綿矢りさによる、作中音楽についてのエッセイ綿矢りさによる、作中音楽についてのエッセイ

内容紹介

【上巻】「私たちは、友達じゃない」

25歳、夏。恋人と出かけたリゾートで、逢衣(あい)は彼の幼なじみと、その彼女・彩夏(さいか)に出逢う。芸能活動をしているという彩夏は、美しい顔に不遜な態度で、不躾な視線を寄越すばかりだったが、四人で行動するうちに打ち解けてゆく。
東京へ帰った後、逢衣は彩夏と急速に親しくなった。やがて恋人との間に結婚の話が出始めるが、ある日とつぜん彩夏から唇を奪われ、「最初からずっと好きだった」と告白される。

彼女の肌が、吐息が、唇が、舌が、強烈な引力をもって私を誘う——。
綿矢りさ堂々の新境地! 女性同士の鮮烈なる恋愛小説。

生のみ生のままで 上

生のみ生のままで 上綿矢 りさ
2019年6月26日
発売1,300円(本体)+税
四六判/224ページ
ISBN:978-4-08-771188-2
【下巻】「どんな場所も、あなたといれば日向だ」

互いに男の恋人がいるのに、止めようもなく惹かれあう逢衣と彩夏。
女性同士、心と身体のおもむくままに求め合い、二人は一緒に暮らし始めた。芸能活動をしていた彩夏の人気に火が付き、仕事も恋も順調に回り始めた矢先、思わぬ試練が彼女たちを襲う。切ない決断を迫られ、二人が選んだ道は……。

今まで裸でいても、私は全然裸じゃなかった。常識も世間体も意識から鮮やかに取り払い、一糸纏わぬ姿で抱き合えば、こんなにも身体が軽い——。
女性同士のひたむきで情熱的な恋を描いた、綿矢りさの衝撃作!

生のみ生のままで 下

生のみ生のままで 下綿矢 りさ
2019年6月26日
発売1,300円(本体)+税
四六判/224ページ
ISBN:978-4-08-771189-9

著者プロフィール

綿矢りさ(わたや・りさ)

1984年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。高校在学中の2001年『インストール』で第38回文藝賞を受賞しデビュー。2004年『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を受賞。2012年『かわいそうだね?』で第6回大江健三郎賞を受賞。『勝手にふるえてろ』『意識のリボン』など著書多数。

撮影=イマキイレ カオリ

推薦コメント

「こんなに惹きつけあったなら、もうだれにも止められない。正直者たちのヒリヒリする生き方の良さよ!」

吉本ばなな氏(作家)

「それしかないという言葉が、心の死角を照射する。正しさや潔白さに頼らない独自の結末が、有り難く美しい」

朝井リョウ氏(作家)

『生のみ生のままで(上・下)』
刊行記念インタビュー

自由で、オリジナルな、現代に生きる女性同士の恋愛小説

逢衣(あい)と彩夏(さいか)は、25歳の夏に出会い、そして恋に落ちた。
携帯電話ショップで働く逢衣と、芸能界で活躍する彩夏。生きる環境が異なり、これまで互いに男性と交際していたふたりに、幸せに満ちた濃密な日々が始まる。しかし、ある事件をきっかけに、状況は一変。ふたりの関係のゆくえは——。
綿矢りささんの新刊『生のみ生のままで』は、女性同士の鮮烈な恋愛を描いた長編小説です。同性同士の恋愛を描く楽しさ、難しさとは?
刊行にあたりお話を伺いました。

聞き手・構成=山本圭子/撮影=冨永智子

インタビューを読む

刊行記念対談
綿矢りさ×朝井リョウ

ここしかない物語の着地点を求めて

構成/瀧井朝世 撮影/三山エリ

デビューから十八年、初の上下巻の長編『生のみ生のままで』で、同性同士の恋と性を鮮烈に描いた綿矢りさ氏。一つのテーマを八組九人の作家が時系列で描いていく〈「螺旋」プロジェクト〉に参加し、『死にがいを求めて生きているの』で、今までにない創作方法を経験した朝井リョウ氏。新たな創作〝フェーズ〟に達した二人が語り合った。

対談を読む

試し読み

 青い日差しは肌を灼き、君の瞳も染め上げて、夜も昼にも滑らかな光沢を放つ。静かに呼吸するその肌は、息をのむほど美しく、私は触れることすらできなくて、自らの指をもてあます。
 ねえ、君は言ったね。私たちは永遠には生きられない、と。
 私はこう返したよね。その通り、私たちは永遠には若くはない、と。
 同じことを言ってるつもりだったのに、全然違う意味だったと今なら分かる。

試し読みを読む

感想の声

NEW!
恋におちたら、しょうがない。魂でぶつかりあって、結びついた2人には、このままずっと素のままでいて欲しい、そう願わずにはいられません。本当に、タイトル通り、「生のみ生のまま」でした。
鹿島ブックセンター
八巻明日香さん
NEW!
瑞々しくて爽やかで、こんなに心から応援したくなる恋愛を読んだのは久々でした。なんでもないやりとりに涙がこみ上げることがある、その尊さと美しさを十数年ぶりに思い出した気がします。
大垣書店京都本店
荒川夏名さん
NEW!
知識としては知っていても同性同士が心と体を求めあうことに、自分も含め多くの人たちが困惑するだろう。しかしこの作品を読んだ今!なぜか同性愛について以前ほど無理なく受け入れている自分自身に驚いています。こういう事もあるのだなと。それはひとえに彩夏の強引なアプローチに戸惑いながらも惹かれていく逢衣の心情が丁寧に描かれていた事に尽きます。同性のなせる業なのか、お互いの気持ちを思い合う強さと純粋さは燃え尽きる様子がまるでなく、それに引き込まれるように2.5時間一気に読み進んでしまいました。
マルサン書店本部
小川誠一さん
NEW!
NEW!本を閉じた後、自分の中にある陳腐な「普通」という瘡ぶたを剥がされ、 そして愛を惰性で考える時間は、あまり残されてはいないことに気づかされる。逢衣と彩夏のように、我々は時にはためらいつつも、真っ直ぐ前を向いて生きていけるのだろうか。 まさに生きること信じることの尊さと純粋さに満ちた作品だ。
大盛堂書店
山本亮さん
NEW!
上下巻におよぶ大作で読みごたえバツグンでした! こんなにも一途に人を愛すことができるのか……私にはできないだろうな、と思いました。愛の力を強く感じることのできる作品でした。
ジュンク堂書店名古屋栄店
加藤美乃莉さん
「女性同士の鮮烈なる恋愛小説」そんなコピーが帯に入っているが、女性というよりこれはもうただの「人」。性別どうこうではない。今までの恋愛小説が色あせて見えるほどの、人が人を愛することをひたすら書いた強烈な作品だった。
大垣書店イオンモールKYOTO店
辻香月さん
素直で、あけすけで。健やかで……。こんな恋愛ができたら……と羨ましくなる。
ジュンク堂書店神戸住吉店
大橋加奈子さん
「同性の恋愛」というテーマがテーマなだけに、少し重そうな感じがしていたけど、気付けば時間を忘れるほど没頭して読んでいました。重すぎず、軽すぎず、綿矢りささんの文章は心地良い。深く、長く、広く、そして強く愛する二人。これはまさしく「純愛」です。
紀伊國屋書店仙台店
齊藤一弥さん
アラアラ……マアマア……といいながら読みすすめていって、どんどんこの二人にひきこまれた! 性別は、関係ないのかも。魂!? 人間のコア? この人だから好きになった、というのがあるんだ……と思った。いろんな幸せがあっていい!
ジュンク堂書店西宮店
水口真佐美さん
ドラマのような展開での女性同士の恋愛、なかなかの純愛の話でした。逢衣と芸能人の彩夏のイチャイチャぶりや、性の描写は女性作家ならではの手腕で読んでいるこちらが気恥ずかしくなるほどでした。
伊吉書院西店
安保貴司さん
理性と感性が同時に弾けた何と“刺さる”物語なのだろう……。伝わるのは全てをさらけ出した人間の本性……これは「領域」を描き出すことに極めて巧みな著者が、初めてボーダーを乗り越えた作品かもしれない。強烈に突き抜けた感情が読む者の心にもダイレクトに襲いかかる。あまりにもせつなく、とてつもなく狂おしい……読者の価値観を揺るがせる一冊だ!!
三省堂書店有楽町店
内田剛さん
とにかく最高でした!! 2人が推し!になりました。女性同士で恋に落ちるというその感情の動きの細かな揺れ、というよりも!圧倒的にこのカップルを見てくれと言わんばかりの熱量。その生き生きとしたセリフの掛け合い。恋に落ちる、人生を懸ける、その激しい感情の昂り。もちろん官能的な部分もそうですが、その熱にあてられたように一気に読みました。
特にお気に入りなのが、
上巻149P「気づけば閉じ忘れた私の口から唾液が彼女の下腹にしたたり落ちている」この我を忘れている感じ!!
上巻183Pからのジュエリーのお披露目会で、周囲が近づけないほどのオーラを纏う2人の描写。ここにきて彩夏に引っ張られるような形で、逢衣の魅力が際立つといってもいい場面だと思いました。二匹のドーベルマンて!
上巻208P 引っ越し先に着いたところからの、玉ねぎの件。この会話のリアリティ、読んでるこちらが面映ゆくなる突出した掛け合いでした。
下巻105P「どれだけ真面目に、どれだけ世間の気に入るように生きたって“普通”に必要な条件は次から次へと出てきて、絶対に追いつけない。偉そうに生きるつもりもないけど、俯いて生きるつもりもない」逢衣の覚悟がはっきりとわかる、そしてこれは同性愛だけではなく「普通」に苦しめられる多くの人に届く普遍的なメッセージだと感じました。
下巻129P 逢衣の、彩夏に触れられないかわりに喉の動きを見て満足する描写。素晴らしい推しへの愛情。笑いました。
あげ続けるときりがないのでこの辺りで。読んだぼく自身が、彩夏と逢衣の2人に恋に落ちるような、そんな大好きな作品でした。
喜久屋書店北神戸店
松本光平さん

生のみ生のままで 上

生のみ生のままで 上綿矢 りさ
2019年6月26日発売
1,300円(本体)+税

生のみ生のままで 下

生のみ生のままで 下綿矢 りさ
2019年6月26日発売
1,300円(本体)+税
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