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担当編集のテマエミソ新刊案内

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雨の塔

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『雨の塔』宮木あや子

定価:1,200円(本体)+税 11月26日発売

女子校生活に、憧れたことはないでしょうか? 姉妹はおらず、保育園から大学はすべて共学、しかも現在の文芸編集部に至ってはほぼ男女同数という環境で生きてきた私には、女の園に対する勝手な妄想があります。たぶん現実には、メンドクサイことがてんこ盛りでしょう。でもこの作品に書かれている大学には、美しいものしかない気がするのです! いつも雨が降っているような陸の孤島。街には洋服と食べ物が溢れ、寮には美しくミステリアスなルームメイトがいる。彼女たちは皆ひっそり孤独を抱えているがゆえに穏やかで理性的で――ああ、こんな人たちとなら、同性ばかりでもトラブルなく暮らせそうです。いや、でも寂しくなって誰かを所有したくなるのかも。あ、だからこの小説に出てくる四人の少女たちの間には、恋愛感情が芽生えるのか! もし私だったら・・・・・・ボーイッシュな矢咲には惹かれないだろうし、感情を素直に出す三島は可愛いけどお子ちゃまだから友達にはなりたくないし。やっぱり仲良くなりたいのは冷静な都岡や小津かな。彼女たちに自分の気持ちや性格をズバッと言い当てられたら嬉しくなって、「理解されている」→「もっと近づきたい」→「私だけを見て!」となるのは時間の問題かもしれません。どんな環境にいても、人は人を求めてしまうってことですね。ああそうだよ、女子が女子を好きになって何が悪い! というわけで、そんな微妙で繊細な感情を描いた小説『雨の塔』は、妄想たっぷりのティーン小説は卒業したけれど、現実感120パーセント小説には“うっとり”できない、そんな乙女魂を持つあなたにオススメの一冊です。
(編集H)


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