小説が大充実の6月号。島田雅彦さん、金石範さんはもちろんのこと、本誌に小説初掲載の古谷田奈月さん、辛島デイヴィッドさんの作品も読みごたえたっぷり!

【小説】
島田雅彦「時々、慈父になる」(3)
「私」が最初に小説を通じて妄想の旅に出たのは中学二年の時だった。この時期にあらゆる心的、身体的エクササイズを試し、自らを解放できるようになってほしい。そう願う父である「私」は息子ミロクを海外留学させることにした。

【小説】
古谷田奈月「フィールダー」(1)
フィールドに出て、敵を迎え撃て――。スマホゲーム『リンドグランド』を日々プレイする「ハルオ」=橘泰介は、総合出版社・立象社で編集者として働いている。ある日、担当する児童福祉の専門家・黒岩文子から奇妙な長文メールが届き……。

【小説】
辛島デイヴィッド「インターセクションズ」
―ぼくらの学校でランドセルを流行らせたのは転校生のレノンだった―。30年ほど前のとある街。さまざまなルーツを持つ子どもたちが通う学校とそれを取り囲む大人たち。そこで見えた風景をいくつもの視点から「語る」中編100枚。

【小説】
金石範「地の疼き」(後編)
民主化闘争が行われている韓国・ソウルへやってきたK。連日デモが続く街の様子を見て時間の感覚が混乱し始める。自身が書き継いできた『火山島』の登場人物が眼のまえに現れ、さらに1945年にこの地で出会ったある友人との思い出が蘇ってきて……。

【国際交流基金 共同企画】 
「会えない時代の往復書簡 松田青子×ケリー・リンク編2」
「SNSでない場所で、相手の日常やこれまでの生活の断片をシェアしてもらうことはこんなにも心が温まることだったのか」。コロナ禍二年目の日常、そしてそれぞれの創作について語り合う。

【第七回渡辺淳一文学賞発表】
受賞作 葉真中顕『灼熱』
受賞のことば、選考委員の浅田次郎氏、小池真理子氏、髙樹のぶ子氏、宮本輝氏の選評を掲載。

【第三十七回詩歌文学館賞発表】
受賞作 詩部門・田中庸介『ぴんくの砂袋』
    短歌部門・志垣澄幸『歌集 鳥語降る』
    俳句部門・遠山陽子『輪舞曲』(『遠山陽子俳句集成』所収より)

受賞のことば、選評、受賞作抄録掲載。

【追悼】
3月21日に逝去した青山真治氏を偲んで――。
田中慎弥「生き残った者として」
原田ひ香「忘れられない一日」

連載小説、対談、エッセイ、コラム等、豊富な内容で毎月6日発売です。