すばる10月号、好評発売中です!
2024年09月06日更新
行楽の秋! 旅をテーマにした小説やエッセイなどを掲載。
憧れの作家である宇野千代に扮した綿矢りささんの岩国紀行、
被災地となったふるさと・能登を撮影する梅佳代さんのルポは必見!
【連作 断識芸人】
辛島デイヴィッド「インキャパシテーション」
スマホで「キャプリ」を開いて操作する。ダダフレ、湯フレ……3年以上連絡のない友人から順にデフレしたが、まったく容量が空く気配がない。大きなチャンスとなる仕事のために、「キャパ」を確保しなければならないのだ。
【特集:旅に出よう 物語に会いに】
わたしたちは旅に出る。日常で疲れた羽を休めに、見るべきこと、感じるべきことに向きあうために。目的があってもなくても、そこでしか得られない「物語」に出会う。旅行記、旅をテーマにした小説やエッセイを掲載。旅心が刺激されることうけあい!
紀行/綿矢りさ「宇野千代の底力」
綿矢氏には長年心にあたためていた旅企画があった。憧れの作家・宇野千代の生家がある岩国で、宇野千代デザインの着物を着て髪型も真似て、なりきった写真を撮ること。そして今年の夏の盛り、ついに岩国に降り立ち……。
ルポ/梅佳代「のと2024」
写真家・梅佳代氏が故郷の能登半島を訪れる。変わってしまった風景と、そこで営まれる人々の生活、「この場所に生まれていなかったら写真家にならなかったと思う」という唯一無二の故郷・のとの「いま」を記録する。
小説/上田岳弘「トキシック・フライデー」
まるでユーミンの代表曲『ルージュの伝言』の歌詞のように、ある日、婚約者が地図アプリの「座標点」だけを意味深なメッセージとして残して姿を消した。宮岡はその座標点にたどり着くべく、電車に乗るが――。
小説/石井遊佳「奇遇」
クルーズ船で働く明良は寄港地で夜の散歩に出た。埠頭でタバコを吸っていると、貨物船で働くインド人の青年に声をかけられる。流暢な日本語の理由を尋ねると、彼は昔インドで出会った“ジャパニ”の話を始め――。
小説/佐藤厚志「月山行」
鉄志は中学の同級生である清水、武藤とともに、「ウメコウ」を追悼する旅にでた。目的地は、死者の魂が集まる山形の霊峰月山。4年前に死んだウメコウにはまだ墓がなかった。
エッセイ/吉本ばなな「珍道中」
義父が80歳を過ぎてから、月に一度家族で会いに行くことになった。多忙を押しての、びっくりすることだらけで、まったく「自由ではない」家族旅。その特別な時間について綴る。
エッセイ/温又柔「わたし の/を/は 知らない場所」
KYOTO EXPERIMENTのプロジェクトの一環で、京都に滞在した2週間。朱天心の『古都』を携え、観光客であふれかえり、様々な言語が飛び交う京都の街を眺めながら、「わたし」と言葉について考える。
エッセイ/乗代雄介「私が旅に持ち歩くもの」
「旅する作家」として知られる乗代さん。日本各地を歩きながら、旅の中で書くという経験を繰り返すうち、旅の必需品が洗練され固定化されていったそう。バックパックの中身を、旅先でのエピソードとともに紹介します。
エッセイ/小砂川チト「羽虫と旅する」
一歩家を出た以上、何が起こってもおかしくない。少し旅ぎらいのふしがある著者にとっての「もっとも旅らしい旅」は、山形県酒田への出張だった。
エッセイ/大崎清夏「どうぞゆっくり見てください──もうひとつの地震日記」
6月の終わり、書いている途中の原稿を抱えて新幹線に飛び乗った。震災からちょうど半年がたつ珠洲市を訪れ、「さいはての朗読劇」で出会った人々と再会する。
エッセイ/安達茉莉子「旅と栖が交わるところ──鎌倉・徒歩十五分圏内旅日記」
旅と日常、両方が欠かせないはずだったのに、鎌倉への引っ越しを機に、旅に出る気持ちが「ゼロ」になってしまった。自宅から徒歩15分圏内、鎌倉を知る日々を綴る。
エッセイ/榎本空「旅の日の朝」
八時に島を出発するフェリーに乗って、旅行に行く朝。子ども達にはぎりぎりまで寝ていてもらうはずが、この日に限って生後一歳半の三女が六時に目を覚ます。旅の日の朝は、予定とは裏腹のスタートを切った。
エッセイ/小柳淳「旅と本の幸せなつながり」
本は旅を豊かにする。「自分が旅するとしたらこういう本を読んで出掛けるだろう」と思う本を集め、一人で書店を営む小柳氏。これから旅に出る人が向かう先に思いを馳せ、本を手に取るのを見ると嬉しくなる。
【新連載】
岡野大嗣「夜なのに夜みたい」
頭に描いたものと、目で見たもの。記憶しているものと、今ここにあるもの。それらの間には時間的、空間的、詩的な差分が存在している。今、短歌×散文で、差分のスケッチを集める旅が始まる。
【『虚史のリズム』刊行記念対談】
奥泉光×小川哲「「単純な物語」を捨て、小説世界を構築する」
歴史の混迷を背景に、多様な登場人物が交錯する『虚史のリズム』と『地図と拳』の両大作。共通項も多いこれら二作の書き手であるお二人が、「小説」について語る。司会は大森望氏。
【論考】
鴻巣友季子「蝟集する鼠、語られる歴史──奥泉光論」
「歴史の言語化」「内省的知性」「主体的自由」。これらの三項目こそ、奥泉作品が変わらず擁してきたテーマである。過去作にも目を配りつつ、大ボリュームの最新刊『虚史のリズム』を紐解く充実の論考。
【対談】
川上弘美×長嶋有「俳句だからこそできる冒険を」
川上氏の第一句集『機嫌のいい犬』文庫化と第二句集『王将の前で待つてて』出版(2024年末)を記念し、昔からの俳句仲間である作家・長嶋氏との対談が実現。俳句との出会い、句作の変化、ネット時代の俳句の楽しみ方など。
【第49回すばる文学賞】
みずみずしく意欲的な力作・秀作をお待ちしています。募集要項は http://subaru.shueisha.co.jp/bungakusho/ をご覧ください!
連載小説、対談、エッセイ、コラム等、豊富な内容で毎月6日発売です。
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