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小林さん
カジュアルのときでもヒール履くようになりました。 |
小林 若いときは、老けてたし、フリルとか花柄とかピンクとか、絶対似合わないっていう感じだったけど、何か、そういうのも似合うようになったかなと。酒井さんもお書きになっていらっしゃいましたけれども、いわゆるゴージャスなものではくても、ドレスアップのほうは年をとった方が似合うかなっていうのはありますね。
それと、カジュアルのときでもヒール履くようになりました。抜ききらないんですね、どこかで。
あと、ちょっとうまく言えないんですけど、突出しないように、埋もれるようなメイクみたいなのは逆に研究してるかも。さっき言ったように、オランダから帰ってきたときに自分がすっごい田舎者になったような気がしたんです。で、結局、日本って、これは四十代でも二十代でもそうだと思うんですけど、何か、特殊に飛び出ているのっていうのはものすごく、別な意味で痛いんだろうなって。それが四十代で飛び出ていると、もっと痛いんだろうなっていうのがあるので、例えば、若い子を見て、今こんな感じなんだって、自分が周りから浮かないぐらい、洋服のラインとかメイクとか、何となくニュアンスをつかんだりしています。アイシャドーべったりではなく、下にもライン入れるとか、色の口紅じゃなくてグロス塗るんだけど、でもグロスだけじゃちょっときついんで、ラインだけ引くぞみたいな。痛くないように、突出しないように、埋もれているほうがきれいみたいなのがあると思うんですね。

花園 でも、埋もれすぎるのもどうかな?

小林 うーん……。

花園 埋もれすぎても、あっち側に行くのでは?

小林 あっち側とは……。

花園 おばさま側です。

小林 正直言って、ないですね。埋もれたいっていうのは、多分、おばさんのほうへ埋もれたいわけではなくて、例えば、雑誌で言ったら「Domani」を見て、二十万は払えないけど、こういう感じなんだ今は、って。これぐらいだったら痛くないんだっていうところってあるじゃないですか。自分が二十代のときに常識だったこと、今は全部違いますよね。肩パットも入れないし、ラインも違うし、メイクとかでも全然違うし。そういうところを変えるぐらいはしないと痛いんだろうなっていうのは気をつけているかもしれない。

花園 私の場合仕事柄、コンサバすぎると敬遠される。やはりそのカテゴリーによって服装も化粧も変わってくると思います。それがたぶん埋もれるってことですね。自分のカテゴリーの中で飛び出ないみたいな。

藤谷 浮かないように。

森下 それはある。だから、私なんか幼稚園のママとの集まりのときは、GAPとかユニクロで、ほかのところではちゃんとしたっていうか、それなりのものをそれなりに着ていくみたいな、そういう使い分けはしますよね。

花園 私は、ファッション学校の講師もしているので、渋谷系の若い子と接する機会もあるのですが、そのまま同じファッションはしないけど、彼らから見てもトレンドがわかる程度には配慮しています。

小林 あとは、例えばミニスカートをはかなくなったとか。スニーカーはレザーじゃないと無理とか。

田中 今のお話を聞いてて思ったんですけど。自分の世代に合った女性誌がないなって。ちょっと前まで「Domani」だったんですけど、さすがに合わなくなってきた。読んで、何となくこれ好きって思っていたのに、四十を目前にして合わなくなってしまった。多分、出版元の小学館の考えからいったら「Precious」に行ってほしいなって思ってると思うんですけど、「Precious」はちょっと上過ぎ。
狙っている読者層がちょっと違うなと思うんです。私の友達で独身の同期の女の子はいまだに「Oggi」を読んでて、それもびっくりなんですけど、でも、自分の四十前後の、アラフォーって言っている人の感覚に合ってる、さっきの「Precious」で代表されるようなすごいキャリアを持っているわけでもなく、普通な面を持っているけれど、セレブっぽい雰囲気にあこがれている、普通な、平凡な、そういうかわいらしい気持ちと、お子さんがいたりいなかったり、結婚したりしていなかったり、していなくてもパートナーがいるとかいなかったりとか、みんな状況が違う中で、合う雑誌がないなって。
ちょっと主婦っぽいのをねらって「REAL SIMPLE」とかも読んでいれば、テーマによっては「FRaU」とか読んだりもするし、あと、ビューティー系の「MAQUIA」とか「美的」とか、そのときの気分で。

花園 それで良いんだと思います。よくF1層とか年齢で区切りますよね。以前のファッション業界でもそうでしたが、今は、割とマインドでカテゴリー分けされます。例えば、どんな雑誌が好きか? どんなブランドが好きか? って年齢では分けづらくて、どちらかというとどういう世界観が好きかどうかが重要なのです。

田中 私は化粧品会社勤務なんですが、化粧品も、国内の化粧品は、実は年代と購買力を示すために専業主婦であるとか兼業の主婦であるとか、それから独身であるなどのカテゴリーで分類されているんです。でも、海外は違うんですね。海外はどういう趣味・嗜好をしているかっていうところがターゲットで、それに合わせた商品を設定しているんですね。
最近、会社で今後の方針についての会議があった中で、これからは日本も、海外と同じような嗜好でターゲティングしていこうみたいな話も出ていて、いや、それは今の国内の事情と合うとか合わないとか、趣味・嗜好が合っていても、購買力がないとやっぱり買いにくいとか激論が交わされていました。今聞いていて、やっぱり何か、私たちぐらいの世代は趣味・嗜好をすごく大事にしていると感じますね。 |
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