担当編集より

渡辺優さんの最新長編『悪い姉』は、妹が年子の姉を殺そうとする不穏な冒頭からはじまります。
三月生まれの妹・倉石麻友と、前年四月生まれの姉・凛は、生まれの近い年子のため、同学年として同じ高校に入学。高校二年生になった春、麻友は姉を殺す計画を立てます。
姉は、誰もが振り返るような美少女ですが、実は意地悪で残酷。幼いころからいじめなどの問題行動を繰り返してきました。

「いける気がする。今日こそやれる気がする。
私はきっとやり遂げて、そしたら、明日からは姉のいない世界を生きていける。安全で、穏やかで、揺るぎない希望に満ちた世界だ。(中略)想像するだけで、涙が出そうだ」

(本文より)

ずっと「毒姉」との決別を夢想しては敗れてきた妹の、試行錯誤の行方は? 
そして、妹自身が抱え続ける罪とは――?

著者の渡辺優さんは、痛快な毒とユーモアのある文体で注目を集める、新世代の作家です。
イマジネーションを駆使して、女子高生が自由へと向かう物語、ぜひお楽しみください!

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「青春と読書」公式サイトにて、吉田大助さんによる書評が掲載されています。
「異形にして真っ当な二〇二〇年の家族小説」
http://seidoku.shueisha.co.jp/2009/read05.html
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