担当編集より

千早茜さんの長編小説『透明な夜の香り』が発売されました。
人の秘密を「香り」に変える、天才調香師の物語です。

子どもの頃に嗅いだ学校の匂い、友達が付けていた香水、好きだった人の香り…、どうしても忘れられない、記憶に残る「香り」がある人も多いのではないでしょうか。

本作では、そんな忘れがたい「香り」を、依頼人のオーダーに合わせて制作する調香師が登場します。調香師の小川朔(おがわ・さく)は、人並み外れた嗅覚を持ち、鼻で、相手の行動パターンや健康状態を一瞬にして嗅ぎ分ける天才。
森に囲まれた洋館でひっそりと香りのサロンを開いている彼のもとに、元・書店員の一香が家事手伝いのバイトとしてやってくるところから物語はスタートします。

静謐な文体と、繊細な情景描写で描かれる『透明な夜の香り』、ぜひお楽しみください。