『魚神』千早茜
定価:1,400円(本体)+税 1月5日発売
第21回小説すばる新人賞
受賞記念スペシャル対談
千早茜×花村萬月
親が喜ぶ小説は書かなくていい!
遊女屋が軒を連ねる、閉ざされた小さな島。美しき捨て子の姉弟、白亜(はくあ)とスケキヨは、互いのみを拠りどころに生きてきた。離れ離れになり、お互いを恐れながらも惹きあう姉弟のたましい。二人が再び寄り添うとき、伝説の島にも変化が……。
新感覚の幻想小説『魚神(いおがみ)』で第21回小説すばる新人賞を受賞した千早茜さん。第2回同賞を受賞された花村萬月さんを迎え、11月某日、お二人が住む京都にて対談を行いました。
受賞作『魚神』誕生の経緯から、小説家として生きていくことについてなど、たっぷりお話しいただきました。
微妙な違いが武器になる
小説の根底にあるのは性と死のイメージ
親が喜ぶような小説は書かないほうがいい
毎日書き続けること
(構成・山本圭子/撮影・久保陽子)
※この対談の一部は、「青春と読書」2009年2月号にも掲載されます。
ちはや・あかね●1979年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。長編の処女作となる『魚神』で第21回小説すばる新人賞を受賞。
はなむら・まんげつ●作家。1955年東京都生まれ。著書に『ゴッド・ブレイス物語』(小説すばる新人賞 )『ゲルマニウムの夜』(芥川賞)『錏娥哢奼』など多数。
「実は家にはスケキヨがいます。沖縄で買った布製の蛇です。長いです」
著者より
水の匂い、植物の匂い、遊女たちの匂い。
そんな今いる場所とは違った世界の匂いを、
ほんの少しでも感じてもらえたら嬉しいです。
担当より
行間からしたたり落ちそうなほど湿度たっぷりの文章、匂い立つ妖しさ、張り詰めた不穏感。『魚神』は、ねっとりしているのに、美しい小説です。新人とは思えない筆力で、読み始めたが最後、気がつけばずぶずぶと魚神ワールドに入り込んでしまっています。独創的世界観もさることながら、人々の情念を細やかに描く力も圧倒的。この「ねっとり感」は、クセになりますよ~!
大先輩・花村さんは千早さんの中にある「どろっとしたもの」を瞬時に察知し、的確なアドバイスをくださいました。今、書店に並んでいる『魚神』は、対談から多くを学んだ千早さんが最後に「気合いと泣きの手直し」を入れて完成したものです。ぜひ、ご一読ください!