市川沙椰×鈴村ふみ

相撲とは無縁だった17歳の少年・篤は土俵で力士の名前を呼び上げる「呼出」という仕事に就いた。厳しい実力社会の中で、さまざまな問題に直面しながらもひとりの人間として成長していく篤の姿を描いた作品が第33回小説すばる新人賞作の『櫓太鼓がきこえる』である。

著者の鈴村ふみさんが大の相撲ファンだというので、今回は相撲女子としても知られるモデルの市川沙椰さんをゲストにお迎えし、執筆の裏側や相撲のおもしろさについて語り合ってもらった。

二人の炸裂する相撲愛を知れば、作品がもっともっと楽しくなる!

 

聞き手・構成=佐藤裕美 撮影=藤澤由加

初出=「小説すばる」2021年3月号 

 

序ノ口と結びの一番、両方の土俵に上がれる存在

 

鈴村 今日はとても緊張しています。市川さんはきっと私より相撲に詳しいから、『櫓太鼓がきこえる』を読んでどう思われたか、すごく心配で……。

市川 いやいや、とんでもない。早速拝読しましたけれど、めちゃくちゃ楽しかったです。出てくる人たちが、もうみんな愛おしくて。

鈴村 ありがとうございます。よかった。ほっとしました。

市川 高校を中退した篤が呼出として相撲の世界に入って、いろいろな経験をしながら成長する姿が描かれていますが、奇をてらったところがなくて、まっすぐに描かれていて、それでいて相撲のことをいろいろ知ることができる。そのバランスが素晴らしいと思いました。最近は本を読むとき、何かを得なければ――と思って、すごく疲れてしまってたんですけれど、この作品は楽しみながら、すんなりと知識も入ってくる。私が求めていたものはこういう作品だったんだと思いました。読後もとても清々しくて元気になります。コロナ禍で疲れている人たちにもぜひ手にとってほしいと思いました。

鈴村 そんな有難い言葉をいただいて恐縮です。

市川 力士ではなくて、呼出を主人公にしたというのもおもしろい発想ですね。

鈴村 私は相撲を観戦するとき、いつも朝一番の取組から観るんですね。最初は「チケット代のもとをとらなきゃ!!」と思って朝から行っていたんですけれど、何度か通っているうちに、朝から夕方にかけてどんどん変わっていく場内の空気感に魅了されるようになりました。朝は客席がガラガラで座席の赤い色しか見えない状態。でも、どんどんお客さんが入ってにぎやかになって、最後は場内が熱気と興奮に包まれる。その変化がすごくいいなって。

市川 私もよく朝から観戦するので、その感じ、よくわかります。作品の中にも出てきますけれど、場内の明るさも朝と夕方では違いますよね。朝は薄暗いのが、途中でパッとライトがついて明るくなって、そして結びの一番に向かってどんどん場内が高揚していく。一日の流れの中で、同じ場所が変貌していく様子がとてもうまく描かれていて、読んでいて、「そうそう!」と思いました。

鈴村 まさにそれを表現したいと思って……。そう考えると、最初の土俵と最後の土俵、両方に立てるのは入門したての呼出さんだな、と。朝の取組では、お客さんのいない中で序ノ口の力士の四股名を呼び上げ、最後、結びの一番には、懸賞旗を持って土俵を回ります。がらんとしている場内と熱気に満ちた場内、まったく違う空気を両方体験できる貴重な存在。裏方とはいえ、唯一無二のポジションだなと思い、じゃあ、若い呼出さんの視点で書けば、場内の変化も伝えやすいのではと考えました。

市川 言われてみれば最初から最後まで土俵に出ているのは若い呼出だけかも。行司さんは自分の番が終わったら帰ってしまうし。素晴らしい着眼点ですね。

 朝と夕方とでは、力士たちの様子も全然違いますよね。序ノ口の力士とか、本当に普通の子じゃないですか。体格が細い人もいて、まだ幼さが残っていて。今日はたぶん友達が観に来てるんだろうなって感じで、客席に視線を送っていたり(笑)。それが時間とともに異次元の、規格外の人たちに変わっていく。その変化も、相撲好きにとっては大きな魅力のひとつですよね。

鈴村 本当にその通りです。私は「番付」というのも大相撲の魅力だと思っています。呼出が四股名を呼び、一対一で力士がぶつかり、行司が勝負を裁く。序ノ口の一番最初の取組でも、結びの一番でも同じことをしているはずなのに、番付が異なればその勝負に挑む人の立場も、周りを取り巻く環境もまったく違う。そういった格差を見るたび、番付がすべてという厳しい世界であることを実感しますし、その番付をかけて力士たちが懸命に戦う姿に胸を打たれます。

 

鈴村ふみ 写真

場所によって変わる空気感。旅行記的なニュアンスも

 

市川 呼出の仕事には、力士の名前を呼び上げるほかにもじつはいろいろあるんですよね。力士に力水をつけたり、懸賞旗を持ったり、それこそ櫓太鼓をたたいたり、場所前には土俵を作ったり。力仕事もあって結構たいへん。

鈴村 土俵を作ることは知らない方が多くて、よく驚かれます。

市川 呼出が相撲部屋に所属していることを知らない人も結構いると思いますよ。でも、力士と寝食をともにしているからこそ、同じ部屋の力士の名前を呼ぶときは、特別な思いがあるということが、作品を読んでいてよくわかりました。そういう呼出の生活とか、力士との距離感みたいなものは、実際の呼出さんを取材して得たものなんですか。

鈴村 いえ、テレビや雑誌で相撲の特集をしているのを見たり、呼出さんに焦点を当てた本を読んで情報を収集したり。あと今は相撲部屋がどこもSNSをやっていたりするので、それを見て書きました。

市川 えっ、どこかの相撲部屋に潜入したのかと思って読んでました。

鈴村 潜入……したかったですが、してないです(笑)。地方場所のときに稽古を見た程度です。でも、それ以外の描写は、こんな雰囲気かなぁと想像して書きました。ほぼ創作なので、相撲協会の人が読んだら、「全然わかってないな、こいつ」と思われそうで、びくびくしています(笑)。

市川 でも、それで書けてしまうんだから、すごい想像力。さすが作家ですね。

鈴村 ただ、書くときにイメージした呼出さんはいます。

市川 誰ですか?

鈴村 千賀ノ浦部屋(現・常盤山部屋)の広さんです。

市川 はいはい、広くん、わかります(笑)。

鈴村 この作品を書き始めたのが、じつは大学時代で、当時、一番下の呼出さんが広さんだったんです。最近は髪を伸ばしてますが、その頃は篤と同じように丸刈りで。ただ、参考にしたのはビジュアルのイメージだけなので、広さんと篤はあまり似ていないと思います。

市川 私は呼出だと、鶴太郎(錦戸部屋)と大将(山響部屋)のセットが好きです(笑)。二人とも若い頃からずっと成長を見守ってきたので。主人公の篤とその先輩の直之を勝手に二人に照らし合わせて読んでました(笑)。

鈴村 あ、でも直之さんのビジュアルイメージは、大将さんです。性格はまったくの想像ですけれど。

市川 やっぱり!!  合ってた(笑)。大将、かわいらしい感じだし、声もよくて、直之同様、人気ですもんね。

鈴村 そう、呼出って、やっぱり声が重要。私は2階の一番後ろの安い席で観ることが多いんですけれど、上手な呼出さんなら、一番後ろにいてもよく聞こえるんです。

市川 人によって声の響きが全然違うし、呼出の声で場内の空気がガラッと変わることもある。今度相撲を観に行く方は、ぜひ注目してほしいですよね。

鈴村 市川さんは、地方場所にも行かれたりするんですか。

市川 行きます、行きます。だからこの作品で章立てが秋場所、九州場所……と場所ごとになっているのも、密着ドキュメンタリーっぽくてすごく好きでした。

鈴村 いろんな力士に焦点を当てて書きたいと思っていたので、そうすると場所ごとに区切ったほうが書きやすいのかなと。あとは、「九州場所は書いているのに、名古屋場所がない」というのは不公平な感じがして。

市川 場所愛ですね(笑)。わかります。名古屋場所はまわりに何もなくてひたすら暑くてとか、大阪は街のど真ん中でとか、福岡はうしろが海でとか、場所ごとの空気感の違いも読んでいて楽しかったです。「わ~、また行きたいな~」って思いながら読みました。旅行記的なニュアンスがあるので、行ったことのない人も行った気分が味わえるんじゃないかな。

 それと『櫓太鼓がきこえる』というタイトルも私は好きです。相撲好きは、あの太鼓の音を耳にすると「あ、大相撲だ!!」ってわくわくした気分になるし、帰りは帰りで、「ああ、楽しかったな」って気分にさせられる。すごくいいタイトルだなと思いました。

鈴村 ありがとうございます。タイトルは書く前から決めていました。櫓太鼓は呼出と関連が深いアイテムですし、相撲漫画の『やぐら太鼓の詩』という作品もあったので、そこからワードをいただきました。それと、櫓太鼓が聞こえるのは本場所中だけなので、本場所にかけるみんなの思いみたいなものを込める意味でもこのタイトルで正解だったなと思っています。

 

一瞬で勝負が決まる取組は死生観ともつながっている

 

市川 篤の所属する相撲部屋・朝霧部屋には、篤のほかに幕下以下の力士6人がいますが、みんなとても魅力的な兄弟子たちなんですよね。愚直にトレーニングに励む部屋頭の武藤さん、ちゃんこ長で心優しい山岸さん、マザコンの宮川さん……。読んでいるとどのキャラクターにも愛着がわいてきます。

鈴村 妄想が止まらなくて(笑)。自分の理想の相撲部屋を作るつもりで書きました。

市川 妄想部屋!  私も作りたいです(笑)。読んでいて、「アニメにしたらおもしろそう」と思ったのもそういうところかも。こういう人がいるといいな、というキャラがそろっているんですよ。ツンデレな先輩がいたり、陰でみんなを支える先輩がいたり。キャラが立っているから、きっとアニメ映えするはずです。

鈴村 気になる力士はいましたか。

市川 武藤さんですね。すごく頑張ってストイックに鍛えているんだけれど、一度歯車が狂うとすべてがうまくいかなくなって、負の連鎖に巻き込まれていく感じとか、まるで誰かの体験談を読んでいるようでした。

鈴村 私も武藤さんへの思い入れは強いです。

 彼は「自分には才能がない」と悩んでいますが、じつは私も今回の賞をいただいて書く機会が増えたものの、「私、才能ないな」と思うことがしばしばあって。でも、武藤さんは「自分にできることをやるしかない」と毎日頑張っているじゃないですか。その姿に、私も励まされるんです。

市川 自分で作ったキャラに励まされるのはいいですね(笑)。それと兄弟子の断髪式は、やっぱり泣けました。

鈴村 私がこの作品の中で一番言いたかったのは、「たとえ横綱になって名を馳せようが、序ノ口、序二段のまま引退しようが、一人一人にそれぞれの物語がある」ということなので、断髪式のシーンはどうしても入れたかったんです。そこでその力士の相撲人生が終わると考えると、胸のつまるような思いになります。書くときも気持ちが乗りました。

市川 これは誰かの断髪式のイメージがあったんですか。

鈴村 以前、断髪式を兼ねた祝賀会に行って鋏をちょこっと入れさせてもらったことがあったので、そのときの雰囲気を思い出しながら書きました。

市川 それは貴重な経験ですね。

鈴村 部屋によって違うかもしれませんが、参加費を出せば鋏を入れさせてもらえるんですよ。私が行ったのは、千賀ノ浦部屋の加賀ノ花さんという力士の断髪式でした。でも大銀杏に相撲人生の大切な思い出がつまっていると思うと、全然切れなくて。

市川 いや、それは重いですよね。しかも十両以下の力士にとっては、最初で最後の大銀杏。私も切れないだろうなぁ。

 あと、相撲好きとして興味深かったのは、変化(立ち合いで相手の攻撃を左右に体をよけてかわすこと)の話ですね。変化は相撲をつまらなくするということで嫌う人も多いけれど、ルール違反ではないし、私は相撲のおもしろさのひとつだと思っています。もちろん「この優勝決定戦でそれはないよね」みたいなのはありますけれど、本当に上手な変化って技術がつまっていて、誰でもマネできるものじゃない。ただ一方で、絶対変化をしない、つまりまっすぐぶつかる取組こそが相撲だ、と考えているファンもいて、それもよくわかる。鈴村さんはどちらですか。

鈴村 私も変化はかならずしも悪だとは思っていません。ちなみに変化の話を書こうと思ったのは、以前、若の里関が「過去に一度だけ変化をして、でも今はそれを悔やんでいる」と話していたのがとても印象に残っていたからなんです。

市川 若の里――今の西岩親方ですね。関取時代は鳴戸親方(元横綱・隆の里)の弟子で、稀勢の里の兄弟子でした。そもそも鳴戸親方がストイックに相撲道を追求するような人で、多くを語らないし、実直なタイプ。鳴戸部屋(当時)全体が変化をやるイメージじゃない。それなのに一回だけやってしまったと……。うーん。それはちょっとグッとくる話ですね。

鈴村 そうなんです。そこからエピソードを作りました。それにしても市川さん、やっぱりすごく詳しいですね(笑)。そもそも相撲にハマったきっかけは何だったんですか。ずっと海外にいらしたんですよね。

市川 高校生のとき日本に戻ってきたんですけれど、大学生のとき、たまたま本物の力士を町で見かけたんです。そのとき、「何だこれ!?」って思って(笑)。大きさも恰好も規格外じゃないですか。浴衣で髷を結ってるし、何から何まで圧倒されてしまって。それで興味を持って国技館に観に行くようになりました。

鈴村 生で観た相撲はどうでしたか。

市川 相撲って、ここを押せばここが崩れるとか、ちょっとした動きに技術がつまっているじゃないですか。そういうシンプルな動きの奥深さに、まずは魅了されましたね。それと、スリーカウントもなくて一瞬で勝負が決まるところは死生観ともつながっていると思うし、無差別級で、ウエイトや身長も関係ないところはこれぞ人生だなって。当時は大学の授業が終わってから、毎日のように国技館に通っていました。

鈴村 それはうらやましいです。とくに好きな力士は誰だったんですか。

市川 引退してしまった豪栄道関、安美錦関、豊真将関、嘉風関。このあたりはずっと好きでしたね。中でも好きだったのは業師・安美錦関で、彼の多彩な技と決まり手のバリエーションに相撲の面白さ、奥深さを教えてもらいました。「行司泣かせ」と呼ばれるくらい、最後まで攻防を諦めず、土俵側でのどんでん返しには常にわくわくしましたね。39歳で歴史的に再入幕を果たしたのは感動しましたし。飄々としたスマートなキャラクターも魅力的で、ジョークを言ってアナウンサーさんを困らせる姿も素敵。

 

テレビで立ち合いの瞬間を見て、なぜか好きになった隆の勝関

 

市川 鈴村さんは、いつ頃から相撲ファンになったんですか?

鈴村 小学校五年生の頃です。当時は、朝青龍関の全盛期でした。たまたまテレビを見ていたら朝青龍関が負けて、お客さんが「ウオ~ッ!!」と興奮状態になって座布団がそこらじゅうに飛んでいて。子ども心にも「すごいことが起きている」と。それで相撲を観始めました。相撲って、ルールがとてもわかりやすいじゃないですか。「相手より先に土俵の外に出るか、足裏以外の体の一部が土俵についたら負け」というもの。ルールが単純だったので、小学生の私でもすぐに楽しめるようになりました。

市川 朝青龍で思い出しましたが、私が初めて国技館で生の相撲を観たときに朝青龍が出ていて、一緒に行った友達が「朝青龍がこっちを見てる」って言うんですよ。仕切りで塩をまいて、まわしをバンバンッてたたくじゃないですか。あのとき「今、絶対目があった」「今、紗椰を見た!」って(笑)。たぶんみんなそう思っているんでしょうけれど、それぐらい人気でしたよね。気迫があって、すごくかっこよかったし、本当に強い横綱でした。

鈴村 いい意味でも悪い意味でも、あれほど人を惹きつける力士もいないですよね。引退したときは、本当に寂しかったです。

市川 今は隆の勝関のファンだそうですね。どういうところが好きなんですか。

鈴村 好きになったのは大学に入学する前後で、当時、隆の勝関はまだ幕下で、四股名は舛ノ勝でした。17歳で幕下に昇進したこともあって、初めはなんとなく名前を知っている程度だったんですけれど、ある日、BS放送の大相撲中継を眺めていたら舛ノ勝さんが登場して。 「そういえばこの人同い年だったよな」と思いながら見ているうちに、取組が始まったんです。その、立ち合いの瞬間ですね。どういうわけか「きっと私はこの人のファンになる」と思ったんです(笑)。

市川 えっ、立ち合いの瞬間に恋に落ちた!?

鈴村 はい。理屈抜きにファンになってしまったので、好きな理由を問われると少し困るのですが、常に正々堂々とした相撲を取っているところが好きですね。まっすぐな取り口に、「同い年の人が角界で奮闘しているから自分も頑張らなくては」と励まされてきました。

市川 以来、ずっと一筋なんですね。

鈴村 そうですね。以前、部屋の千秋楽祝賀会に参加した際、お土産で隆の勝関のサインをいただいたのですが、それを額縁に入れて、埃をかぶらないように毎日磨いています(笑)。

市川 それは愛が深いですね(笑)。そしてその熱量が小説からも伝わってきます。会社勤めをしながら書き上げたんですよね。たいへんだったでしょうね。

鈴村 子どもの頃から書くことは好きだったんですけれど、大学の授業でたまたま文章表現を習って、書くのって楽しいなっていうのを再認識して。その勢いで最初の秋場所だけは学生時代に書き上げました。ただ、卒業後は普通に就職したので、二、三年くらいは忙しくて何も書けない日が続きました。その後転職のタイミングで少し時間ができたので、今しかないと思って一気に書き上げたのがこの作品です。

 登場人物には、とても思い入れがあるので、賞を取らなくてもいいから、とにかく応募しておきたいと思いました。でも気づいたら、締め切り日になっていて。しかも原稿をクリップで止めないといけないんですけれど、へんなクリップしかなくて。

市川 ここでまさかのクリップ問題(笑)。へんなクリップってどんなクリップですか。

鈴村 磁石のついてるクリップで、レターパックに入れるといびつに盛り上がっちゃうんです。こんなので出したら、受け付けてもらえないんじゃないかと。諦めようとしたけれど、今までの苦労が無駄になると思って、郵便局の窓口が閉まる五分前にやっと出しました(笑)。

市川 出せてよかった(笑)。出せなかったら私も読めなかったわけですし……。ちなみに、私としては『櫓太鼓がきこえる』の続編もぜひ読みたいと思っているのですが。

鈴村 ありがとうございます。それは少し考えていて、もし書く機会があれば、その時は武藤さんを関取にしようと思っています。

市川 そうなんですね! 武藤ファンとしてはうれしいです。

鈴村 あと、外国人力士の話も書きたいと思っています。今って、外国人力士に対してすごく風当たりが強いじゃないですか。それがとても気になっていて。

市川 そうなんですよ。そもそも「外国人力士」という言葉はいらないと思います。「力士」でいいのに。

鈴村 本当に。私も「日本人横綱」という言い方が嫌です。「日本人」とつける必要はないんじゃないかと思います。力士たち本人は、そういうことを気にしていないかもしれませんが、海外から来て、いきなり相撲部屋に入っても右も左もわからないじゃないですか。外国人の力士の方々はたいへんな苦労をしていると思うので、そういう話が書けたらと。

市川 本当に食事のことを考えただけでもたいへんですよね。外国から来て、いきなりちゃんこを食べろと言われてもきっとおいしさもわからないだろうし。そうすると朝霧部屋に海外から新人が入ってくる……なんていう話もいいですよね。すごく楽しみです。

鈴村 夢は広がりますけれど、まだこれが一作目。欲張らず着実に一作ずつ大事に書いていきたいなと思っています。

市川 楽しみです。応援しています。あと、いつか一緒に相撲を観に行きたいですね。

鈴村 そうですね! 今日は本当にありがとうございました。お会いできてとてもうれしかったです。