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担当編集のテマエミソ新刊案内

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ベーコン

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『ベーコン』井上荒野

定価:1,400円(本体)+税 10月26日発売

美味しい物語を、召し上がれ。

 ベーコン、もちろん食べ物のベーコンのことである。薫り高く、ジューシーで塩気が効いていて…そのしたたるような旨み、肉感的な存在感、それがまさに、この小説の魅力と言える。「食べることってどこかいやらしい」「食べることと、恋をすること、あるいは人と抱き合うことは、どこか似ているんじゃないか」……そんな話から始まった、「食」と「性愛」にまつわる短編集。

 確かに、他人が食べているところを見るのは何となく気まずいというか、他人が抱き合っているのを見てしまったような、何ともいえないエロティックな後ろめたさ(つまりは誘惑)を感じてしまう。この物語には、そういう、何気なく流れているはずの日常が垣間見せる艶めかしさが、そこここに匂い立っている。それもそのはず、井上荒野が「食」と「性愛」を書いたなら、魅惑的で目が離せない物語にならないわけがない。

 10歳の少女から、70過ぎの老人まで、どの小説でも皆、貪欲に、食べている。エロティックに、生きている。さまざまな味や食感、匂いの詰まった珠玉の9編、噛んで味わうように、ご堪能あれ!
(編集W)


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