第46回すばる文学賞受賞作は、大谷朝子さんの「がらんどう」。ルームシェアを始めたアラフォーの独身女性の平井に、ある出来事をきっかけに訪れた心境の変化とは? 島田雅彦さんの「時々、慈父になる」の最終回、千早茜さんの新連載「傷痕」、森田真生さんの論考、桜庭一樹さんの対談シリーズ(お相手は吉田恵里香さん)など、どれも刺激的で必読です!

【連載最終回】
島田雅彦「時々、慈父になる(4)後のことはおまえに任せた」
サバティカルでのニューヨーク滞在を終え、「私」は講義と執筆を交互にこなす生活に戻った。海外留学中の息子ミロクの不在に寂しさを覚え、茶杓作りに熱中するが、竹を一ダースほど削り出したころ、小説の新作に取りかかる――。

【新連載】
千早茜「傷痕(1)竜舌蘭」
百貨店の受付で働く「私」は、怒りをぶつける客に頭を下げ続けていた。そのたびに小指に触れるふともものきずあとは、ふだんはほとんど忘れているのに、こんなときこそ、「私」を冷静にさせるのだった――。「傷」をめぐる短編シリーズ第1話。

【第46回すばる文学賞受賞作】
大谷朝子「がらんどう」
印刷会社の経理部に勤める「四十手前の地味な女」平井は、ある日、会社に出入りしていたシステムエンジニアで、数歳年上の知人に「一緒に住まない?」と誘われる。知人が突然、平井を同居に誘ったわけは……? 

第46回すばる文学賞の選考経過と、選考委員(奥泉光、金原ひとみ、川上未映子、岸本佐知子、堀江敏幸)による選評、受賞者インタビューを掲載します。
また、第47回すばる文学賞の募集要項はhttps://subaru.shueisha.co.jp/bungakusho/をご覧下さい。ご応募をお待ちしております。

【森鷗外没後100年】
平野啓一郎「鷗外を今読むこと」
今年、没後100年を迎えた森鷗外。7月3日、東京大学伊藤謝恩ホールにて開かれた〈「読み継がれる鷗外」シンポジウム〉の基調講演を載録。その巨大な存在を100年後に生きるわたしたちはどう読み継いでいくのか。平野啓一郎氏が鷗外の深い迷宮にいざなう。

平野啓一郎×青山七恵×平出隆×ロバートキャンベル「読み継がれる鷗外」
2022年7月3日東京大学伊藤謝恩ホールにて開催されたシンポジウムより、パネルディスカッション「読み継がれる鷗外」を載録。多彩な経歴を持つ登壇者の方々が鷗外作品を読み解き、その接点について語る。

【対談】
桜庭一樹×吉田恵里香「変化する価値観と物語の強度」
桜庭氏が「新時代のクリエイター」として注目する方と対話するシリーズが始動。第一回はドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『恋せぬふたり』の脚本家、吉田恵里香さん。作品について、作り手側の倫理観について語らう。

【論考】
森田真生「遊びをめぐる断章」
『僕たちはどう生きるか』の刊行から一年。刻々と変わりゆく世界を今、独立研究者の森田氏はどう見ているのか。そのキーワードとなる「遊び」について、さまざまな書物を紐解きながらあらたな思考と対話を探っていく。著者最新の論考を掲載。

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