担当編集より

11月26日(火)、黒川博行さん新刊『桃源』が刊行。
「疫病神」シリーズや『後妻業』など、ひと癖もふた癖もあるヤクザや探偵が登場する小説でおなじみの著者が次のシリーズに選んだのは、ストレートな警察もの。

沖縄の互助組合、模合。グループで毎月集まって金を出し合い、欲しい人間から順に落札するこの制度で集めた、仲間の金六百万円を持ち逃げした比嘉という男の行方を追うことになったのは大阪府警泉尾署二係のコンビ。「刑事稼業は上司より相棒や」と言い切る色男の新垣遼太郎と、超絶映画オタクの上坂勤(痛風持ち)。
捜査の糸口を手繰り寄せた彼らが辿り着いたのは、沖縄近海に沈む中国船から美術品を引き上げるという大掛かりなトレジャーハントへの出資詐欺だった──。
遺骨収集、景徳鎮、クルーザーチャーター。様々な情報と思惑が錯綜するなか、真実はどこに向かうのか。

金の持ち逃げを追っていたはずが、どんどん事件が転がり続け、沖縄本島、石垣島、奄美大島と舞台をうつして行われる捜査は、全く先の展開が読めません!!
また、次から次へと繰り出される大阪弁も、ページを繰る手が止められない要因のひとつ。

「沖縄って、離婚率が高いんですよね。早熟やし」
「確かにな」
「ぼく、バツイチでもよろしいよ」
「勤ちゃんがよろしくても、向こうがあかんやろ」
「やってみたいなぁ、できちゃった婚」
「できちゃう前にすることがあるやろ」

こんな調子で丁々発止やりながらも、実はドがつくほど真面目に事件解決に奔走するふたりの行きつく先をぜひお楽しみください!