すばる7月号、好評発売中です!
2025年06月06日更新
すばる7月号、好評発売中です!
太平洋戦争終結から80年。
実体験を語れる人が少ない今だからこそ、「戦争を書く」必要がある。
創作物を通して、戦争の痛みと平和について思いを馳せよう――。
【小説短期集中掲載】
遠野遥「吸血鬼」(3)
特製日傘や手袋の支給、校舎の窓はすべて分厚い遮光カーテンで閉め切るなど、万全の日焼け対策をしていた学院。しかしアッパークラスの男性が結婚相手に求める「トレンド」に変化があり、突如大きな方針転換が発表される。
【特集:戦争を書く】
太平洋戦争の終結から八十年。実体験を語れる人はすでに少ない。だからこそ今、「戦争を書く」必要がある。わたしたちは、創作物をとおして、想像力を働かせ、耳をすますことができる。戦争がもたらす痛みと悲しみ、何事もない日常への祈りが聞こえてくる。
エッセイ/浅田次郎「戦争の記憶」
昭和二十六年、東京で生まれた筆者の記憶に残るのは、昭和三十年ごろからの町並。すでに戦争の爪痕――焼跡などはなかったが、戦争の記憶を留める風景、「駐留軍」の米兵や「傷痍軍人」の姿はあった。筆者が「戦争小説」を書く理由を綴る。
小説/小野正嗣「空き家の兵隊さん」
海辺の小さな集落で暮らす、今年80歳になる幼なじみののぶよと繁子。空き家となった隣家の手入れを頼まれていたのぶよは、ある日、隣家の小屋で兵隊さんに出会う。
小説/桜庭一樹「あの庭に桜の木はなかった」
子供の頃、わたしは母に連れられ、日曜と祭日のたびに祖父母の家を訪ねた。そこでは、祖母から昔話をよく聞いた。四歳から上海租界で育ち、大人になって満州国に移り、祖父と結婚したこと、そして戦争に負けて、引き揚げたときのことを。
小説/田中慎弥「死の素人」
作家生活20年の浮いては沈む日々、ここ数年は毎年元旦に遺書を認めている。ある日ふと映画が見たくなって、神保町の映画館でチケットを買い、上映時間までぶらぶら九段下へ向かった。しかしその先にある靖国神社には参拝せず、引き返す。これには個人的ないわくがあった。
小説/河﨑秋子「野良芋」
昭和二十年代の初めの北海道、農家の水瀬誠のもとに結婚話が舞い込む。相手は、駅前の旅館で住み込みで働いているハルノ。二十一歳という年齢よりも老けて見えた。男寡で片足が不自由な自分になぜ……と誠は訝しむが、ふたりには共通する過去があった。
小説/佐藤厚志「鶺鴒」
7月10日の夜明け、変わり果てた駅前に、人がいき交い始める。夜中に焼夷弾が落ち、美しい西洋建築だった仙台駅駅舎は燃え落ちていた。中学生の息子を探して、母親は余燼がくすぶる市街地を歩く。
小説/清水裕貴「光の味を知るものたち」
私設カメラ博物館のガラスケースにおさめられた一台の「マミヤシックス」。原爆投下直後の広島の街を、持ち主とともに目撃していた。のちに貴重な資料となった5枚の写真。あの日、「私」が写し取ったものはなんだったのか。
エッセイ/小林エリカ「少女たちの日本・ドイツ・イタリア」
はじめてのイタリア旅行。自由と学問の街を標榜するボローニャを訪れた筆者は、その中心部マッジョーレ広場で、レジスタンスで命を落とした市民たちの名前と白黒写真を目にする――。
エッセイ/豊永浩平「やりおえていない宿題」
筆者が中学生のころ、みなが何気なく「内地」という言葉を使い、「日本が内だというのなら、いったいここはどこか」と担任に叱られた。当時を振り返りながら、戦後80年のさらに先へ続く決意を綴る。
エッセイ/武谷田鶴子「被爆者 田鶴子」
96歳の筆者は、16歳のとき広島で原子爆弾の被害に遭った。10年後、形成手術を受けるべくアメリカへ渡り、そこで目にしたものとは――数々の出会いと目を開かされた経験、そして帰国後に受けた差別、その後の人生を綴る。
論考/奥憲介「希望のための戦後小説ガイド」
戦争文学を読むことは現在進行形の“世界”文学を読むこと。80年前、戦争の悲惨をくぐり抜け、新しく生を始めるほかなかった人々の精神の軌跡を描く坂口安吾、宮本百合子、佐多稲子、武田泰淳、石川淳の作品を紹介する。
論考/小津夜景「形式と不在――語られなさを読むということ」
高山れおなの句集『百題稽古』を読みながら、主題とは別に、かすかな「戦後の匂い」を感じ取る。文学でありながら音数に限りがある定型詩の、形式に沈む「語られなさ」を考える。
【『ダロウェイ夫人』刊行100周年記念インタビュー(後編)】
松田青子「ヴァージニア・ウルフと松田文学について」
ウルフの文学と現代の書き手との接点を考える第二弾。作家・松田青子さんにウルフをどう読んできたかと自身の創作について尋ねる。聞き手・構成は、小川公代。
【追悼:マリオ・バルガス=リョサ】
柳原孝敦「書かれなかった小説たち――密林作家マリオ・バルガス=リョサを悼む」
シンポジウムの席で、バルガス=リョサも大江健三郎と同じく体制に反逆する少数者にまなざしを注いでいたと思いついた筆者が、彼が書くはずだった小説を空想する。
【第50回すばる文学賞】
みずみずしく意欲的な力作・秀作をお待ちしています。募集要項は http://subaru.shueisha.co.jp/bungakusho/ をご覧ください!
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