『ここに消えない会話がある』山崎ナオコーラ
定価:1,100円(本体)+税 7月24日発売
(2)■会話が持つ魅力について――「詩のような会話を書きたい」
ナオコーラさんの小説は、いつも会話がとても魅力的だと思います。今回、『ここに消えない会話がある』というタイトルからも窺えるように、ずいぶん「会話」にこだわったようですが。
確かに、小説の中のセリフは妙に覚えていたりしますね。
ナオコーラさんが「会話」を書くときにこだわっていることはありますか。
言葉がふつふつと湧くように出てきているような会話ですよね。詩のような小説にしたい、というのは最初からおっしゃっていて、その想いは本づくりにも反映されました。
祖父江さんは本文組みにすごく力を入れる方で、今回もこの作品が一番生きるかたちで組んでくださいました。
ところで、普段ご自身が交わす会話の中から、何かヒントを得たりもするのでしょうか。
確かに、ちょっと嬉しくなってしまうような掛け合いが生まれることってありますね。その「ほんのちょっとの情趣」が滲み出ていて、思わず心がふわっと浮き立つような会話が、この作品にはたくさん出てきます。一番書きたかったのは、やはり「『ジューシー』ってなんですか」というセリフが出てくるシーンですか。