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酒井 そう、すごくそう思います。晩婚化とか少子化の原因は辿っていけば、その隔たりにあると私は思います。

白河 日本は古来から小さいものが好きという理念があると酒井さんは書かれてますよね。だから女性も若くて幼いほうがいいと。あれはまさに、そのとおりだなと思います。例えば、韓国に取材に行くと、ものすごく冷蔵庫が巨大なんですね。人を二人ぐらい隠してもわからないぐらい巨大で。

酒井 キムチ漬けるからですか(笑)。

白河 やっぱり大きいものが好きなんですよね、他のアジア諸国を見ていると。小さいほうに技術的に特化していくのって、おそらく日本固有の得意技だと思います。なので、「おばさん未満」で酒井さんが指摘していた、日本の女子は、小さいもの好きの日本男児のナイーブさに合わせて、彼らを脅かさないようにしてきた云々というくだりに納得させられました。

酒井 (日本の女子の気遣いに)気づいてほしいですよね。

白河 そうですね。けれども、男子を脅かさないような格好や言動をしても、それでも脅かしてしまう。

酒井 日本の男性は傷つきやすいですからねー。

白河 よその国の女性に比べれば、日本のどんなに怖い女性でもかわいいものなのに。なぜ日本男児たちはそのことにまだ気がつかないのか。

酒井 彼達は、本当の女性の姿を一生知らないで終わるんでしょう。例えば私がエッセーの中で、ごく普通の女性のありのままの姿を書くと、「それを読んでびっくりしました」みたいな男の人がいたりして、妻とか身近な女性を全く分かっていないんだなと感じます。

白河 男だけ鎖国しているみたいですね。

酒井 とはいえ多分私達も、本当の姿は分かっていなくて、すぐ「男ってバカよねー」とか言ってしまう。この男女の距離の遠さというのが、不幸だなとは思うんです。

白河 そうですよね。今、離婚の増加や少子化が問題だとか言われていますけど、男と女がうまくいってないのが一番の原因じゃないかなと思います。例えば、夫が子育てを手伝ってくれなかったからもう嫌、といった感情って、お金では絶対解決できないですし。そもそも男女がうまくいかないと結婚もできないわけだから、その微妙な距離の遠さが良くないんでしょうね。他の国も、そういう事情もなきにしもあらずでしょうが…。

酒井 日本ほどじゃないでしょうね。

白河 そうですね。あとは心的距離は遠くても、性欲で飛び越えるみたいな。

酒井 そうそう。性欲でお互いを必要とする。デュレックス社の調査で、日本(のセックスの回数)が断トツ低いという結果がありましたけど、日本人女性と結婚しているアメリカ人男性の話によると、やっぱり日本人女性もセックスをさせてくれないんですって。アメリカ人男性はもっとセックスをしたいと思っているのに、日本人妻はそれを拒否すると。日本は、男女ともに性欲が少ない国民なのでしょうか。

白河 そのかわり、アンダーグラウンド的な、隠されたものが強くなる。デュレックス社の調査では、確かに日本のセックスの回数はすごく少ないんですけど、セックスした人数においてはものすごい上位なんです。だからたくさん浮気をする。

酒井 飽きっぽいんですね。

白河 決まったパートナーとセックスをしない国民みたい。

酒井 確かに主婦たちを見ていても、ぎらぎらしていますよね、そういう意味で。対して、お互いを呼び捨てしあう若い世代というのは、そういう男女の距離が埋まってきている気がしますが。

白河 そうですね。でも欧米のようなカップル文化がないと、その距離はいつまでも埋まらないのかなと思います。カップル文化のある国だと、夫婦など男女が一緒にいることを求められる場面が多いので、相手がいないと本当に困ることが多い。切にパートナーを必要とすればやっぱり、お互い機嫌を損ねないように、サービスし合わなきゃいけないと思うんですけど、日本って「まだ一緒にいなくてもいいや」みたいな風潮がありますね。その辺もきっと、もっと若い世代では、事情が違うと思います。常に大勢、男女で集まってイベントしてるような…。そういう世代がこれから家族を持つようになって家族一緒の場面が増えると、互いに必要とする文化が育まれていくとは思うのですが。 |
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