第10回渡辺淳一文学賞が木下昌輝さんの『愚道一休』に決定!
2025年04月01日更新
純文学・大衆文学の枠を超えた、人間心理に深く迫る豊潤な物語性をもった小説作品を顕彰する渡辺淳一文学賞。
本年度は、木下昌輝さんの『愚道一休』に決定しました。おめでとうございます!!
木下昌輝『愚道一休』

【内容紹介】
「立派なお坊さんになるのですよ」
母の願いを受けて、安国寺で修行する幼い千菊丸だが、禅寺は腐敗しきっていた。怠惰、折檻、嫉妬、暴力。ひたすら四書五経を学び、よい漢詩を作らんとすることをよすがとする彼の前に将軍寵臣の赤松越後守が現れ、その威光により、一気に周囲の扱いが変わっていく。しかし、赤松は帝の血をひく千菊丸を利用せんとしていることは明らかだった。
建仁寺で周建と名を改め、詩僧として五山の頂点が見えたのにも拘わらず、檄文を残して五山から飛び出して民衆の中に身を投げる。本当の救いとは、人間とは、無とは何なのか。腐敗しきった禅を憎み、己と同じく禅を究めんとする養叟と出会い、その姿に憧れと反発を同時に抱えながら、修行の道なき道をゆくのだった。己の中に流れる南朝と北朝の血、母の野望、数多の死、飢餓……風狂一休の生そのものが、愚かでひたすら美しい歴史小説の傑作。
新着コンテンツ
-
インタビュー・対談2025年11月30日
インタビュー・対談2025年11月30日永井玲衣×頭木弘樹(文学紹介者)「生まれたての言葉と出会う」
言葉について考え続ける永井さんと頭木さん。対話で波打つ言葉の海を、お二人に泳いでいただきました。
-
インタビュー・対談2025年11月26日
インタビュー・対談2025年11月26日村山由佳「動物のことは噓偽りなく書ける。それが私の強みだと気づきました」
愛猫たちとの日々を愛情たっぷりにエッセイに綴ってこられた村山さんが、このたび小説で動物たちと人間を描いたのはなぜなのでしょうか。
-
新刊案内2025年11月26日
新刊案内2025年11月26日I
道尾秀介
「一冊の本」の概念を壊す道尾秀介、2年ぶりの新作。あなたの選択で、結末が変わる。35万部突破の『N』を凌ぐ衝撃。
-
新刊案内2025年11月26日
新刊案内2025年11月26日しっぽのカルテ
村山由佳
舞台は信州の美しい木立の中に佇む動物病院。かけがえのない命をいかに救い、いかに看取るのかを問う、感涙のハートフル・ストーリー。
-
インタビュー・対談2025年11月20日
インタビュー・対談2025年11月20日永井玲衣「言葉との出会いや、それを通して世界とどう出会い直すかを書きたかった」
永井さんがあちこちで行っている哲学対話での出来事を例に挙げたり、心の琴線に触れた詩や短歌を引用したりしながら展開していく本書への思いとは?
-
お知らせ2025年11月17日
お知らせ2025年11月17日小説すばる12月号、好評発売中です!
今年度小説すばる新人賞、抄録掲載! 天野純希さんの新連載、矢野隆さんの対談など本賞出身作家の活躍も見逃せません。