2020年5月の発売から一年、共感と感動の声が集まり続けている寺地はるなさんの小説『水を縫う』。

今年春の有名私立中学や全国の県立高校の入試問題でも数多く取り上げられ、さらに、今年夏の青少年読書感想文全国コンクール課題図書(高等学校の部)にも選出された今作が、このたび、人のこころを支えるような物語をつくり出した優れた文芸作品に与えられる、第9回河合隼雄物語賞(選考委員は小川洋子さん、後藤正治さん)を受賞しました!

『水を縫う』書影
■装画 生駒さちこ
■装丁 宮口 瑚

今を生きる私たちの心に響く物語を発表し続けている寺地はるなさんですが、今作では、世の中で「普通とされていること」「常識とされていること」をもう一度問い直していきます。

「男なのに」刺繍が好きな高校一年生の清澄。
「女なのに」かわいいものが苦手な社会人の水青。
「愛情深い母親」になれなかったコンプレックスを抱えている、ふたりの母であるさつ子。
清澄が一歳の頃に離婚し家を出て、「まっとうな父親」になれなかった全……

そんな彼らひとりひとりが、一歩ずつ前へと踏み出していく姿をぜひ見届けてください。
「男なのに」「女らしく」といった言葉の前に立ち止まったことのあるすべての人に贈る、あたらしい希望の物語です。