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担当編集のテマエミソ新刊案内

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殺意の試写状

  • 紙の本

『殺意の試写状』著者:サンドラ・ブラウン 訳:林啓恵

定価:905円(本体)+税 11月19日発売

イイ男とイイ女に殺人事件を絡ませたら、
サンドラ・ブラウンの右にでる人はいない!?

「サスペンスの名手」、「クイーン・オブ・クライム」とアメリカで絶大な人気を誇るサンドラ・ブラウンの最新刊。この作品で、なんと、56回目のニューヨークタイムズ紙ベストセラー・リスト入りを成し遂げました。

 高級ホテルのエレベーターで、富豪の男が射殺される――そんな衝撃的なシーンから、物語は始まります。犯人はまんまと逃走。一見、単純な強盗殺人に見えたこの事件には、合致のいかない点が多く、実行犯を陰で操る者がいるのではと警察は睨みます。この黒幕として浮上するのは二人。被害者の甥で映画マニアのクライトンと、被害者の愛人と目される美人画廊オーナーのジュリーでした。

 クライトンの父親は辣腕弁護士のデリクに、万が一の時にはクライトンの弁護するよう依頼します。それを察したジュリーが、デリクが弁護をできないようにとった手段とは……? 驚きです。読んでみてください。女は目的達成のためなら、あそこまでできるものなのでしょうか?

 ジュリーの策略とは関係なく、デリクは人を食った感のある美青年クライトンを信頼できず、弁護することを拒否します。一方で、デリクは、富豪の愛人であるはずのジュリーも、重大な隠し事をしているようで信頼できずにいます。

 富豪殺害の真実とは、いったい何なのか? この物語は、真犯人は「誰?」ということよりも、「何故?」「どうやって?」を説き明かしていくことに、ドキドキとした緊迫感があります。さらには、映画マニアのクライトンの、常道を逸した行為も不気味でなりません。また、作品全体に散りばめられている映画のセリフやシーンを模した描写などに読者は「あ、これはあの映画だ!」と秘かに盛り上がれます。実際、作者のサンドラ・ブラウンは、この作品のために数えきれないほどの映画・DVDを観たそうです。その甲斐あってか、数々の映画が、この作品のエッセンスとなって効いています。特に、事件の全容解明のヒントとなったのは、あの名画……。

 デリクも、ジュリーもクレイトンも、登場人物はみんな見た目もよく、生命力に溢れている人ばかり。ウィットに富んだ会話、仕立てのいいスーツや、センスのよいインテリア、オシャレなカクテル(決して焼酎のお湯割などではありません)……と、思わず「いいなぁ~」と羨望のため息をついてしまいそうな演出が、サンドラ作品の特徴。事件の真相を解くサスペンスとしてはもちろん、ディテールにこだわるサンドラ・ワールドを存分に楽しめる一冊です。見飽きた日常から少しの間だけ脱したい……そんなストレス解消本としてもぜひ、おすすめします!

(編集D)


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