内容紹介
高校生の毅(つよし)は詩を書いているが、全くといっていいほど評価されていない。
一方、親友のあたるには才能があった。彼は紙上に至情の詩情を書き込める天才だった。すでに多くのファンがいて、新人賞の最終候補にも残っている。
しかもあたるは毅が片想いしている可愛い女子と付き合っていて、毅は密かに劣等感を抱いていた。
そんな中、小説投稿サイトにあたるの偽アカウントが作られる。
ふたりで「犯人」を突き止めると、それはなんとあたるの作風を模倣したAIだった。
あたるの分身のようなAIが書く小説は、やがてオリジナルの作品を書くようになり──。
AIは人間の創作を超えられるのか、オリジナルな文学とは何なのか。
芥川賞を受賞し、純文学の世界で高く評価される著者が今日的テーマに挑んだ話題作!
町屋さんのコメント
ここにあるのは詩のような言葉たちですが、詩ではない。
そして素材として自分(町屋)の言葉がある以上、純粋に「コンピューター」でもなければ、「詩」でもないものです。
もしそこに「詩情」が読みとれるとしたら、いったいなんなのか?
ぜひ奇妙なる言葉の感覚を、体験してみてください。
町屋良平