内容紹介
少年は“哭女”として、今日も葬儀で涙を流す。
舞台は中国、唐の時代。ひとの葬儀で女装をして泣くことを生業とする少年の苦悩と成長、そして年上の貴族青年・青蘭との奇跡のような友情を描く、歴史青春ミステリ小説。
哭女――雇われて葬式で泣くことを生業とする女性のこと(中国や朝鮮半島、またヨーロッパなどでも実在する職業である)。
舞台は唐代の中国、神都随一と噂される哭女の“泪飛”は葬式に引っ張りだこ。葬儀では涙を絶やすことは許されない。そこで盛大に涙し故人の功績を称え謳うことが家の格を表すため、いい家柄の葬儀では優秀な哭女が雇われるのだ。しかし泪飛にはある重大な秘密があった。それは周旋屋の老婆・右聴と泪飛だけが知る事実――泪飛は少年なのだ。
泪飛と名を語り女性の姿で葬儀に出る燕飛は、不審な死を迎えた夫婦や世間を騒がせる義賊らの謎と出会い、その真相に迫る。さまざまな境遇の人びとと接することで、燕飛が手にしたこの世の理とは。
女装姿で哭女を続けなければいけない少年の苦悩と成長、そして年上の貴族青年・青蘭との奇跡のような友情を描く。新時代の旗手が放つ歴史青春ミステリ小説!
プロフィール
-
小島 環 (こじま・たまき)
1985年愛知県名古屋市生まれ。愛知県立大学外国語学部中国学科卒業。2011年「美しき豹と、黄河の花嫁」が第2回『このライトノベルがすごい!』大賞で2次選考を通過。13年同作が西尾 嘉泰(にしお よしやす)名義で青松書院より刊行。14年「三皇の琴 天地を鳴動さす」で第9回小説現代長編新人賞を受賞。15年同作を改題した単行本『小旋風の夢絃』でデビュー。他の著書に『囚われの盤』。
内容紹介マンガ大公開!
著者からのメッセージ
現代中国には哭女という葬儀で泣く仕事があります。その職は歴史が長く唐代にはすでに存在していました。
この物語は中国史上唯一の女帝「武則天」が治める唐代(武周朝)が舞台で、主人公は女性の職業であるはずの哭女を生業としている少年です。葬儀に呼ばれる立場を活かし不審な死を遂げた人々の謎を解き明かしていく連作ミステリーとなっています。
そして、頼れる相手がおらず自立する以外になかった少年が、信頼できる大人と出会ったことで未来への新しい選択肢を得る青春物語でもあります。
年齢を重ねるにつれ、自らを見つめ直し、悩み、未来に向かって物事を選び取っていく姿は時代が変われど、今を生きる人々と重なります。十三歳の少年が心身共に青年へと変化していく等身大の姿を描いています。
唐代の文化、謎解き、少年の成長をどうぞお楽しみください。
著者によるフリーペーパー、公開します!
著者によるイラスト入りサイン色紙
新着コンテンツ
-
お知らせ2024年05月02日お知らせ2024年05月02日
すばる6月号、好評発売中です!
村田沙耶香さんの「世界99」が堂々完結。最新刊『グリフィスの傷』刊行記念の千早茜さんと石内都さんの対談も注目!
-
インタビュー・対談2024年05月01日インタビュー・対談2024年05月01日
千早茜×石内都「傷痕の奥に見えるもの」
千早茜さんが今作の着想源にしたのは、世界的写真家の石内都さんの傷痕をテーマにした作品群。お二人にとっての書くこと、撮ることとは。
-
インタビュー・対談2024年04月26日インタビュー・対談2024年04月26日
千早茜「十人十色の「傷痕」を描いた物語」
短篇ならではの切れ味を持った十篇、それぞれにこめた思いとは。
-
インタビュー・対談2024年04月26日インタビュー・対談2024年04月26日
小路幸也「愛って何だろうね。何歳になってもわからないよ」
大人気シリーズの『東京バンドワゴン』も第十九弾。今回のテーマ「LOVE」を、ホームドラマでどう料理するか。その苦心と覚悟とは。
-
新刊案内2024年04月26日新刊案内2024年04月26日
キャント・バイ・ミー・ラブ 東京バンドワゴン
小路幸也
愛を歌って生きていく。いつにも増して「LOVE」にあふれた大人気シリーズ第19弾!
-
新刊案内2024年04月26日新刊案内2024年04月26日
グリフィスの傷
千早茜
からだは傷みを忘れない――「傷」をめぐる10の物語を通して「癒える」とは何かを問いかける、切々とした疼きとふくよかな余韻に満ちた短編小説集。