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担当編集のテマエミソ新刊案内

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神奈備

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生とは? 神とは? 人間の絆とは? 馳星周、渾身の山岳ノワール『神奈備』発売!!

定価:1,600円(本体)+税 6月3日発売

 『不夜城』等のノワール作品の印象から、大都会の住人というイメージの強い馳さんが東京を離れたのは、今から10年前。軽井沢でバーニーズ・マウンテン・ドッグと暮らす愛犬家としての一面は、『ソウルメイト』『陽だまりの天使たち ソウルメイトII』という傑作「犬」小説集を通して、読者の皆様もご存じかと思います。
 その一方、馳さんがここ何年も山登りに取り組んで来たことは、まだあまり知られていないのではないでしょうか。
 初めは軽井沢の自然と愛犬たちの写真撮影にのめり込む内、浅間山の美しさに惹かれたそう。そこへ登山を趣味とする作家・唯川恵さんのご夫妻からお誘いがあり、軽い気持ちで登り始めたとか。それが現在では毎月のように登山に出かけ、北アルプスなどの標高3000メートル級の山も踏破するに至っています。
 そんな馳さんが、霊山・御嶽の大自然を舞台に、山の魅力と驚異に真正面から挑んだのが今作です。
 2014年、御嶽が噴火したのは、馳さんが御嶽を舞台に構想を練り、取材に訪れた1ヶ月後。雑誌連載開始をしばらく見送り、甚大な被害状況を鑑みながら、書き進められました。
 山の神に救いを求め、ひとり姿をくらました薄幸の少年と、その少年の行方を追う強力(ごうりき)の男。過酷な気象状況の中、極限状態でさまよう二人が、生と死、神、そして人間の絆とは何かという問いを苛烈なまでに突きつける、言わば魂の山岳ノワールです。
 刻一刻と変わる山の相貌、それに翻弄される人間の姿には、登山経験に裏打ちされたリアリティに溢れます。 また、逃げる少年と追う強力の男、顔を合わすこと無くそれぞれ山に向き合う二人の内面描写・行動描写の数々には、まさに目を瞠ります。
 作家・馳星周の全く新たな領域を切り拓く、ズシリとした読み応えのある一作。
 作り物かと見紛う美しいカバー写真は、御嶽最後の強力とも呼ばれる倉本豊さんが、滅多に見られぬ奇跡的な山の風景を撮影したもの。このカバーにも、ぜひご注目いただければと思います。
 『神奈備』とは、神の棲まう山のこと。
 山岳信仰を持ち出すまでも無く、日本人にとって山とは非常に身近で大きな存在です。山に登る人はもちろん、登らない人の心にも、今作『神奈備』の世界は必ず響くはずだと思います。

【担当 E.S.】

◎著者略歴
1965年 2月18日、北海道生まれ。96年、書き下ろし長編『不夜城』でデビュー。97年、同作で第18回吉川英治文学新人賞、98年『鎮魂歌--不夜城II』で第51回日本推理作家協会賞、99年『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。近著に『雪炎』『アンタッチャブル』『陽だまりの天使たち  ソウルメイトII』など。


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