『暗闇・キッス・それだけで』著者:森博嗣
定価:1,800円(本体)+税 1月26日発売
森博嗣さんの書き下ろし長編ミステリィです。
主人公は『ゾラ・一撃・さようなら Zola with a Blow and Goodbye』にも登場した探偵、頸城悦夫。しかし、独立した作品として読めるように書かれており、『ゾラ~』を読んでいなくてもまったく問題なく楽しめる小説に仕上がっています(もちろん、未読の方は本書読了後にぜひ『ゾラ~』もお読みいただけましたらと思います)。
物語は、探偵でありライタでもある頸城が、パーソナルコンピュータ業界における伝説的天才の巨大な別荘を訪れるところから動き出します。彼はライタとしての仕事のために赴いたのですが、そこで予期せぬ不可解な事件が発生します。ミステリィという性格上、ここに多くを記すことはできませんが、謎解きの楽しみが堪能できる作品になっています。
また、一人称一視点で描かれる本作は、主人公の思想や生き様を感じさせる小説でもあります。本格ミステリィとしての面白さだけでなく、恋愛小説としての趣きもあり、何度も読み返したくなるような文学的味わいに満ちた作品です。鈴木成一デザイン室による装丁も一見の価値があると思いますので、ぜひ書店さんでご覧いただけましたら幸いに存じます。
著者作品の大きな魅力である、論理の明晰さと透徹した叙情性が遺憾なく発揮された長編小説を、ぜひお楽しみください。
(担当H. K.)