新作小説は、大谷朝子さんの「マイ・スイート・ホーム」、水原涼さんの「筏までの距離」。
『あのころの僕は』刊行記念、小池水音さんとピースの又吉直樹さんの対談では、
おふたりの小説への真摯な向き合い方が語られます!

【小説】
大谷朝子「マイ・スイート・ホーム」
「わー、素敵なおうち!」一年前に建てたばかりの家に大学時代の友達を招いた一か月後、私は切迫流産のため入院した。息子の世話や仕事や家事で精一杯の日々からつかの間離れた私の胸に浮かんだのは、なぜか小学校の頃のある風景だった……。

【小説】
水原涼「筏までの距離」
取材旅行に向かう新幹線で、隣り合った女性からふいに話しかけられた小説家の男。旅先で再び偶然出くわした二人の、数時間のできごと――(「筏までの距離」)など、三篇のオムニバス。ひとが生きる時間に不思議な痕跡を残す、だれかとの接点を描く。

『あのころの僕は』刊行記念対談
小池水音×又吉直樹「世界と自分のずれを描く」
デビュー以来、又吉氏の言葉を創作の支えとしてきた小池氏にとって念願の対談が実現。幼いころ自分の中に渦巻いていたもの、わからなさに対峙する小説の在り方など……丁寧で豊かな言葉の往還。

【対談】
パク・ジュン×岡野大嗣「短詩系文学で世界の美しさをつかまえる」
八月に大阪韓国文化院で開催されたお二人のトークイベントを載録する。

【すばる海外作家シリーズ】
イサベラ・ハンマード「カナアーンさん」「ガートルード」
小磯洋光訳・解説。作者はロンドン出身のパレスチナ系イギリス人、英語圏で今最も評価されている若手作家の一人でもある。パレスチナに思いを寄せる人々のまなざしと息遣いが胸に迫る今読むべき名短篇。

【新連載】
奥山裕介「トランスプランターズ――〈果樹園〉を継ぐ者たちのデンマーク文学」
18世紀初頭、ヨーロッパ北縁に位置し文化的荒野も同然のデンマークに劇場が置かれた。「デンマーク文学の父」と呼ばれるルズヴィ・ホルベアとその継嗣を通じ、近代化の足跡を追う。

【エッセイ】
小説「月ぬ走いや、馬ぬ走い」が第67回群像新人文学賞の当選作となった豊永浩平が「樫の木」を、小説「遠くから来ました」が同賞の優秀作となった白鳥一が「牛と蛙と私」を寄稿。

【エッセイ】
2024年のノーベル文学賞を受賞した韓国の作家ハン・ガンについて、豊﨑由美が「ハン・ガンを愛するゆえん」を、すんみが「顔──ハン・ガンの作品を読みながら」を寄稿。

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