『虹』著者:周防柳
定価:1,800円(本体)+税 3月26日発売
報復すべきか? 否か?
娘の死の真相を、母が人生をかけて追求する――。
本作は、小説すばる新人賞でデビューした周防柳さんの3作目の長編小説になります。最愛の娘を突然奪われた女性の視点で描かれた、心に深く響く作品です。当サイトに第四章まで掲載いたしました。
〔ストーリー〕
夫の浮気が原因で離婚した晶子(しょうこ)には、最愛の一人娘・楓子(ふうこ)がいた。晶子は小さな会社の事務員として働きながら、独りで子育てをし、やがて楓子は都内の一流大学に入学した。
そんなある日、晶子は、警察から楓子とみられる若い女性の遺体が隅田川で見つかったという連絡を受ける。呆然とする晶子に、警察は、遺体に若干不審な点はあるものの、目撃者の存在を理由に自殺と断定したことを告げた。娘の気丈な性格を知る晶子は、警察の説明を単純に受け入れることができない。
本当に自殺なのか?
何か未知の事情があったのでは?
外形的には自殺だとしても、娘をそこまで追いつめた人物がいるのではないか……。
極度のうつ状態に陥って会社を辞めざるを得なくなった晶子は、約一年のときを経て、少しだけ立ち直り、かたく心に誓った。
あまりに理不尽で不可解な娘の死の真相を、自らの命をかけて知るのだと。
パートナーは、ぶっきらぼうだが頼りになる、元刑事の探偵だった――。
罪と罰、赦しと報復の境界を問う本作を、ぜひ手に取っていただけましたら幸いに存じます。
〔著者略歴〕
1964年東京都生まれ。2013年、『八月の青い蝶』(「翅と虫ピン」改題)で、第26回小説すばる新人賞を受賞して作家デビュー。2014年、六歌仙をテーマにした受賞第一作『逢坂の六人』を刊行。2015年に、デビュー作『八月の青い蝶』が第5回広島本大賞「小説部門」大賞に輝いた。