明治の文豪の家に生まれた宿命を背負い、何者かであろうともがき続けた鷗外の末子、森類。

愛と苦悩に満ちた生涯が鮮やかによみがえる畢生の大作『類』の成果により、朝井まかてさんが第71回芸術選奨(文学部門)文部科学大臣賞を受賞されました。

●朝井まかて『類』(装画:森類/装丁:大久保伸子)

朝井まかて『類』書影

【内容紹介】

明治44年、文豪・森鷗外の末子として誕生した森類。

優しい父と美しい母志げ、姉の茉莉、杏奴と千駄木の大きな屋敷で何不自由なく暮らしていた。

けれど、大正11年に父が亡くなり、生活は一変。

大きな喪失を抱えながら、自らの道を模索する類は、杏奴とともに画業を志しパリへ遊学する。

帰国後に母を看取り、やがて、画家・安宅安五郎の娘と結婚。

明るい未来が開けるはずが、戦争によって財産が失われ困窮していく――。

昭和26年、心機一転を図り東京・千駄木で書店を開業。

忙しない日々のなか、身を削り挑んだ文筆の道で才能を認められていくが……。

明治、大正、昭和、平成。

時代の荒波に大きく揺さぶられながら、自らの生と格闘し続けた生涯が鮮やかによみがえる圧巻の長編小説。

単行本・電子書籍ともに好評発売中です!