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青少年のための小説入門 すげえの書いて、デビューしようぜ!落ちこぼれヤンキーといじめられっ子中学生が、小説界に殴り込み!?作家を目指す凸凹コンビの奮闘を描く、渾身の青春長編小説。イラストレーション/小畑健青少年のための小説入門

すげえの書いて、デビューしようぜ!
落ちこぼれヤンキーといじめられっ子中学生が、小説界に殴り込み!?
作家を目指す凸凹コンビの奮闘を描く、渾身の青春長編小説。
イラストレーション/小畑健

あらすじ

いじめられっ子の中学生・一真は、万引きを強要された店でヤンキーの登と出会う。
一真のピンチを救った登は「小説の朗読をしてくれ」と不思議な提案を持ちかけた。
名作小説を共に読むうち、いつしかふたりは本の面白さに熱狂しはじめる——。

青少年のための小説入門

青少年のための小説入門
久保寺健彦・著
2018年8月24日発売
ISBN:978-4-08-775442-1
定価:本体1650円+税

試し読み

LESSON 1
登さんから葉書が届いたのは、ぼくが二度目のデビューを果たして四年目のことだ。
打ちあわせにやってきた担当の編集さんが、お見せしようかどうか迷ったんですけど、と前置きして、革のトートバッグからそれをとり出した。

試し読みはこちらから

著者プロフィール

久保寺健彦

久保寺健彦(くぼでら・たけひこ)
1969年東京都生まれ。早稲田大学大学院日本文学研究科修士課程中退。2007年「すべての若き野郎ども」で第1回ドラマ原作大賞選考委員特別賞を受賞。『みなさん、さようなら』で第1回パピルス新人賞を受賞。『ブラック・ジャック・キッド』で第19回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。その他の作品に、『中学んとき』『GF(ガールズファイト)』『ハロワ!』など。

著者・久保寺健彦さんからひとこと著者・久保寺健彦さんからひとこと

「小説の存在意義とはなにか。
そのことを真剣に考え始めたのが、2011年。
自分なりの答えをつかむのに、7年かかりました」

推薦コメント 随時更新!

  • この物語に出会えて本当に良かった!
    読み終わった後、泣きながら感想を書いています。
    一真と登、偶然の出会いが二人で小説家の道へ驀進する青春ストーリー!
    本に対する真摯な想いが熱く迸る! 本を愛する人にはたまりません。
    夢を諦めかけた人、生きるのに少し疲れた人にもおススメします!!
    愛知・MARUZEN 名古屋本店
    竹腰香里さん

    NEW

  • なにかに強く魅せられた者だけが覚えることのできる、高揚、熱中、苦悩、哀切。
    創作をテーマにした「青春小説」以上に、
    本作はあまりにも真っ直ぐな愛を描いた一級の小説でした!
    千葉・ときわ書房 本店
    宇田川拓也さん

    NEW

  • “小説の神様”は無愛想で気分屋で身勝手だ。
    しかしこの物語を読めばきっと優しく微笑んでくれるに違いない。
    文学は人生それ以上の面白さがあり、
    この世に絶対的に必要であることを伝えてくれる価値ある一冊だ!!
    東京・三省堂書店 営業企画室
    内田剛さん

    NEW

  • 圧倒されて言葉にならない。
    読み終わって、居ても立っても居られなくなりました。
    どうにかしてこの本を売りたいです。
    広島・広島 蔦屋書店
    江藤宏樹さん
  • スゴイ!
    最初からこんなに引き込まれるなんて思ってもみなかったです。
    文字を読んでいるのにその画が浮かんでくる!
    とにかくサイコーな作品!
    あぁ、できることなら夏休みのおススメとして売り出したかった……
    学生だけじゃなく先生にも読んでほしいし、親にも読んでほしい。
    この興奮を分かち合いたい!
    この夏の思い出は、猛暑とこの作品に出会えたことです!!
    宮城・紀伊國屋書店 仙台店
    齊藤一弥さん
  • この小説の中に身を置いて読んでいるつもりでした。
    残りのページが少なくなってくると、
    読みたい思いと離れたくない願いとの間で心が揺れてきました。
    早く読んでしまうということは、一真たちとの別れを急いでしまうことになる。
    「本が好き」小説について語る彼等をずっと見ていたい。
    忘れられない一冊となりました。
    北海道・文教堂書店 北野店
    若木ひとえさん
  • 登場する小説が読みたくなったり、
    自分が長年小説に対して感じていた
    疑問にズバッと答えてくれてスカッとしたり、
    引き込まれて読みました。
    読み終わったあと、この二人を描いてみたいと思い、
    イラストを描かせていただきました。
    小畑健さん
  • 小説を愛するこの2人のことを、
    愛さないわけがないです。
    瀧井朝世さん(ライター)
  • 『青少年のための小説入門』は、多くの人の人生を変える力を持った作品だと思う。
    登も一真もかすみも、もがきながら、苦しみながら、自分で自分の人生を切り拓いていく。心底面白かった。夢中になって読んだ。
    前を向け!誰かのせいにするな!胸を張れ!そんな風に小説から叱咤激励された気持ちになった。読み終えたとき、自然と涙が流れていた。
    陳腐な言葉に聞こえるかもしれない。でも、私は心のまま、こう叫びたい。
    ”本を愛するすべての人へ!! この小説よ、届け!!”
    集英社 書籍販売部・K

  • 登と一真、生き生きと描かれた二人のキャラクターに感情移入して、あっという間に読み終えてしまいます。そして読後には「いい小説読んだなあ」としみじみ思います。この二人が現実世界のどこかにいてほしい。そんな感情にさせてくれる青春小説の新たな一冊です。
    集英社 書籍宣伝部・W

  • 作家を目指す登と一真は、夏目漱石、芥川龍之介、ドストエフスキー、サリンジャーなど、様々な名作を朗読し、小説の面白さと自由さを発見していきます。その展開は、前作『ハロワ!』から七年かかってようやくいま今作の刊行にこぎつけた、著者の久保寺さんご自身の道のりと重なっているようにも思えます。
    登と一真の、どうにかして作家になりたいという初期衝動。過去の名作への尊敬の念。『インチキじゃないものを書きたい』という切実な想い。そしてなにより、本への溢れる愛情。登場人物と著者自身の、熱いパワーが迫ってくる一作です。
    集英社 編集担当・T

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登と一真が出会った本、全作品リスト登と一真が出会った本、全作品リスト

夏目漱石
『坊っちゃん』(ちくま文庫)☆
『それから』(新潮文庫)☆
筒井康隆
「バブリング創世記」(徳間書店、『バブリング創世記』所収)☆
「トラブル」(中公文庫、『ベトナム観光公社』所収)☆
『虚人たち』(中央公論社)☆
芥川龍之介
「羅生門」(新潮文庫、『羅生門・鼻』所収)☆
「河童」(新潮文庫、『河童・或阿呆の一生』所収)
太宰治
「道化の華」(新潮文庫、『晩年』所収)☆
「トカトントン」(新潮文庫、『ヴィヨンの妻』所収)
田山花袋
「蒲団」(新潮文庫、『蒲団・重右衛門の最後』所収)
川端康成
「片腕」(新潮文庫、『眠れる美女』所収)
横光利一
「機械」(新潮文庫、『機械・春は馬車に乗って』所収)☆
新井素子
『いつか猫になる日まで』(集英社文庫 コバルトシリーズ)
柴田翔
「ロクタル管の話」(文春文庫、『されど われらが日々―』所収)☆
国木田独歩
「号外」(岩波文庫、『号外・少年の悲哀』所収)
田中康夫
『なんとなく、クリスタル』(河出書房新社)
田中小実昌
「寝台の穴」(中公文庫、『ポロポロ』所収)☆
宇野浩二
「蔵の中」(岩波文庫、『蔵の中・子を貸し屋 他三篇』所収)☆
安部公房
『箱男』(新潮文庫)
夢野久作
「瓶詰の地獄」(角川文庫『瓶詰の地獄』所収)
谷崎潤一郎
「鍵」(新潮文庫、『鍵・瘋癲老人日記』所収)☆
『細雪』(中公文庫)☆
萩尾望都
『トーマの心臓』(小学館文庫)☆
志賀直哉
『城の崎にて』(新潮文庫)☆
岡本かの子
「鮨」(筑摩書房、『ちくま日本文学037 岡本かの子』所収)
北杜夫
「天井裏の子供たち」(新潮文庫、『天井裏の子供たち』所収)
吉川英治
『宮本武蔵』(新潮文庫)
村上春樹
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(新潮文庫)
オー・ヘンリー著 大津栄一郎訳
『オー・ヘンリー傑作選』(岩波文庫)
ヘミングウェイ著 福田恆存訳
『老人と海』(新潮文庫)☆
ゴーゴリ著 平井肇訳
「外套」(岩波文庫、『外套・鼻』所収)
アンブローズ・ビアス著 西川正身訳
「アウル・クリーク橋の一事件」(岩波文庫、『いのちの半ばに』所収)
J.D.サリンジャー著 野崎孝訳
『ライ麦畑でつかまえて』(白水Uブックス)☆
ヘルマン・ヘッセ著 高橋健二訳
『荒野のおおかみ』(新潮文庫)
ボリス・ヴィアン著 伊東守男訳
『うたかたの日々』(早川書房、『ボリス・ヴィアン全集3』)☆
サキ著 中村能三訳
「開いた窓」(新潮文庫、『サキ短編集』所収)
トルストイ著 木村浩訳
『アンナ・カレーニナ』(新潮文庫)☆
カフカ著 高橋義孝訳
『変身』(新潮文庫)
マーク・トウェイン著 西田実訳
『ハックルベリー・フィンの冒険』(岩波文庫)☆
レイモンド・チャンドラー著 清水俊二訳
『さらば愛しき女よ』(ハヤカワ文庫)
ダシール・ハメット著 村上啓夫訳
『マルタの鷹』(創元推理文庫)
ダニエル・キイス著 小尾芙佐訳
『アルジャーノンに花束を』(ハヤカワ文庫)☆
リチャード・ブローティガン著 藤本和子訳
「クールエイド中毒者」(晶文社、『アメリカの鱒釣り』所収)☆
ロラン・バルト著 花輪光訳
『物語の構造分析』(みすず書房)☆
トーマス・マン著 高橋義孝訳
「トニオ・クレーゲル」(新潮文庫、『トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す』所収)
モンゴメリ著 村岡花子訳
『赤毛のアン』(新潮文庫)
ドストエフスキー著 亀山郁夫訳
『カラマーゾフの兄弟』(光文社古典新訳文庫)☆
『罪と罰』(光文社古典新訳文庫)☆
江川卓訳
『悪霊』(新潮文庫)
カート・ヴォネガット・ジュニア著 伊藤典夫訳
『スローターハウス5』(ハヤカワ文庫)☆
ガブリエル・ガルシア=マルケス著 鼓直訳
『百年の孤独』(新潮社)
トルーマン・カポーティ著 龍口直太郎訳
『冷血』(新潮文庫)
フィッツジェラルド著 野崎孝訳
『偉大なギャツビー』(集英社文庫)☆
ジョン・アーヴィング著 小竹由美子訳
『あの川のほとりで』(新潮社)☆
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  • *「☆」は、作中で本文を具体的に引用した作品です。
  • *文献の選定に際しては、読みやすさのため現代仮名遣いの書籍を優先とし、作中の年代以降に刊行された版も選んでいます。

刊行記念インタビュー

右半身が麻痺したおばあさんのかわりに駄菓子屋の店番をしている不良青年の「登(のぼる)さん」は、僕にとって〈絶対にかかわりたくない存在〉だった。しかし中学二年の春、あるきっかけから毎日彼のために小説を朗読することになり——。
久保寺健彦さんの『青少年のための小説入門』は、中学受験に失敗し公立中学に通う一真(かずま)と、ディスレクシアという学習障害のために、自由に読み書きのできない登さんが、コンビを組んで小説家を目指す物語。
アイデアを思いつくまでに四年、そこから書き上げるまでには三年をかけたという、書き下ろし長編小説に込めた思いをうかがいました。

インタビューを読む!

書定員さん<☆つき>BOOKレビュー書定員さん<☆つき>BOOKレビュー

全国の書店員さん、図書館のみなさん、そして大学生の方々に、『青少年のための小説入門』を読んだ感想をいただきました。
☆5つを満点とした点数と、熱いご感想をぜひお読み下さい!

  • 大阪・ダイハン書房 本店
    山ノ上純さん

    3.5

    少し長いナァ〜、どうやって終わるのかナァと思って読んでいたら、
    最後の一行で腑に落ちました。
    久保寺さんの作品は前から好きで、
    一番好きだったのが「空とセイとぼくと」です。
    久保寺さんの作品はどれも弱者にやさしい。
    ベタベタに優しい訳じゃないけど、やっぱり優しい。
    この作品でも、登はけっこう大きな障害があるけど、
    しっかり自分の道を歩くし、かすみもそう。
    いじめられっ子の一真の居場所もあるし、
    とても手のかかるおばあちゃんを登は罵倒しつつも放り出そうとしない。
    皆が生きて行く場所を作ってくれる優しさが好きです。

    NEW

  • 大阪・大垣書店 豊中緑丘店
    井上哲也さん

    4.0

    久保寺ファン待望の最新刊は、飛び切りステキな超熱血青春小説!
    「やっぱり、本が好き! いやもう、愛してる。」を
    しっかりと思い出させてくれた作品でした。
    登も一真もかすみも、みんなみーんな、だぁーい好き!!!
    ラスト5行に驚いて泣けてしまったけど、作品は永遠だ。

    NEW

  • 東京・MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店
    勝間準さん

    4.0

    人は何かに出会い成長する。
    少年は青年と出会い、そして2人は小説に出会い、
    小説を生み出すことで成長する。
    世の中に小説があって本当によかった、
    彼らの物語はそう強く思えるほど力強く眩しかった。

    NEW

  • 広島・啓文社 ゆめタウン呉店
    三島政幸さん

    4.1

    粗筋だけでも面白そうだと思ったが、
    実際に小説家が生まれる過程の小説として良く考えられた小説だった。
    実在の小説を挿入させるアイデアが上手い。
    主人公の二人やかすみも魅力的だが、寺脇のキャラが良かった。

    NEW

  • 栃木・うさぎや株式会社 事業本部
    髙田直樹さん

    4.8

    “組む”はずの無い2人がコンビとなって
    少しずつ力をつけていく過程はとても楽しい。
    夢を掴んだ後の展開も一筋縄でいかないが面白い。
    一緒に夢を追いかけてどこまでもいきたくなるコンビ。
    この夏いちばん熱い青春小説!

    NEW

  • 奈良・桜井市立図書館
    岩本高幸さん

    4.0

    とてもよかったです!
    登場人物のキャラが立ち、当時の街や背景が違和感なく頭の中に浮かび
    一気に作品世界に浸ることができました。
    次々に登場する超守備範囲の広い作家と作品、
    それを紹介する図書館員の柳沢さんと本条さんの描写がまたグッド!
    (お二人の容姿がちょっぴりステレオタイプ!?なところだけは目をつむり…笑)
    そしてラストがなにより、主人公と作者の充電期間の様々な想いがこもった一行で、
    心地よい余韻が残りました。

    NEW

  • 愛知・大学図書館司書

    4.0

    「ともに人となる前に、小説によってぼくたちの道は交わり、
    小説によってわかれた。それが二人の必然だった。」
    その時に出会うべくして出会う人、出会うべくして出会う本が必ずあるはず。
    司書は毎日、“出会うべき人の手に渡りますように。それを私達がお手伝いできますように。”
    と祈りにも似た気持ちで、棚に本を並べている。
    「これは、ぼくの2度目のデビュー作です。」と久保寺さんは言っている。
    久保寺さんの作品だと思って読み進んで、最後までたどり着いた時に、
    あれ?これは主人公の一真君の書いた作品だったのか?と思わせる不思議。
    遡って、今まで久保寺さんの書かれた作品の元はすべてここにあるのではと。
    作品中に散りばめられた50を超える作家とその作品群が、
    『青少年のための小説入門』という
    一見お堅いタイトルを目にして手に取った人も裏切らない。

    NEW

  • 愛媛・愛媛大学図書館
    Yさん

    4.0

    二人の青少年の成長物語ですが、
    それ以上に読書の楽しみ方について、考えさせられる作品でした。
    小説を書くという目的を持った読書は、どこか国語の授業のようですが、
    感想と意見を述べあう彼らの姿は純粋に「小説」を楽しんでいるように感じました。
    この本を読んで読書における視点が多様になったと思います。
    良い本に出会わせていただき、ありがとうございます。

    NEW

  • 奈良・奈良女子大学
    北岸靖子さん

    4.0

    この作品で私が一番好きなところは、
    主人公の二人が作家として奮闘するところではない。
    ヤンキーでもある田口がばあちゃんをとても大切にしているところだ。
    ばあちゃんが馬鹿にされると相手を殴り、
    ばあちゃんがぼけても見捨てずに傍にいる。
    なんてまっすぐで不器用で優しいんだろう。
    これは青春小説であるのと同時に、無償の愛の物語でもあると思う。
    一本芯の通った田口の生き様に圧倒された。

    NEW

  • 東京・大学生 女性

    5.0

    私も、小説を書こうと思った時があった。
    その時は、書き方がよくわからず結局諦めてしまった。
    この小説を読んでいたらその時の記憶が蘇ってきた。
    主人公の二人は、研究心旺盛だ。
    再現クイズ、主要キャラクターのプロフィールを年表にまとめたりなど
    小説を書くためのヒントがたくさんあり、
    私も久しぶりに小説を書いてみようかなと思った。
    名作へ誘う小説でもあり、
    小説好きで小説を書いてみたい人を応援する小説でもあると思う。
    本好きな人すべてに紹介したい本である。

    NEW

  • 埼玉・埼玉大学3年生
    匿名希望

    4.5

    最後の一文を読んで、うわあ、やられた、と思いました。
    すぐに最初から読み直してしまいました。
    登さんと一真が一緒に過ごしたのは互いの人生のほんの一部だったけれど、
    とても濃密な時間だったのだろうなと感じました。
    すっかり2人に感情移入してしまいました。
    登さんの「インチキじゃなかったぜ」という字が、
    実際に見たかのように目に浮かんでいます。
    読むことができて本当に良かったです。

    NEW

  • 東京・大盛堂書店
    山本亮さん

    4.3

    このコンビから投げこまれる球は、青春ど真ん中な物語ではない。四方八方へ散らばって読者の足下へと転がってくる。でもそれを手に取れば、熱い息吹にやけどしそうになる。「夢中」という言葉が踊るこの本、読んで絶対損はないはずだ。

  • 大阪・喜久屋書店 阿倍野店
    市岡陽子さん

    4.8

    「世界の果て」に生まれた私たちは、生きづらい現実と向き合いながらも、本を読むことで、日常では到達しえない虚構の世界にも身を委ねる喜びを知ります。それは小説の愉楽を知る者の特権かも知れません。登さんの不器用で、優しすぎる生き方は、愉楽の園への翼をもがれた鳥がやっと仲間を見つけて懸命に見失わないようもがいているようで、同じく「果て」が心の隅にある者として身につまされました。
    「小説は可能性の束」は私にとっても座右の銘になりそうです。

  • 千葉・丸善 津田沼店
    沢田史郎さん

    4

    いい人も悪い人も、登場人物の体温が感じられる。
    久間さんの《精いっぱい並走しますので》という言葉に、本気の真摯さを感じた。
    《もちろんすべて、ただの虚構だ。(…)これからも生まれていくに違いない》という一真の〈小説論〉には、
    思わずスタンディングオベーション。とにかくこんなに「本が読みたくなる」小説は稀。

  • 神奈川・有隣堂 伊勢佐木町本店
    佐伯敦子さん

    5.0

    久保寺さんの『ブラック・ジャック・キッド』が大好きでしたので、これは!と思いました。
    二人が『赤毛のアン』が好きというくだりには、おおっと思ったり、やはり筒井康隆先生はすごいな!と思ってみたり!!
    ともかく久保寺さんの復活!! お待ちしておりましたので、とてもうれしい!
    ああいうせつないお話とか青春の影を書かせるといいですね!
    久保寺さん! 作家でいる、いられ続けることの大変さがよくわかりました!

  • 図書館流通センター
    松村幹彦さん

    4.8

    これは青春小説なのか、小説に仮託した小説論なのか、はたまた自叙伝なのか。
    圧倒的な読書量と小説に向けた熱がなくては書けない作品です。長く本を読んでいるとこういう傑作に出会うことがある。
    それも本を読む楽しみのひとつ。
    著者が魂を削って著した小説への思い、受け取りました。次作も楽しみです。

  • 大阪・ブックスタジオ 大阪店
    渋谷宙希さん

    3.2

    小説家を目指す小説というのはあまり読んだことがなかったので新鮮でおもしろかったです。読み書きができない登が小説家を目指すというアイデアが特に良かったです。覆面の2人組ってダフト・パンクみたいでカッコイイ! 2人が「ライ麦畑」を読んで、インチキな小説は書きたくない!って気持ちすごくわかります。ただ、ホールデンがこの小説を読んだら「インチキ!」と言われないかどーかは少し疑問が残るところではあります……。

  • 愛知・精文館書店 中島新町店
    久田かおりさん

    4.8

    どこかで作家になることを夢見ている青少年のための小説入門としてこの小説は未来永劫存在していくのだろう。この「入門書」は一筋縄ではいかない、というか誰にも真似のできない唯一無二のこの二人にだけ許された方法だったのだろうけど、いくつもいくつもヒントはある。図書館で司書さんにおすすめされた本を片っ端から朗読する、そしてそこからエッセンスだけを抜き取り別の物語を作る、あるいは今まで読んだ本を別の物語に置き換えてそれを当てあう。そういうあれこれはきっとものすごく役に立つだろう。もちろん作家を目指すところまでいかなくても本好きなら誰かとこういうやり取りができればとても楽しいだろうし。だけど、この物語が唯一無二の二人の物語としてのみ存在するのはそれが登と一真という全然共通点のない二人のそれぞれの個性がぶつかり合い補い合い尊重しあいそして高めあってきたからであって、それはもう他の誰にも真似なんてできるはずもない。登の生い立ちも一真の現状も、決して恵まれたものではないし、二人が全く別の、もっとなんというか人として間違った方向へと進んでいっていた可能性はとても高かったはず。そうならなかったのは、やはり物語の、言葉の力に他ならないと思う。そう、言葉は、物語は無限の力を持っているのです。誰かの救いになり、誰かの力になり、誰かの夢になる。登がばあちゃんと過ごした最後の日々。そこに確かにあった切なさと優しさの温度を私も感じた。一真が登のいない毎日の中で感じた風の冷たさも私は感じた。そして、流れる涙の温かさを私は忘れない。小説が、物語が、文字が、私を包み込んでいった。この記憶はきっと消えない。そして、この小説を読んだ人は、きっと、ずっと、もっと、物語を好きになる、そう思います。

  • ゲオ
    星由妃さん

    4.5

    書店員として倉田健人の作品を読んでみたい。売ってみたい。
    1冊の本が書店に並ぶまで、どんな過程がありどんな苦労があるか、、、
    ロングセラーであり続ける作品の魅力はどこにあるのか?
    もっと、たくさんの本を読もう!
    黙読ではなく朗読してみようと思う。
    登の感じていた世界を感じてみたい。

  • 愛知・武豊町立図書館
    大久保明子さん

    4.5

    強烈な個性ある登場人物の中で、引用されている本の文章がなんと流麗なことか!
    本の文章も主役級の登場人物であるかのようなインパクトでした。言葉の美しさに心が動きました。
    小説は作者が無限にある道の中から一本を選んで紡がれたもの。これを読むことのできる幸せに感謝です。
    本の探し方、文章の構成のなど、小説家を目指す人には必見の一冊です。
    「本を読むことは生きる術だ!!」久々にこのように思わせてくれる小説でした。最後の一文の重みに泣きました。
    この本に影響を受けて、図書館でも本の提供を通じて人々の自己実現を後押ししていきたいと思いました。

  • 愛知・公共図書館
    西千里さん

    4.0

    一気に読んでしまいました。本来交わることのないふたりがお互いに足りないところを補って、
    小説を作り上げていく過程がグイグイとひきこまれていきました。
    さて、司書がでてきますが、果たして私がこのような質問を受けたらこんな風に作品を出してあげれるのだろうかとも思いました。
    そういう意味ではこの司書さんがうらやましくもあり、尊敬の念もありでした。
    最初の手紙の伏線が最後の最後でうまく回収出来てそうだったのか。と思わせてくれました。
    本の世界は無限に心の世界を広げてくれます。
    そういうことをおそらく無意識に感じて小説を作り上げていく主人公のふたりを、本好きのすべての人に応援して欲しいと思わせてくれる作品です。

  • 東京・東京外国語大学 言語文化学部
    服部優花さん

    5.0

    最後まで読み終えて初めて、冒頭の一真がデビューしたくだりが理解できました。そしてようやく一息つきました。
    会話が多くテンポよく進む物語にあっという間に引き込まれ、ゲラをめくる手が止まりませんでした。面白かったです。
    読書が好きで、小説を書こうとしたこともありましたが、登と一真の小説に対する真摯な姿勢、創り手としてもがく様を見ていると、
    並大抵の努力では面白い作品を生み出し続ける書き手にはなれないのだなと心底思いました。
    タイトルと中身の熱量とにギャップがある気がしましたが、タイトルに惑わされずに同年代に広く読んでほしいと思いました。

  • 山形・山形大学
    片山凜夏さん

    4.0

    『ハロワ!』を読んだ際、少しショッキングな感じもあり私は苦手だなと思ったのですが、今作は大好きです。さまざまな人のさまざまな想いを感じながら徹夜で読み入ってしまいました。最後の一行によって丸々一冊がさらに結束し、追い打ちをかけられたような感覚になりました。読み終えて、何もしたくなくなり、なぜか、ぼうっと泣いてしまいました。登場人物も、この本に関わる人も、そして私を含めた読者も本の力に魅せられているのだと思います。読みやすく、没頭しやすく、刺さります。普段小説を読まない人にも「小説入門」として薦めたいです。

  • 宮城・東北学院大学
    母里真奈美さん

    4.0

    応援したい気持ちが沸き上がりました。中学生の一真と文字の読み書きができない障害をもつ登がどんな本にも真摯に向き合い、境遇も年も違う二人がわかりあう姿。作家を目指しつつインチキでない作品を創るために必死に模索する場面。ふたりが本に対して純粋であれば純粋であるほど、ひとつの小説を世に送り出すことの作り手の苦悩が心に刺さりました。私たち読者は、いつも作品を批評家気取りで作品の良し悪し判断してしまいますが、どうか負けないで書き続けてほしいです。

  • 北海道・北海道大学 大学院 博士課程
    M.N.さん

    4.5

    初読の最中に、「2周目・3周目」を読むのが待ち遠しくなる作品です。1周目はストーリーに浸り、2周目は彼らが読んできた作品たちを実際に読みながら、3周目以降は2周目の読書体験と彼らの足跡を重ね合わせながら読みたい、と。
    書くこと、表現することの魅力に惹かれていき、頂点を極めながらも、「商品」として小説を世に出す、という現実の障壁にぶつかり、少しずつ挫折に向かっていく二人。その光景は、自分でも小説をたしなむ程度に書いていた者として読んでいるのが苦しくなりました。しかし、その思いはラスト一行で昇華されたように思いました。一つの作品をじっくり読み込むのが好きな方にぜひおすすめしたい作品です。

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青少年のための小説入門

青少年のための小説入門
久保寺健彦・著
2018年8月24日発売
ISBN978-4-08-775442-1
定価:本体1650円+税

いじめられっ子の中学生・一真は、万引きを強要された店でヤンキーの登と出会う。
一真のピンチを救った登は「小説の朗読をしてくれ」と不思議な提案を持ちかけた。
名作小説を共に読むうち、いつしかふたりは本の面白さに熱狂しはじめる——。

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