
内容紹介
「母」を、解きほぐす。
社会的/政治的役割から「母」を解放し、手あかにまみれたその概念を捉えなおすために。
産後うつに陥った人、流産を経験した人、産まないと決めた人、養子を迎えた人など、社会で埋もれる「声なき声」に耳を傾けた、魂ほとばしる〈ルポルタージュ・エッセイ〉。
【刊行以来、各紙誌で絶賛の声、続々!】
こんなに密度の濃い、あるいは濃度の高い書きものを読んだことが、近ごろあっただろうか。その密度あるいは濃度が、読んだ後ずっと残って離れない。
――斎藤真理子氏(「すばる」2021年3月号書評)
語りきれないものを語りながら近づき、語りきれない可能性を知るからこそ伝えられることがある。手探りでどうにか進んで行こうとするこの試みを、この先も読んでいきたい。
――柴崎友香氏(「読売新聞」2021年3月21日書評)
「妊娠、出産、育児の場における女性の身体論の記録」を通じて、生命の誕生を資本主義社会の都合に合わせて効率的に処理しようとする姿勢の根本的な過ちを思い知らされる。
――田中俊之氏(「日本経済新聞」2021年2月20日書評)
【目次】
まえがき
第一章 言葉を失った私と、あなたへの私信
第二章 女たちの館の孤独
第三章 少女たちの変身
第四章 無縁としての女性たち
第五章 失われた子どもたち
第六章 母の彼岸性
第七章 脱コルセット
第八章 養子――たくさんの手のなかで
第九章 父から見たマザリング
第十章 虚無としての母
第十一章 私たちの母へ
あとがき
プロフィール
-
中村 佑子 (なかむら・ゆうこ)
1977年東京都生まれ。映像作家。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。哲学書房にて編集者を経たのち、2005年よりテレビマンユニオンに参加。映画作品に『はじまりの記憶 杉本博司』(2012年)、『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』(2015年)がある。主なテレビ演出作に、「幻の東京計画 ~首都にありえた3つの夢~」(NHK BSプレミアム、2014年)、「地球タクシー レイキャビク編」(NHK BS1、2018年)など。本書が初の著書となる。
新着コンテンツ
-
連載2025年03月21日連載2025年03月21日
ナモナキ生活はつづく
第15回:大切な存在だからこそ
20年間、自分に合う美容院を見つけられなかった寺地さんが、やっと辿り着いた境地とは。
-
インタビュー・対談2025年03月20日インタビュー・対談2025年03月20日
ファン・ボルム×三宅香帆「「読者」というアイデンティティを自覚する」
日本と韓国の“本オタク”のお二人のオンライン対談が実現!
-
お知らせ2025年03月17日お知らせ2025年03月17日
小説すばる4月号、好評発売中です!
道尾秀介さん待望の新連載『I』は、前作『N』を超える新たな小説体験! 松井玲奈さん、町田そのこさんの最新刊に寄せた対談やインタビューも。
-
連載2025年03月14日連載2025年03月14日
ナモナキ生活はつづく
第14回:わしゃ気にせんよ
忙しい毎日、片付かない部屋……。寺地さんが最近はじめた、ある解決方法とは?
-
連載2025年03月14日連載2025年03月14日
【ネガティブ読書案内】
第40回 小指さん
「気づいたら社会から孤立していた時」
-
連載2025年03月07日連載2025年03月07日
ナモナキ生活はつづく
第13回:目標は小さいほうがいい
「新年の抱負」にまつわる思い出と、目標との付き合い方について