゲームのよう(!)。平穏や安寧の真逆を生きる中に、「喜び」や「好機」がたくさんあるのかもしれない。


清々しいほど役に立たなかった「店長」というキャリア

──作家になる以前はどんな仕事をされていたんですか?
20代の頃は、学校を出て就職をしても最終的には専業主婦になる人が多かった時代で、私もいわゆる「腰掛け」で化粧品メーカーに就職したクチでした。仕事は結婚までのつなぎぐらいにしか思っていなかったので、会社をあっさりやめて、その後は塾の講師や科学館のコンパニオン、飲食店といろいろやりました。27歳のときに、当時おつきあいをしていた方と「結婚しよう」ということになったんです。でも彼が突然、いなくなっちゃった。失踪してしまったんです。こちらとしては結婚だけを目標に生きていたので、非常に困りました(笑)。そのとき初めて「私って男の人(扶養してくれる人)がいないと生きていけない人なの? だとすると、この先の人生、かなり危ういんじゃない?」と自立を考えました。
そして、男女均等の雇用体制が整っている会社があるということで、あるメーカーに就職して店長になりました。昇格もあり、やりがいも感じられていたんですけど、キツかった。精神的にも肉体的にもキツかった。バックヤードで仮眠をとって、気がつけば今日も家に帰っていない…みたいな。そんな日々。同期もほとんどやめていき、「このままだったら、近い将来、私はきっと壊れて働けなくなる…」と思い、やめました。
そのときしみじみ感じたことですけど、「店長」というキャリアなんて、本当に清々しいほど何の役にも立たないってこと(笑)。例えば編集のお仕事ならそのスキルを持って、次のフィールドに行けますけど、「店長」といったところで「だから何?」なんです。「経験」にはなりましたが、キャリアにはならず、スキルとして脆弱。このとき、「自分の腕ひとつで稼げる仕事をしたほうがいい」と、着付け教室に通いました。ゆくゆくは着付けの仕事でもできればいいかな、と。
そのときにブライダルコーディネーターをやってみないかとお声がかかり、やってみたらブライダルのいい写真を撮ってくれる人がいなかったので、「じゃ自分で」と、一眼レフを買ってカメラマン修行(笑)。そしてカメラマンとして独立。そんな仕事をしながらマーケティング会社に入って、社長とふたりで会社を立ち上げ…って、もう転々に次ぐ転々人生。大丈夫ですか、ついてこられてます?(笑)
そうこうしているときに、「新聞社編集募集!」という広告を見て、「これは面白そう」と、採用試験を受けてみたらトントン拍子で最終選考まで残り、合格したんです。配属されたのは広告局のフリー情報誌を作る部署でした。仕事は楽しかったのですが、いわゆる5年ルール<契約社員や嘱託など有期労働契約で働く人が同じ職場で5年をこえて働き続けた場合、無期労働契約(正社員)に転換しなくてはならないことが経営者側に義務づけられている>の関係で、長くいる人からやめさせられていったんです。私はどうせやめることになるなら、5年を待たず早いほうがいいと思って3年弱でやめました。
新聞社の勤務は短い期間でしたけど、「写真を撮ること、書くことに携わる仕事がしたい」
と、仕事に対する明確な動機や希望がはっきりしたんですね。報道畑にいた編集長や報道のカメラマンに接する機会が多く、その人たちの影響もあって、「ジャーナリストになろう!」と、上京しました。

  そのときすでに38歳。上京してすぐに、海外で活躍されているジャーナリストの方々にお会いして、話を聞かせていただいたんですけど、豊富で濃密な経験と知識の積み重ねの凄まじさに愕然としました。ここであきらめればよかったのに根が楽観的なので「だったら自分の目で世界を見て、経験や知識をつけよう」と、貯金が底をつくまで2年間ほど、アテネを中心にヨーロッパやアジアを放浪したんです。だけど歩けば歩くほど、見れば見るほど、「私の手には負えない」ということが、わかってしまうんですよ。まさに身の程知らずの勘違いだったって。
じゃあ、私は一体何をすればいいんだろ。と、もがく中で出した結論は本を書くこと。もうそれしかなかったんです。じゃ何を書く? 何が書きたい? 何が書ける?
そのとき、「私ほど転職を繰り返し、多くの職業を経験した人ってそういないんじゃない? 職種だけでも50、職場だったら100は超えるな。上司も部下も正社員も派遣もバイトもパートも経験アリ。地方も都会も海外でも働いた。私ほど、女性の職場を見た人もいないだろう」と思ったんです。だったら、その様々な職場で共通する、働く人のルールって書けるんじゃないかなって。それがデビュー作『あたりまえだけどなかなかわからない 働く女(ひと)のルール』になりました。

女性リーダーは立派じゃなくても、優秀じゃなくてもいい


──作家になられてから、台湾の大学院へ留学したのはなぜですか?

最初に本を出したときに、尊敬する作家の先生に「あなたは5年後、この世界にいないでしょう」って言われたんです。すごく衝撃を受けました。「ビジネス書の著者はみなさん、ご自身が成功されている。だから人は読みたいと思う。成功もしていない人の本を誰が買うんだい?」と、言われて「まさに仰せの通りです!」(笑)。とはいえ、本を書くために今からビジネスを起こして成功するってわけにもいかないじゃないですか。だったら、学問を身につけよう、知識を得ようと思って、台湾の大学に留学することにしたんです。外から見た日本ってどんな国なんだろう。外から日本の働く女性を見たらどんな風に見えるんだろう。と、単純に興味がありましたし、その視点があれば書き続けられると思いました。見つめる角度が変わればきっと書き続けられる。40歳を過ぎてからの留学でしたが、本当に楽しかったですね。

──世界をいろいろ見てこられた有川さんですが、なぜ留学先に台湾を選ばれたんでしょうか?
台湾はご存じのとおり、第二次世界大戦が終わるまで、50年もの間、日本の統治下にありました。今もその50年の間に根付いた日本の文化がたくさん残されているんですね。日本には無くなってしまったものや手放してしまったものが、台湾にはたくさん残っているんです。美しい日本語を話すおじいちゃんがいたり、「かつての日本人にはあったであろう情緒」を台湾の人が持っていたりする。地理的にも近いし、なんせ親日家が多くて「あなたの国はいい国だ、いい国だ」と、言ってくださるので、「本当ですか?」と(笑)。「台湾で日本を知る」ということにすっかりハマってしまいました。
それに働く女性がすごく面白いんです。アジアの中では就業率もトップクラスですし、それこそ女性リーダーがとても多くて、民間企業はもちろん、市役所や県庁などの公的機関では女性リーダーのほうが多いくらい。大学教授も多いですね。
台湾の女性から見ると、日本の女性はすごくリスクの高い働き方をしているように映るらしいんです。「日本人女性は結婚をすると仕事をやめる人が多いけど、リスキー過ぎる。人生何が起こるかわからないのに。それに親に学費を出してもらって大学に行って、せっかく会社に入ったのに結婚したらやめるなんて、なんで?」と。日本の場合、女性が働きたいのなら「家事や育児と仕事を完璧に両立させるべき」と、多くの方が思っていますよね。男性はもちろん、当の女性までが「働くからには、絶対両立したい。そうじゃなきゃ失格」と、自分にすごく厳しくあたる。
台湾の大学院の同級生は20代から70代までいたんですが、30代の同級生はフルタイムで働きながら、大学院に通って講義を聴き、レポートや論文を書き、3歳と1歳の子どもを育てていました。日本だったら「子どもが小さいうちは無理しないで、家にはいって子育てしたら?」なんて言われちゃうと思いますが、彼女曰く「子どもがいるからこそ稼がなくちゃいけないの。子どもがいるからこそ仕事をやめるわけにはいかない、キャリアアップもしたい。だから大学院にも通っているの。日本とは反対でしょ?」うーん、これは面白いな、と。
子どもがいるから働けない…って意外と固定観念? と思うんですよ。政治や文化の背景、社会制度の違いなどあると思いますが、台湾の女性は働くことをあきらめないんですね。
私は働きたい! って、声に出すんです。とりあえず言う。言ってみる。
とりあえず、職場に子どもを連れてきてみる。で、問題がなければ明日も連れてきちゃう、みたいな(笑)。働く日本女性が嫌う公私混同ってやつですよね。プライベートと仕事の境界線が限りなく溶けてるというか、むしろないというか。いい意味でいい加減なんです。
いいじゃないですか。立派じゃなくても、完璧に両立できなくても、人に甘えても、なんとなくできていれば。日本もそんな女性リーダーが増えることで、もっと働きやすく、もっと楽になると思うんですよね。


好かれるリーダーは自分にも他人にも損をさせない

──世界中で多くの働く女性に接してこられたと思いますが、どこの国の女性が印象的ですか?
アメリカの女性はセクハラに厳しくて、たとえば、知人のアメリカ人女性は、ごはんに誘われた程度でも「セクハラだ!」と感じてしまうそうです。これがヨーロッパだと、胸元が大きく開いたタイトな服でオフィスに行って「あなた、男の人に誘われもしないでどうするのよ」的なことを言ったりする。所変わればで、面白いですよね。
でも私が一番感心するのは、やっぱり日本人女性の働きっぷりですね。真面目で優秀で繊細な気配りができる。協調性もあって、謙虚で、とにかくがんばり屋。海外のどの国の女性も日本人の半分も働いてない気がします。このあっぱれな働きっぷりは海外に行ったら、すぐトップになれるはず、もったいない! といつも感じて、地団駄踏みそうになるんです。日本はもっともっと、女性リーダーが増えることが大事。政治や文化はもちろん、会社経営もそうでしょうが、何かをてっとり早く変えるには上が変わるのが一番ですから。
働き方が変わりつつある今だからこそ、女性はみんなリーダーを目指していただきたいと思っているんです。男性とは違う、女性だから発揮できるリーダーシップがあると思うんです。争わない、闘わない、支配しないリーダーシップのあり方。
本にも書かせていただきましたが、
「部下は敵ではなく味方。信頼してしまう」
「飲んで本音を言うことより、飲まなくても本音を言える関係を作る」
「仕事相手、スタッフの名前をちゃんと呼ぶ」
「7割聞いて、3割話す」…五十条すべてが、リーダーとしてはもちろんですが、どこでも通用する「仕事人としてのツボ」でもあるんです。

──『好かれる女性リーダー…』というタイトルですが、好かれる…が大事?
好かれる…が大事です(笑)。これ、おもねっているわけでもなんでもなく、人と関わる以上、「好かれない」って人生、すごく損することになる。まして嫌われるなんて、単純にしんどいし、ストレスフルですよ。プライベートなら「離れる」という選択もできますが、仕事ではそうはいきませんよね。
「好かれない」だけで、無用なバッシングを受けたり、嫉妬を受けたり、無視されたり…いいことなしです。会社が家族的役割を果たしていた昔は「あえて好かれない人」の存在価値もあったと思うんです。憎まれ役というか、耳が痛いことばかり言うけれど一目置ける先輩や上司たち。でも、人がこれだけ流動的になり、関係性が希薄になった今は、「好かれない」人はただのキツい人、怖い人、ウザい人です。自分も相手も気持ちよく働くために、「好かれる」は大事なことだと思います。

──好かれるリーダーになるための究極の一カ条があるとすればなんでしょう?
ずるい言い方かもしれませんが、サバイバル力かな。これって五十条すべての要素が入っています。成功している女性リーダーの共通点を探ると、明るくて、あっけらかんとした空気をまとっていて、逆境に動じない肝の太さを持っている人。ピンチのときも「ま、なんとかなるでしょう」という楽観性ですね。闘わないサバイバル力は女性が得意とするところだと思うんです。
ただ会社組織に限らず、リーダーというポジションって、やっぱり敬遠されがちですよね。PTAの役員でもマンションの理事会でも、町内会の組合でも、みなさん、いやだいやだ言ってる。でも仕方なく引き受けてみたら、案外楽しかったっていう人が多いんですよ。いろんな人と知り合いになれたとか、親睦会で楽しい話が聞けたとか。何より人の役に立てるって、社会と関わっている以上、大きな喜びになると思うんです。リスクばかり考えがちですが、リスク以上にリターンがあるリーダーという新しい経験です。嫌なこともしんどいことも、とりあえず経験としてひとつ積み上げることになる。
私の人生なんて、挫折と停滞ばかりで、どれだけトライアル&エラーを繰り返すんだろって。でも何一つ無駄な経験はなかったと思っています。私は徹底したネタ主義で、持っているものは経験と取材データがすべて。自分で見たり感じたりしたことしか形にできないんです。だから、40歳を過ぎてのデビュー、もそう悪くなかったなと(笑)。

インタビュー・文/稲田美保
撮影/冨永智子

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担当者より
仕事がうまくまわらず、何となくイライラしてしまう……。
そんな思いを担当者自身が抱いていたとき、書店で手に取ったのが有川真由美さんの『感情の整理ができる女(ひと)は、うまくいく』でした。おりしも、昇格して部下を持つ立場となったものの、自分のことだけでいっぱいなのにどうしよう!? と悩んでいた時期でもありましたが、有川さんの著書で現状打破のヒントを見つけたり、反省したり、元気付けられたものです。
すぐに、この方と一緒に仕事をしてみたいと思い立ち、こちらの本の企画をご提案させていただいてまとまったのが本書です。
参考資料として、事前に、20代~50代までの社内外の働く女性たちへアンケートをとりました。「女性上司の驚いた言動・行動」「どんな女性上司を望むか」「自分がリーダーになったらどんなふうになりたいか」など。出てくる、出てくる、驚くべき困った女性上司の実例が。自戒も込めて「こんなリーダーの下で働きたくない!」ということが現実に起きているとは、というものが多数集まりました。
そんな実話をもとに、構成した各項目は、基本的なことからやや上級に属するテクニックに至るまで、リーダー、上司ではなくても、仕事術としておさえたいものばかりです。
連載を始めていただいた当初、有川さんは台湾在住だったため、直接お会いできないまま、メールとお電話のみでのやり取りでほぼ二年が経過しました。いただくメールの、簡潔、丁寧、温かさを感じる言葉のひとつひとつに、「さすが…」の思いを日々強めたものです。
そして、初めてお会いしたときも、楽しい雰囲気の中でお仕事を進めていくそのご様子に実感しました。「ああ、仕事ができる人というのは、人間的な魅力あるものなのだ」と。その境地にはほど遠い担当ですが、少なくとも「目指していく」という心構えは忘れないようにしたいと思っています。

今現在、仕事に対して少しばかり停滞感を感じている人、もっと上を目指したい人、働く意欲をなくしかけている人……手に取ってくだされば、必ずや仕事へ臨む姿勢をリセットさせてくれることでしょう。
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