「太平記」の雄・新田義貞の劇的な生涯を描き切った傑作歴史長編――安部龍太郎『義貞の旗』。2015年10月26日発売!
定価:2,000円(本体)+税 10月26日発売
鎌倉時代末期――。現物経済から貨幣経済への移行が、武士たちの暮らしにも変化を及ぼしていた。商業的な才覚のある者が有徳人として富を蓄える一方、所領を借銭の形に取られて没落する者が後を絶たない。幕府の要職にある者も金銭的に堕落し、政治的に腐敗していく。鎌倉幕府を支えてきた、将軍と御家人を中心とした支配体制が崩れようとしていた。
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人は何のために生きるのか。どうすれば、争いのない世の中を作ることができるのか――。
新田義貞は、書物を通じて理と知を学んだ。私費を投じて学僧を招き、村の子どもたちにも学ばせていた。源氏の嫡流、新田氏本宗家の8代目棟梁として、新田荘を率いていた。
そんな義貞のもとに、鎌倉幕府から京都大番役が命じられる。東国の御家人にとって大きな負担となるうえに、義貞は7年前にもこの役を務めたばかりだった。義貞は、多大な出費をなんとか工面して、役目をまっとうしようする。
上洛した義貞は、幕府の実態に触れ、後醍醐天皇の皇子である大塔宮護良親王と劇的な出会いを果たした。親王は、一部の幕府寄りの者たちが栄華を極め、多くの者が貧しい暮らしを強いられている状況を打破するために、帝の親政を実現することが必要だと、義貞に告げる。
親王の言葉に深い感銘を受けた義貞は、新田荘に戻り、大義のために一門の命運をかけて挙兵した。新しい時代が、今まさに幕を開けようとしていた……。
〈目次〉
第一章・京都大番役
第二章・上洛
第三章・世尊寺房子
第四章・大塔宮護良
第五章・旗挙げ
第六章・分倍河原
第七章・鎌倉攻略
第八章・論功行賞
第九章・帝の信任
第十章・箱根・竹下合戦
第十一章・京都争奪戦
第十二章・それぞれの心
第十三章・帝のゆくえ
第十四章・再起への道
第十五章・義を受け継ぐ者
義を貫き、家臣にも慕われた、坂東武者・新田義貞の熱い生き様を描く傑作歴史長編です。