『風花』川上弘美
定価:1,400円(本体)+税 4月4日発売
「風花」は、結婚している一組の夫婦だけに焦点を当てて書かれた
川上弘美さんの初めての「結婚小説」です。
今の五十代半ば以上の世代は、「結婚とはこういうもの、
もしくはこうあるべき」というのが共通の認識としてあったのに、
今は結婚観が多様になってきていて、
カップルによっていろいろなスタイルが選択できる時代です。
自由な反面、「結婚」をどうかたち造っていくのかがとても難しくなってきています。
平穏な時間がずっと続くなら問題はないかもしれませんが、
ひとたび「こと」が起こると、解決の仕方が解らなくて、壊れやすい。
この小説の主人公、のゆりと卓哉の夫婦もそうです。
結婚して七年、夫の浮気によって結婚を一から考えざるを得なくなります。
何げない日常の中に積み重なる小さな気持ちのすれ違い。
一緒に暮らしながらも相手のことを知らない人と気づく瞬間。
愛とはなにか。結婚とはなにか。愛はいかにして色あせていくのか。
川上ワールドにひろがる、恋愛小説の刹那を堪能してほしいと思っています。
カバーの作品は有元利夫さんの陶芸で、タイトルは「未完」。
この結婚小説を象徴させたくて使用しました。見返しは表がピンクで裏が淡いグリーン。
「ゆるやかに推移する愛」のイメージです。
(編集M)