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新訳 チェーホフ短篇集

  • 紙の本

『新訳 チェーホフ短篇集』著者:アントン・チェーホフ 訳:沼野充義

9月24日発売

人生の一瞬のきらめき、悲しみが胸にしみる

『三人姉妹』や『かもめ』などの戯曲が日本でも以前から親しまれてきたチェーホフ。
今年は生誕150周年にあたります。彼は"短篇の名手"としても知られていて、
モスクワ大学の医学生時代にアルバイトで雑誌にユーモア小話を寄稿し始めたのを皮切りに44年の短い生涯で数百篇の短篇を書きました。

そんな無数の作品から、今回厳選して収録したのは13篇。日本でこれまでに何度か訳されてきた作品、ほとんど知られていないものまで揃いました。13人の主人公はいずれも女性や子供、または社会的地位の高くない人間などです。結婚するたびに相手の価値感に100%染まってしまう女性、奉公先での辛い毎日に耐えかね、地元のおじいちゃんに生まれて初めての手紙をだそうとする少年(でも字を書くのがやっと)、子供を亡くした悲しみをまわりの人に訴えるけれど相手にされず、ついには馬に語り始める御者など、100年以上前のロシア社会の片隅に生きた人々…であるはずなのに、なぜだか彼らの気持ちにすっと入り込んでしまう、いとおしさを覚えてしまうのです。チェーホフが鋭く優しい眼で(ときどき皮肉をこめながら)彼らの人生の一瞬を切り取りながら、見事に人生のエッセンスを凝縮して描いているからなのでしょう。

そして今回は新訳ということで、翻訳者の沼野充義さんが現代人にチェーホフの魅力がすぱっと通じる訳に仕上げてくれました。チェーホフが描く人生の歓び、嘆き、恋、悲しみを味わううちに、なぜだか元気になってくる。人生ってやっぱりいいかもしれない、、と思えてくる本になったと思います。

(編集Y)


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