『泡沫日記』著者:酒井順子
定価:1,300円(本体)+税 4月26日発売
刊行記念対談!
酒井順子さん×小林聡美さん
“初めてのこと” 満載の面白き中年時代!
「初体験」は、10代20代だけのものではない。
人生の後半期にも、多くの「初めてのこと」が手薬煉ひいて待ち構えている。
近親者や友人の死などの一大事から、老化に伴うささいな日常の無情まで、
大人の初体験はとことんほろ苦い。
そんな女子道の苦味やえぐ味を書かせたら、右に出るものなし!
『泡沫日記』を刊行したエッセイスト酒井順子さんと、
卓越した演技力で熱烈なファンを持つ、俳優にして粋人の小林聡美さんが
40代ならでは(!?)の、「大人の初体験」を語る。
1才違い、中年女子初心者の2人が、体験真っ最中の「初めてのこと」とは?
年をとることに飽きてくる40代後半
落語にはまる正しいおばさん道
旺盛な習い事欲と減退する記憶力
人生の後半、大学生になってみる
介護経験無しの後ろめたさ
「老婆心」はありか、なしか?
50代で体験したい「初めてのこと」
構成・文/稲田美保
撮影/馬場わかな
小林聡美さんヘアメイク/北一騎
協力/ホテルオークラ東京
小林聡美(こばやし さとみ)●1965年東京生まれ。女優。映画、テレビ、舞台などで活躍のほか、エッセイ集『ワタシは最高にツイている』『アロハ魂』対談集『散歩』などの著作がある。
2013年7月21日より、主演ドラマ『パンとスープとネコ日和』(群ようこ原作)がWOWWOWにて放映予定(毎週日曜日22:00~全4話)。
酒井順子(さかい じゅんこ)●1966年東京生まれ。広告会社勤務を経て執筆活動に専念。
2004年『負け犬の遠吠え』で、婦人公論文芸賞、講談社エッセイ賞を受賞。
『おばあさんの魂』『紫式部の欲望』『もう、忘れたの?』『この年齢だった!』『下に見る人』『地下旅!』など、著書多数。
最新刊は、2011年より著者自身の身辺を綴った日記エッセイ『泡沫日記』。
担当編集テマエミソ
初体験。
どこか甘酸っぱい響きを持つ言葉ですが、それは、乳児から若者だけの特権ではありません。
初めて歩いた、小学校に入学した、××へ行った、あれしたこれした……。
若年までの初体験は、そのほとんどが未来に向いたものです。
対して、中年以後となれば、不動産の初購入や初昇格などはありますが、シミ、皺、白髪の発見、
親族知人友人の死など、人生後半期特有の暗い陰をともなうことが多いもの。
本書は、そんな中年期以降に訪れる、意外に多い「初体験」を、著者ご本人の体験と実感をもとに綴られたものです。
数年前。
「はじめに」で触れられている酒井さんの人生初弔辞の現場に、実は担当Kも居合わせておりました。
葬儀当日朝にお会いしたら、
「昨夜は全然眠れませんでした……」
とのこと。
さすがに、かなり緊張しているご様子です。不謹慎ながら発表会を見守る親族のような気持ちで、
葬儀場へ向かいました。
後方の席から見える、遺影の前にたたずむ酒井さんのすっくと伸びた背中。
故人に呼びかけた直後、嗚咽で言葉が途切れがちながらも伝えてくださった、故人との印象的なエピソードは、
会場の涙を誘いました。
もちろん、故人を知る私たちも号泣です。
年下から申し上げるのも生意気ながら、「初弔辞」という大仕事を終えた酒井さんは、
確実に大人としての深みをましたように見えたものです。
今後も、酒井さんがどなたかの弔辞を読まれることはあるでしょう。
そして、このご経験を踏まえ、滞りなくこなされるに違いありません。
でも、「初弔辞」は、当然ながら後にも先にもあの一度きり。
弔辞に良し悪しもないと思いますが、初体験だけが持ちうる、無意識の強さを持ったいい弔辞でした。
東日本大震災、実母、祖父母の死などの一大事から、日常の細々とした微笑ましい初体験まで
日記風にまとめられている本書は、同世代女子に、大いなる共感と明日の勇気を与えてくれるはずです。
(編集K)