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担当編集のテマエミソ新刊案内

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腐れ梅

  • 紙の本

時は平安時代、美貌の巫女・綾児(あやこ)は、色を売りつつ京の都で暮らしている。そんな彼女のもとに、巫女仲間から怪しい儲け話がもたらされて……。刺激的な歴史長編、澤田瞳子『腐れ梅』。

定価:1,700円(本体)+税 7月5日発売

 平安時代、紀伊から京の都に流れ着いた綾児(あやこ)は、巫女稼業を表看板に、色を売って貧しく暮らしていた。ある日、同じ巫女仲間の阿鳥(あとり)から、約40年前に左遷されて亡くなった右大臣を祀ろうと提案される。公卿たちは、相次ぐ皇太子の死や、清涼殿に雷が落ちて、その後に帝が亡くなったのは、彼の怨霊の仕業だと考えているという。そのため、右大臣の怨霊を祀れば、多くの寄進が集まるだろうというのだ。阿鳥の知る限り、その右大臣を祀った社はまだないらしい。 なぜ自分で祀らないのかと問う綾児に、阿鳥はこの計画で表に立つ巫女には美貌が必要で、自分はふさわしくないのだとこたえた。
 綾児は、自分の美貌と阿鳥の智恵があればきっとうまくいくと考え、その話に乗ることに決める。だが、その決断が彼女の運命を思いがけぬ方向へと導いていく。
 平安の都を舞台に、人間のさまざまな欲望が渦巻く世界を、実力派が描いた傑作歴史長編。

 目次
  第一章 巫女二人
  第二章 志多羅神
  第三章 神託
  第四章 鹿を逐う者
  第五章 天神縁起
  第六章 神輿入京
  終章 腐れ梅



著者略歴
澤田瞳子(さわだ とうこ)
1977年京都府生まれ。同志社大学文学部卒業。同大学大学院博士前期課程修了。2010年『孤鷹の天』でデビューし、翌年に第十七回中山義秀文学賞を受賞。2013年『満つる月の如し 仏師・定朝』で第三二回新田次郎文学賞を受賞。2016年『若冲』で第九回親鸞賞を受賞(同作は第一五三回直木賞の候補作にもなった)。他の著書に『日輪の賦』『泣くな道真 大宰府の詩』『与楽の飯 東大寺造仏所炊屋私記』など。

(担当 H. K.)


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