『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』。
ベストセラーの新書タイトルが胸に刺さった人への「読書」特集。
朝井リョウさんと三宅香帆さんの対談は必読です!
新たな年にふさわしい新作小説は、桜木紫乃さんと石田夏穂さん!

【小説】
桜木紫乃「兎に角」
早期退職して、札幌拠点のカメラマンとなった牧村。雑誌の撮影現場で、ヘアメイク・スタイリストとして活躍する希月二葉と再会する。かつて交際を望み、かなわなかった相手。二葉からカメラ一式を持って事務所に遊びにきてほしいと言われるが……。

【小説】
石田夏穂「小人二十面相」
中学入学を控えた春休み、仲良しグループでの「ディズニーランド遠征」が持ち上がった。「自分の顔が大嫌い」な望は、写真撮影が避けられないことを懸念している。しかしあるとき、インスタのプロ画に勝手に設定されていた自分の写真が「超絶美少女」で……。

【小説】
上村亮平「熾火」
雪深い町で母に育てられた「私」。当時、犬が欲しかった「私」は、犬が身ごもった報せを聞くと無我夢中で走っていった。しかし大抵すでに多くの人が子犬をもらい受ける約束をとりつけている。そんな激しい競争の中、一度だけ「私」に運が回ってきたことがあった――

【特集:読書計画2025】
読書。時に知識を獲得し、時に快楽を味わうための不可侵の営み。けれど、人々が本に触れる機会や書店の数は年々少なくなっている。限られた時間、お金、スペースのなか、どうしたら幸福な読書体験ができるのか。本と向き合うためのヒントを考える。 

対談/朝井リョウ×三宅香帆「読書に必要なのは三つの余白」
常に読書欲を書きたてる本を出し続け、書評や講演を通して読書の意義を発信する朝井リョウさんと、新書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の著者、三宅香帆さんが「読書」について語らう。

対談/西村紗知×袴田渥美「自分ひとりの「読み」のために」
「読み」のプロである批評家や、そもそも批評という営みに対して敷居の高さを感じる人も多いはず。批評家は何をどう読んでいるのか、そして批評から始まる「読み」の可能性について気鋭のふたりが語る。

インタビュー/笹沼颯太「本を読む世界を譲り渡す」
子どもと本との出会いや継続的な関わりをサポートするサービス「ヨンデミー」代表の笹沼氏に、「読書の習い事」というアイディアの背景にあるもの、読書教育がもたらす可能性について聞く。

エッセイ/小山田浩子「本棚」
本棚が壊れた。限られたスペースで最大の本を収納できるよう選んだスライド式の本棚にはぎっしり本が詰まっていたが、やむなく解体、処分。そこに収まっていた本の行き場は……。読書と収納と生活、その格闘の記録。 

エッセイ/奈倉有里「最初に読めなかった本」
幼稚園の頃、奈倉さんが砂場で遊んでいると、女の人が「ゆりちゃん」と話しかけてきた。その人は優しげに紙袋いっぱいの絵本を差し出してくれたのだけど……。夢のような思い出から奈倉さんの「読みたい」が溢れ出す。 

エッセイ/斜線堂有紀「「一生やろうよ文学フリマ、そしたら一生書くからさ」」
商業作家として活躍する傍ら、日本各地の文学フリマに出店している斜線堂さん。今回は、出店に至る経緯から文学フリマへの思いまで、たっぷりお書きいただきました! ファン必読!

エッセイ/大田ステファニー歓人「みんなの読書」
『みどりいせき』が声本(オーディオブック)になった。ごみ収集の仕事の先輩で、本業は声優の「矢野くん(…)小説に声をくれてありがとう。めっちゃうれしい」けど、心が複雑によどんでいる理由もあって…。

論考/千木良悠子「橋本治を読んで「本の読み方」を考える」
広大無辺な執筆活動を展開した橋本治。彼の作品をこよなく愛する著者が、遺された「読書論」を手掛かりにしながら改めて「本の読み方」について考察する、刺激的な論考。

論考/宮崎智之「エッセイを批評する」
文学フリマや独立系書店を中心にエッセイが盛り上がりを見せ、新たな才能が続々と登場している。だが、それが批評の俎上に載ることはほとんどなかった。エッセイ批評の起動を呼びかける、野心的な論考。

【すばる海外作家シリーズ:短編】
索南才譲「辛哈那登にて」(訳・解説/趙子璇)
母が牛に突かれて死んだあと、父は姿を消した。両親の不仲に長く苦しめられた「私」は、「辛哈那登(シンハーナトゥ)」に父を探しに向かう。

【すばる海外作家シリーズ:インタビュー 索南才譲
中国西部「青海省」遊牧民族の出身である索南氏。小説「荒原上」で魯迅文学賞を受賞するなど、幅広く活躍をしている。来日中の索南氏に、本との出会いや、執筆の原動力、そして遊牧生活と作品について聞く。

【新連載】
赤坂憲雄「宮崎駿の詩学──アニメ的想像力を物質化するために」
宮崎アニメを愛し『ナウシカ考』などの著作を綴ってきた赤坂氏が、宮崎監督の想像世界に迫る連載をスタート! 序章たる今回は『未来少年コナン』を手掛かりに、地・水・火・風・空に彩られた原風景をひもときます。

連載小説、対談、エッセイ、コラム等、豊富な内容で毎月6日発売です。