現代小説、時代小説を問わず、真に広汎な読者を魅了しうる作家と作品を顕彰する柴田錬三郎賞。
本年度は、青山文平さん『そこれ』(徳間書店)、金原ひとみさんの『ミーツ・ザ・ワールド』(集英社)の二作同時受賞となりました。
おめでとうございます!!

青山文平『底惚れ』

(徳間書店刊)

【あらすじ】
一季奉公を重ねて四十も過ぎた。己れを持て余していた男は、密かに想いを寄せていたお手つき女中・芳の二度と戻れぬ宿下がりの同行を命ぜられる。芳への理不尽な扱いに憤り、男は彼女に奉公先を見返す話を持ちかけた。初めての極楽を味わったその夜、芳は男を刺し、姿を消した。芳に刺されて死ねるのを喜ぶ男。しかし、意に反して男は一命をとりとめた。人を殺めていないことを芳に伝えるため、どん底の岡場所のどん底の女郎屋の主となって芳を探すが……。

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【著者略歴】
1948年神奈川県生まれ。 2011年 『白樫の樹の下で』で第18回松本清張賞を受賞しデビュー。 15年 『鬼はもとより』で第17回大藪春彦賞、 16年『つまをめとらば』で第154回直木三十五賞、 22年 『底惚れ』で第17回中央公論文芸賞を受賞。 他の著書に 『かけおちる 』 『流水浮木 最後の太刀』 (文庫では 『伊賀の残光』 と改題) 『約定』 (文庫では 『春山入り』と改題) 『半席』 『励み場』 『遠縁の女』 『跳ぶ男』 『江戸染まぬ』 『泳ぐ者』 がある。

金原ひとみ『ミーツ・ザ・ワールド』

ミーツ・ザ・ワールド
(集英社刊)

【あらすじ】
死にたいキャバ嬢×推したい腐女子。
焼肉擬人化漫画をこよなく愛する腐女子の由嘉里。
人生二度目の合コン帰り、酔い潰れていた夜の新宿歌舞伎町で、美しいキャバ嬢・ライと出会う。
「私はこの世界から消えなきゃいけない」と語るライ。彼女と一緒に暮らすことになり、由嘉里の世界の新たな扉が開く――。「どうして婚活なんてするの?」
「だって! 孤独だし、このまま一人で仕事と趣味だけで生きていくなんて憂鬱です。最近母親の結婚しろアピールがウザいし、それに、笑わないで欲しいんですけど、子供だっていつかは欲しいって思ってます」
「仕事と趣味があるのに憂鬱なの? ていうか男で孤独が解消されると思ってんの? なんかあんた恋愛に過度な幻想抱いてない?」
「私は男の人と付き合ったことがないんです」
推しへの愛と三次元の恋。世間の常識を軽やかに飛び越え、幸せを求める気持ちが向かう先は……。
金原ひとみが描く恋愛の新境地。

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【著者略歴】
1983年東京都生まれ。 2003年 『蛇にピアス』 で第27回すばる文学賞を受賞しデビュー。 04年同作で第130回芥川龍之介賞を受賞。 10年『TRIP TRAP』で第27回織田作之助賞、12年 『マザーズ』で第22回 Bunkamura ドゥマゴ文学賞、20年 『アタラクシア』で第5回渡辺淳一文学賞、21年 『アンソーシャルディスタンス』で第57回谷崎潤一郎賞を受賞。 他の著書に 『星へ落ちる』 『持たざる者』 など多数。

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