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本と鍵の季節 米澤穂信 皮肉屋で大人びた松倉詩門と頼まれ事の多い僕。これは図書委員の僕らの推理と友情の物語。本と鍵の季節 米澤穂信皮肉屋で大人びた松倉詩門と頼まれ事の多い僕。これは図書委員の僕らの推理と友情の物語。

内容紹介

堀川次郎は高校二年の図書委員。
利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。
そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。

放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。
爽やかでほんのりビターな米澤穂信の図書室ミステリ、開幕!

本と鍵の季節

本と鍵の季節米澤穂信
2018年12月14日発売
ISBN:978-4-08-771173-8
定価:1,400円(本体)+税

著者プロフィール

米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)
1978年岐阜県生まれ。大学卒業後、書店員勤務の傍ら小説を執筆。
2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞(ヤングミステリー&ホラー部門)奨励賞を受賞してデビュー。『氷菓』をはじめとする古典部シリーズはアニメ化、漫画化、実写映画化され、ベストセラーに。
2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。
2014年『満願』で第27回山本周五郎賞を受賞。
『満願』と2015年刊行の『王とサーカス』はそれぞれ三つの年間ミステリランキングで1位に輝き、史上初の2年連続3冠を達成した。

堀川と松倉、二人の高校生が、時に本を読み、時に謎に出会う。そしてお互いを知り、お互いに知り得ないことがあるのを知る。そんなミステリです。 米澤穂信

登場人物紹介

  • 堀川次郎

    堀川次郎(ほりかわじろう)
    高校二年。図書委員。
    成績はそこそこ優秀。
    他人から頼み事をされやすい。
  • 松倉詩門

    松倉詩門(まつくらしもん)
    高校二年。図書委員。
    スポーツも勉強も出来るが、手先が不器用。
    自分の名前が好きではない。

応援コメント

「おもしろかった!」と興奮の声が続々!

堀川、松倉のキャラがとにかくいい。図書委員というちょっと地味だけど、少し頭がよく、ほどほどにcoolで人がいい。二人のべったりでない距離の友情も最高です。
ジュンク堂書店 三宮店・三瓶ひとみさん
図書館や書店、古本屋など本にまつわる所が舞台の小説は色々あるけれど、男子高校生、しかも図書委員の2人が主人公というのは、なかなかない設定で、面白かったです。続きそうな終わり方だったので、次回作がすでに待ち遠しいです。
紀伊國屋書店 加古川店・吉田奈津子さん
いやー、お見事!! 明晰にして知的。謎解きの面白さ、ここに極まれり! 解き明かされるのは、ミステリアスな日常だけではない。絡まる感情も紐解かれ、眼前の空気をも一変させる鮮やかな手法に脱帽だ。
三省堂書店 有楽町店・内田剛さん
大好き、穂信さん、やっぱり大好き! 本が好きで図書室が好きで、人の心とか言葉のはしばしとか! 穂信さん、最高だ! 熱狂的に穂信作品を買っていく若い子達の気持ちが今わかりました! 今年読んだ本の中で1番好き!
有隣堂 伊勢佐木町本店・佐伯敦子さん
松倉と堀川、2人のかけ合いがとても面白くて、もっともっと色々なエピソードを読んでみたいなと思いました。妙に冷めた感じと、それでも2人がどこか通じ合っている感じがとても良いコンビでした。
ジュンク堂書店 広島駅前店・木村麻里子さん
古典部でも小市民シリーズでもない新しい高校生コンビが読めたと興奮しました。私は米澤穂信さんの読んだ後心に刺が刺さったような、しばらくしくしくその心が疼くような読み心地が癖になっていますが、今回の作品も終盤に向けてそんな展開だったなぁ~と大満足でした。
名古屋大学生協 南部生協プラザ・渡邉典江さん
頭脳明晰で心ばえも良い少年二人、でもそれぞれ欠けているところがあって、二人そろって一人前の名探偵たりうる主人公コンビが格好良かったです。
本のがんこ堂 野洲店・原口結希子さん
これだけキャラが立っていれば、きっとシリーズ化されると思うなあ。
そして、次回も、謎解きは図書室から始まるのである。
大垣書店 豊中緑丘店・井上哲也さん
おっさんになると高校生の話なんてと思ってしまいますが、読み始めたら気持ちは高校生になってとまらなかったです!
ブックスキヨスク 文芸書バイヤー・奥田勝さん
堀川と松倉が交わす味のある会話、松倉が見せる鋭い推理、繰り広げられる謎解きの密度、そして謎を解くことで醸し出される苦み、美点と読みどころたっぷりな一冊でした。
ときわ書房 本店・宇田川拓也さん
古典部シリーズファンな私にはたまらない1冊でした!! 2人の微笑ましいやりとりに癒され、だからこそ最後の展開は切なさが胸に残りました。学校、委員会を通しての近くも遠くもない距離感、むずむずしました。
喜久屋書店 北神戸店・松本光平さん
二人がかなり本に詳しいのは明らかだが蘊蓄を語らないのがいい。彼らの生活圏内を芯としている謎なので突拍子もない方向へすっ飛んでいかないのがこれまたいい。登場する本たちのその書名は本好きだったらちょっとにやりとしてしまう。
教文館・吉江美香さん
米澤穂信さんのミステリエッセンスが凝縮された短編集。日常の謎系、と思わせておいて、ラストは苦い作品ばかりで、その「容赦のなさ」も米澤さんらしいところ。「ロックオンロッカー」は「九マイルは遠すぎる」を思わせる傑作だと思った。
啓文社 ゆめタウン呉店・三島政幸さん
少年かと思えば成熟した男とも見えるこの本好きコンビ、いや図書館オタクの謎ときワザが凄い。本を別の角度から読みとく手法はとても新鮮です。家族みんなで楽しめるミステリーです。
鹿島ブックセンター・鈴木順子さん
2人共ホントに高校生? こんなスペックの高い高校生が周りにいたら太刀打ちできない! 声を荒げることもなく、問題を解決していく2人に脱帽です。
水嶋書房 くずは駅店・枡田愛さん
高校生男子二人の危ういバランスと鮮やかな視点。心を許し合おうとしながらも、間を隔てる心地よい緊張感。友情とは馴れ合いだけじゃない、お互いを高め合うこと。単なる青春ミステリではない米澤さんの想いが詰まった作品ではないだろうか。
大盛堂書店・山本亮さん

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試し読み

913

1

 図書室は寂しくなった。

 三年生の図書委員は互いに顔見知りで仲がよく、放課後になると図書室は図書委員会の遊び場になっていた。他愛ない雑談やちょっとしたゲームでいつも盛り上がり、閉室まで笑い声が途絶えることはなく、それだけに六月に入って受験準備のため先輩たちが委員会を退くと図書室は火が消えたようになってしまった。...

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島本理生×米澤穂信 対談

人間の奥行を美しく描く
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2018年12月にそれぞれの新刊『あなたの愛人の名前は』(島本)、『本と鍵の季節』(米澤)が発売された大人気作家二人の対談が実現。
同じ年にデビューしたお二人は、活躍する場が違うけれど、清潔な世界観や登場人物への優しいまなざしで読者を魅了し続けている。
今回の語らいで、ジャンルが違うからこその創作の秘密が垣間見え……。

聞き手・構成=タカザワケンジ/撮影=露木聡子

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米澤穂信×青崎有吾 対談

青春とミステリの、特別な関係
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米澤穂信さん二年ぶりの新刊『本と鍵の季節』は、図書委員の男子高校生コンビが謎に挑む、爽やかでちょっとほろ苦い図書室ミステリ。一月刊の青崎有吾さん『早朝始発の殺風景』は、始発電車や遊園地の観覧車などさまざまな状況で推理劇がくり広げられる連作短編集です。デビュー作以来、ともに本格ミステリの実力派として名を馳せてきたお二人。それぞれの新作にこめた思いとは? 意外な初対面のエピソードから、〝青春とミステリ〟の関わりまで、たっぷり語り合っていただきました。

聞き手・構成=朝宮運河/撮影=chihiro.

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『本と鍵の季節』書評

【図書室にいる2人の高校生探偵】評者:瀧井朝世(ライター)

 気軽に読める短篇が並んでいるようでいて、通読するからこそ味わえる感慨がある。米澤穂信の新作『本と鍵の季節』はそんな類のミステリ作品集である。

 主人公は男子高校生。高校二年の堀川次郎は図書委員。いたって普通の男子。相棒は同じく図書委員の松倉詩門で、背が高く顔もよく、やや皮肉屋。いつも図書室で暇を持て余ます彼らが、いくつもの謎に遭遇していく。

 第1話「913」では先輩の女子から「開かずの金庫」の番号を当ててほしいと頼まれる。というのも2人は以前、江戸川乱歩の短篇に出てくる暗号を解いてみせたことがあったからだ。第2話の「ロックオンロッカー」では、美容院に行った彼らが店に漂う不穏な空気を感じ取り、その事情を推理していく。第3話「金曜に彼は何をしたのか」で相談を持ち込むのは後輩男子。テスト問題を盗んだ疑いがかけられた兄のアリバイを見つけてほしいという。第4話の「ない本」で図書室に来たのは見知らぬ上級生男子だ。自殺した級友が最後に読んでいた本を探しているという。

 ここまではどれも、2人が本や鍵にまつわる謎に対し異なるアプローチで推理力を発揮、時に食い違い、時に補完し合って事件を解明していく内容だ。と説明すると、米澤作品読者なら、「なんだかおかしい」と思うかもしれない。そう、主人公2人になんの屈託もないなんて ……!米澤青春ミステリといえば主人公の内面の屈折とほろ苦さも魅力ではないのか、と(確かに第4話の謎はほろ苦いが)。

 ご安心を(?)。第5話「昔話を聞かせておくれよ」と第6話「友よ知るなかれ」は、謎に向き合うなかで、彼らの意外な苦悩が見えてくる。なかなか一筋縄ではいかない展開ではあるが、そこから2人の友情も浮かび上がり、読後感には爽やかさも残される。

 印象に残るのは、誰かが嘘をついているパターンが多い点、また、真相が明らかになっても彼らが人を裁こうとしない点。それを読者に印象づけてから最後の2話を持ってきた巧さを、読者は噛みしめることになるはずだ。

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本と鍵の季節

本と鍵の季節米澤穂信
定価:1,400円(本体)+税
発売日:2018年12月14日発売

放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。
爽やかでほんのりビターな米澤穂信の図書室ミステリ、開幕!

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