編集者のテマエミソ新刊案内
幻想文学&外国文学ファンも必読! 谷崎由依『鏡のなかのアジア』、7月5日発売。
独特の昏さとエロチシズムが漂い、読後、高級な酒を飲んだような酩酊感に包まれる。このダークな酔いが堪らない。──吉村萬壱氏(作家)
言葉の自明性を小説内部で問い直すアクロバティックな試みは、
間違いなく中毒性がある。──江南亜美子氏(書評家)
物語は自在に時空を移動しつづけ、ホラ話めいたさまざまなイメージは
いつしか、圧倒的な美しさを獲得する。──柴田元幸氏(翻訳家)
はるかな歴史を持つ僧院で少年僧が経典の歴史に触れる、「……そしてまた文字を記していると」、
雨降る村でかつて起こった不思議な出来事を描く、「Jiufenの村は九つぶん」、
時空を超え、熱帯雨林にそびえる巨樹であった過去を持つ男の物語「天蓋歩行」など、
全五編の幻想短編集です。
アジアの「土地」をテーマに、文芸誌「すばる」に掲載された作品を収録しました。
著者の発想の起点となったのは、イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』。
まぼろしの土地を舞台に、時空を超えた魔法のような物語が紡がれていきます。
ことばが持つ、果てしない自由に気づかされる一冊です。ぜひご一読ください。
(編集担当AT)
著者プロフィール
- 谷崎由依たにざき・ゆい
- 作家・翻訳家。近畿大学文芸学部文学科准教授。1978年福井県生まれ。京都大学大学院文学研究科修士課程修了。2007年「舞い落ちる村」で第104回文學界新人賞を受賞し、デビュー。著書に『舞い落ちる村』、『囚われの島』、訳書に『あたらしい名前』(ノヴァイオレット・ブラワヨ著)、『地下鉄道』(コルソン・ホワイトヘッド著)など多数。