【特集:文字を遊ぶ】

手で紙に文字を書くと、新しいアイデアが生まれたり。
パソコンやスマホで文字を打つと、思考がまとまったり。
他人ひとの文字を見て、人柄が伝わってくるときもあれば、印刷された文字を読んで、いろんな人の声が聞こえてくることもある。

「文字」って、何だろう?

「小説すばる」は、二〇二四年十二月号から雑誌ロゴや本文フォントを刷新しました。
小説にとって欠かすことのできない「文字」。
手書きや活字といった垣根を越えて、その魅力や奥深さについて考えます。

新春書き初め&座談会/岩井圭也×木爾チレン×須藤古都離×渡辺 優「世界の中心で、未来を書き初める」

本誌の創刊年でもある一九八七年に生まれた作家四人がこの日、書き初めをするために集結した。
『われは熊楠』で直木賞候補となり、現在は本誌にて「風車と巨人」を連載中の岩井圭也。
女子高が舞台のデスゲーム小説『二人一組になってください』が話題沸騰中の木爾チレン。
メフィスト賞受賞デビュー作『ゴリラ裁判の日』でいきなりスマッシュヒットを放った須藤古都離。
本誌の新人賞出身、 現在連載中の最新作「女王様の電話番」で新境地を切り開いた渡辺優。
書き初めのお題は二〇二五年の抱負。
同世代ならではの共通体験や「手書き」にまつわる記憶、作家としての未来像など、四人がどっぷりと語り合った。

「森羅記」連載スタート記念対談/北方謙三×EXILE TAKAHIRO「手書きから伝わる表現の息遣い」
いよいよスタートした北方謙三さんの新たな歴史巨編「森羅記」。
その“顔”となる題字を手掛けてくださったEXILE TAKAHIROさんは、ヴォーカリストとして力強さと繊細さを兼ね備えた歌声でファンを魅了する一方、実は書道の有段者でもあり、個展を開くなどの腕前をお持ちです。
今回は、原稿用紙に万年筆という執筆スタイルを貫き続ける北方さんと、「書」の分野でも活躍の場を広げる EXILE TAKAHIRO さんのお二人に、手書きの魅力や表現者としてのあり方について熱く語り合っていただきました。

書楼しょろうとむらい堂 そう』刊行記念対談/京極夏彦×鳥海 修(書体設計士)「活字の誕生は革命だった」
古今東西のあらゆる書籍が揃う書舗・堂を舞台に人と本との関係を鮮やかに描き出す京極夏彦さんの「書楼弔堂」シリーズがこのたび遂に完結。最終巻『霜夜』の語り手を務めるのは、活字の元になる字を作ることを職業にしている甲野です。
そこで、書体デザインの第一人者である鳥海修さんをお招きして、京極さんとの対談を敢行。本シリーズの魅力や明治期から現代に至る明朝体の変遷などを熱く語り合っていただきました。

インタビュー/有山達也・須田杏菜・水戸部 功「装丁家が語る、好きな文字」

文字を扱う三名のプロフェッショナルに、“偏愛する書体”について聞きました。

【新連載】
井上荒野「アクリル」
僕らは順当に幸福になっていく――
そう信じて疑わなかった卓郎と美幸の関係は、ある存在を契機に、にわかに歪みはじめる。
「推すこと」の深奥に迫る、待望の新連載!

【読切シリーズ/小説1926】
木下昌輝「ジョバンニと文選さん」
大阪の活版所で文選のアルバイトをする貴一は、ある日、東京から来たという少年・忍と出会う。
激動の昭和――、文選工として切磋琢磨する日々を送っていた二人にも、時代の大きな波が訪れる 。
昭和の大阪を舞台に贈る、著者初の現代小説。

【エッセイ】
澤田瞳子「なにげに文士劇顛末記・上」
去る十一月十六日、大阪の名ホール「サンケイホールブリーゼ」にて関西・九州を拠点にする作家、画家、編集者、書店員が集まり舞台に立つ前代未聞の企画「なにげに文士劇2024 旗揚げ公演 放課後」が行われた。
十六名もの人気者が一堂に会した舞台とあって、チケットは即完売。
しかし、実現に至るまでは、想像を絶する苦労があって……。
本公演の実行委員の一人である澤田瞳子さんがその舞台裏を日記形式で熱く綴ります!

【連作短編】
砂原浩太朗『武家女人記 最終話 緑雲の陰』 
大名の正室として江戸屋敷で暮らす倫。
そこへ、子を授からなかったため養子とした、世継ぎの義弟が亡くなったとの報せが――。
武家社会に生きる女性を描くシリーズ、最終話。

【ブックレビュー】
砂原浩太朗『冬と瓦礫』 塩田武士「間にあるもの」

【『翳りゆく午後』刊行記念インタビュー】
伊岡 瞬「家族の“老い”にどう向き合うか」
「人を轢いたかもしれない」
ある日突然、年老いた親からそんな連絡が届いたら……。
決して他人事ではないと連載中から読者を震撼させてきた、高齢ドライバー問題をめぐる『翳りゆく午後』がいよいよ刊行。
二〇二五年に作家デビュー20周年の節目を迎え、多数のサスペンスミステリーを生み出してきた伊岡瞬さんに、創作の裏側や小説観についてのお話をたっぷり伺いました。

【『いつかの朔日』刊行記念インタビュー】
村木 嵐「つながる人、思い、物語」
人質から天下人にまで上り詰めた徳川家康とくがわいえやす
その周囲には、祖父・松平清康まつだいらきよやすの時代からそばに仕え、家康に夢を託した家臣たちがいた。
まだ何者でもなかった幼い家康を、なぜ彼らはそこまで信じることができたのか。
代替わりする家臣団を通して見えてきたものとは――。

【インタビュー連載「注目の星」】
金子玲介「生と死のあわいを描く」
二〇二四年にメフィスト賞を受賞し、デビュー作『死んだ山田と教室』が大きな話題を呼んだ金子玲介さん。
「死んだ」という強烈な言葉を冠するタイトルのシリーズ最新作、『死んだ木村を上演』がこのたび刊行されました。
早くもシリーズ三作目となる今作は、自身が関心を寄せている「演劇」が舞台。
最新作について、そしてデビューしてからの一年間について伺いました。

【第38回小説すばる新人賞】
募集要項はhttp://syousetsu-subaru.shueisha.co.jp/sinjinsyo/をご覧下さい。ご応募をお待ちしております。

【表紙】
小説すばるの表紙が台湾出身の漫画家・イラストレーター、高妍(ガオ イェン)さんをカバーイラストレーターにお迎えしリニューアルしました。高妍さんのSNSはこちら!

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連載小説、インタビュー、対談、エッセイ、書評等、豊富な内容で毎月17日発売予定です。