フランスで子育てをする辻仁成が描く、家族と愛の運命的な長編小説。『父 Mon Père』、刊行!
定価:1,500円(本体)+税 5月2日発売
フランスで生まれたぼくは、パパによって育てられた。パリのバスティーユ広場に近い場所に、ぼくらの家はあった。小説家であり、書道家でもあるパパは、ぼくのために毎日、料理を作り、家事をし、学校の送り迎えをしてくれた。
大学生になったときから、ぼくは実家を離れて一人暮らしをするようになり、今はパリの語学学校で教師をしている。70歳を超えたパパは、実家で暮らしているが、時おり健忘症の徴候を示すようになっていた。パパは自分で出かけたのち、どこにいるのかが急にわからなくなることがあり、そんな時は電話がかかってくる。ぼくはその度に、パパを探してパリ中を駆けずり回った。
ぼくには、フランス人の父と中国人の母のもとに生まれた恋人がいる。だが、ぼくと彼女の始まりは、普通の恋人たちのそれとは違っていた。それはパパの物語とも関連していた。
ぼくは、自分を育ててくれたパパの人生に向き合いながら、自らの未来を見据えてゆく……。
本作は、フランスを舞台に、父親と息子を中心とする個性的な人々の関係性を鮮やかな筆致で描いた、国際色豊かな長編小説(フィクション)です。[担当 H. K.]
辻 仁成(つじ ひとなり)
東京都生まれ。1989年『ピアニシモ』ですばる文学賞を受賞して作家デビュー。97年『海峡の光』で芥川賞、99年『白仏』(仏語翻訳版)でフェミナ賞の外国小説賞を受賞。『日付変更線』『右岸』『まちがい』など著書多数。
*5/20より、辻仁成さんが原作・脚本・監督・編集を手がけた映画「TOKYOデシベル」が公開されます。
http://tokyodecibels.com/