【リニューアル第一号!】
今月号から表紙のデザインは文京図案室さん、イラストは近藤愛さんで表紙を刷新、コラム新連載も続々!

【小説】
西加奈子「あなたの中から」
「私」は「あなた」が生まれた時から、「あなた」の中にいた――。「あなた」の全てを知る「私」が語る、女性としての「あなた」の一生の物語。 

【特集:「働く」を変えるヒント】
コロナ禍で「今までどおり」が困難になった「働き方」。簡単に答えが見つからなくても、「働く」を問い直すことで、健やかな未来への道筋を探す。

対談/森田真生×渡邉格「有限性の中に働く」
『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』の著者・渡邉格氏と、人間以外の声に耳を傾けることで思考の枠を広げる独立研究者の森田真生氏による対談。人間の「働く」という行為の意味と可能性を捉えなおす。

対談/長島有里枝×西口想「「ケアレス・マン」モデルからの脱却」
芸術分野でフリーランスとして活動する人たちの働き方や、家庭でのケア労働の配分にまつわる問題を通して、金銭価値に換算できない働きが尊重される社会の在り方を探る。

対談/相馬千秋×中村佑子「「宙づり」にとどまりたい私たち――近代的〈労働〉を打ち砕くアートの可能性」
〈労働〉と〈仕事〉の違いとは何か。「働く」が有する多面性から、文化芸術の不要不急問題、アートの果たしうる役割までを広く語る。

短編/星野智幸「石のゆりかご」
「須槻さんには…社内のうつせみを洗い出してほしいわけです…うつせみを攻略できれば、テレワ推進も一気に進むようになるでしょう」。室長に命を受けた私は「うつせみ」が何かもわからぬまま業務を始めるのだが。

短編/藤野可織「いにしえ」
オフィスに雀が迷い込み、悲愴な羽音を響かせている。そんなとき、雀を追い払い社内の平安を取り戻す業務を行うべきは、「事務」を担当する細田さんと私と決まっているのだった――。

短編/町屋良平「私の労働」
「ガチ」「中間」「エンジョイ」に区分されるバドミントンサークルのメンバーたち。「中間」勢である小説家の「私」は、自身の労働であるところの「小説」においてもまた、「中間」的立場にあるのではないかと思い至る。

短編/古川真人「明け暮れの顔」
久しぶりの帰省。そこには相変わらず酒に浸る父や、知り合いの家を飲み歩く「おじちゃん」がいた。昔のことに水を向けると、彼らは仕事で羽振りがよかった時代の武勇伝を語りはじめ……。

短編/高瀬隼子「お供え」
「Uさんが怖いんです」。後輩Aの発した同僚の陰口に心高鳴る「私」。Uさんはそつなく仕事をこなす人間で愛想も悪くないが、どうやらかつて作られた創業者の記念フィギュアを机に飾っているらしく……。

論考/都甲幸治「潜在意識と向かい合う――ヘミングウェイの仕事術」
作家たちは長期間にわたって創造的であることを強いられる仕事を続けていくうえで、日々何を重視しているのか。『移動祝祭日』でヘミングウェイがさらりと述べる、創作の秘密を紹介する。

論考/斎藤幸平「失われた「遊び」を求めて」

何のための、誰のための仕事なのか? 意味はあるのか? 経済が成長していく時代には考える必要のなかった問いが、今、我々に鋭く突き付けられる。パンデミックを経た後、眼前に広がる世界とは?

論考/飯島裕子「コロナ禍で変わる「はたらく」と、取り残される女性たち」
リモートワーク等、新しい労働の可能性を生んだコロナ禍。しかし私たち全員がその恩恵にあずかれたわけではない。女性4人への聞き取りをもとに、彼女たちが置かれた苦境を記す。

インタビュー/川本嘉子×小澤征良×深町達「魔法のような瞬間を共にすること――セイジ・オザワ 松本フェスティバルの2年間」

コロナ禍によって2020年は中止、21年は無観客配信となったOMFの葛藤と今後を語る。

【対談】
大鶴義丹×金守珍「女優という生きもの」
多方面で活躍する大鶴氏が10年ぶりに書いた小説のタイトルは『女優』。昨年亡くなった母・李麗仙氏の面影を主人公の母に重ねる人もいるだろう。大鶴氏の父・唐十郎氏とも交流の深い演出家の金守珍氏と創作の背景、舞台芸術について語り合う。 

【新連載】
出口菜摘「アメリカ詩の体温、彼女たちの横顔」
アドリエンヌ・リッチ、シルヴィア・プラス、アン・セクストン、マーガレット・アトウッド。彼女たちの作品に書かれていることは、どこか今のわたしたちに似ている。心の揺らぎやざわつきは、現代に生きる女性の抱える問題と重なり、共振する。

【コラム新連載】
朝吹真理子「記憶糠」
最果タヒ「きみを愛ちゃん」
エリザベス・コール「エアプランツの日記」
辻山良雄「読み終わることのない日々」
富永京子「迂遠な思考、小さな運動を重ねて」

 連載小説、対談、エッセイ、コラム等、豊富な内容で毎月6日発売です。