すばる3月号、好評発売中です!
2024年02月06日更新
井戸川射子さんの小説「印象」は、“好意”の複雑さを寓話的に、小池水音さんの小説「あのころの僕は」は、“記憶”のゆらぎを繊細に描く。
平野啓一郎さん、綿矢りささん、中村文則さんのドストエフスキーにまつわる講演、斎藤真理子さん、温又柔さんの対談は、昨今の世界情勢を見つめるための羅針盤に!
【小説】
井戸川射子「印象」
好意の始まりは、漏れ出る光に気づくだけで良い。短い髪と長い髪、魚と海藻、真珠採りと宝石拾い、大きな山と小さな山……それぞれの間に生じる「好意」、その手触りと複雑さをそのまま言葉で表そうと試みた、著者の新しい地平を拓く一作。
【小説】
小池水音「あのころの僕は」
いつかきっと、いろんなことがわかるようになる。大きな喪失を経験した5歳の僕に、大人の誰かがそう言った。不確かな記憶の奥底にある、確かなもの――自分を形作るそれらを僕は、いま、手繰り寄せようとする。
【特集:ドストエフスキー『悪霊』の150年】
代表作『悪霊』の出版から150年となる2023年夏、アジアで初めて国際ドストエフスキー学会が開催され、最終日には中村文則、綿矢りさ、平野啓一郎の三氏が講演し語り合った。その模様と亀山郁夫氏による大会開催の軌跡(エッセイ)を掲載する。
講演/中村文則「衝撃と宿題」
18歳でドストエフスキーに出会い最も大きな衝撃と救いを得た。その予言書的な側面と、現代作家として受け取った宿題とは。ロシアとウクライナが戦争状態の今、ドストエフスキーが生きていたら何を思うか。
講演/綿矢りさ「笑ってはいけないドスト」
『カラマーゾフの兄弟』は賑やかなお騒がせ一家の話ではなかった! ホラーとコメディの境についての考察から始まる、読書の原点に返ったような先入観なしの読解は、研究者に大きな刺激を与えた。
講演/平野啓一郎「〈影響〉の構造化と愛」
ドストエフスキー作品における〈影響〉関係をダイナミックに構造化し、読み解く。宗教、思想、歴史、登場人物、時間……複数の次元において、〈影響〉を与える/受けるの関係と連鎖が緻密に張り巡らされていた。
質疑応答/亀山郁夫×中村文則×綿矢りさ×平野啓一郎「講演を終えて」
太宰との共通点、『白痴』で描かれたMe Too精神、死までの時間についての考察……白熱する語りの中に、今のこの時代に息づくドストエフスキーの文学が浮かびあがる。
エッセイ/亀山郁夫「狂熱の、「美しい」五日間――第18回国際ドストエフスキー学会名古屋大会の軌跡」
2019年のボストン大会で次回会場に名乗りを上げたものの、国際情勢に翻弄され二度の延期を重ねることに。悲願の開催の舞台裏を描く。
【対談】
斎藤真理子×温又柔「韓国文学と日本語文学のあいだで――「さえずり」に耳をすませる」
斎藤さんが訳した韓国の文学作品に心つかまれてきた温さん。小説内の「人たち」は、いったいどのように生まれ来るのか。昨年九月にUNITÉで開催されたお二人のトークイベントを載録する。
【第48回すばる文学賞】
みずみずしく意欲的な力作・秀作をお待ちしています。募集要項は http://subaru.shueisha.co.jp/bungakusho/ をご覧ください!
連載小説、対談、エッセイ、コラム等、豊富な内容で毎月6日発売です。
新着コンテンツ
-
お知らせ2024年10月07日お知らせ2024年10月07日
第37回柴田錬三郎賞が佐藤究さん『幽玄F』に決定!
佐藤究さん『幽玄F』(河出書房新社刊)が今年度柴田錬三郎賞に決定しました。
-
新刊案内2024年10月04日新刊案内2024年10月04日
不機嫌な青春
壁井ユカコ
切なくてまぶしい、残酷でもどかしい、思春期の胸疼く青春×SF短編『2.43 清陰高校男子バレー部』の壁井ユカコさん、デビュー20周年記念作!
-
インタビュー・対談2024年09月26日インタビュー・対談2024年09月26日
佐原ひかり×真下みこと「持続可能な光の中に」
デビュー前のアイドルたちを描いた佐原さんの今作について、普段から親交のある真下みことさんと「アイドル小説」について語り合っていただきました。
-
新刊案内2024年09月26日新刊案内2024年09月26日
スターゲイザー
佐原ひかり
コバルト短編小説新人賞&氷室冴子青春文学賞出身の著者が送る、令和の青春×アイドル文学!
-
インタビュー・対談2024年09月24日インタビュー・対談2024年09月24日
佐原ひかり「一生に一度しか書けない、私にとって特別な作品になりました」
シチュエーション・コメディ的発想の妙味が支持され、若手最注目作家となった佐原ひかりさんの最新刊にかける思いとは?
-
インタビュー・対談2024年09月20日インタビュー・対談2024年09月20日
小池水音「「思い出す」ことは、自分自身を支える方法だと思う」
今最も注目を集める作家のひとり、小池水音さん。失ったものの輪郭をじっくり確かめていくような、誠実な態度に支えられた物語の背景にあるものとは?