
内容紹介
【第64回 毎日芸術賞・第57回 吉川英治文学賞受賞作】
北海道での介護職を辞し憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極め、未知の「生殖医療ビジネス」にいざなわれる29歳女性・リキ。バレエ界の「サラブレッド」としてキャリアを積み、自らの遺伝子を受け継ぐ子の誕生を熱望する43歳男性・基(もとい)。その妻で、不育症と卵子の老化により妊娠を諦めざるを得ず、「代理母出産」という選択をやむなく受け入れる44歳女性・悠子。それぞれのままならぬ現実と欲望が錯綜する、ノンストップ・ディストピア小説!
プロフィール
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桐野 夏生 (きりの・なつお)
1951年金沢市生まれ。93年「顔に降りかかる雨」で江戸川乱歩賞受賞。98年『OUT』で日本推理作家協会賞、99年『柔らかな頰』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞、『ナニカアル』で10年、11年に島清恋愛文学賞と読売文学賞の二賞を受賞。15年には紫綬褒章を受章、21年には早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。23年『燕は戻ってこない』で毎日芸術賞、吉川英治文学賞を受賞。『バラカ』『日没』『インドラネット』『砂に埋もれる犬』など著書多数。日本ペンクラブ会長。
推薦のことば
頁の隙間から聞こえてくる、今の世界を保持するための骨組の軋み。
こういう小説と出会うことでしか、私達は私達の不都合な部分を見つめられない。
――朝井リョウ(作家)
女であること、産む性であることは、なんて悲しいのだろう。
ラストを読み、思わず溢れた涙の理由を、私は今も考えつづけている。
――小島慶子(エッセイスト)
新技術と経済・ジェンダー格差が交差するとき、恩恵を受けるのは男性だ。
被害をこうむるマイノリティの苦しみを、マジョリティの私がどこまで想像できるかを突きつけられ、たじろいだ。
――斎藤幸平(経済思想家)
読んでいる間、ずっと殴られるような感覚に襲われていた。
それは自分を含む大勢の人が、今この瞬間も世界に殴られ続けているのだという、気付きであり目覚めでもある、大切な痛みだった。
――村田沙耶香(作家)
刊行記念インタビュー
試し読み
お知らせ
・【著者インタビュー】「毎日新聞」(2022年2月28日ウェブ更新、3月3日朝刊掲載)に、インタビュー〈「貧困は女性のせい?」桐野夏生さんが語るジェンダー格差への怒り〉が掲載されました!
・【著者インタビュー】「eclat」4月号(2022年3月1日発売)に、インタビュー〈作家・桐野夏生さんが”女と社会”にこだわる理由〉が掲載されました!
・【著者インタビュー】「MyAge」春号(2022年3月1日発売)に、インタビュー〈日進月歩の生殖医療。女性の心身の自由について考えました〉が掲載されました!
・【書評】「すばる」4月号(2022年3月4日発売)に、斎藤環さんによる書評〈「プロセス」としての非母性まで〉が掲載されました!
・【著者インタビュー】「読売新聞」(2022年3月6日朝刊掲載)に、インタビュー〈著者来店 代理出産と女性の尊厳〉が掲載されました!
・【座談会】「VERY」4月号(2022年3月7日発売)に、桐野夏生さん・小島慶子さん・武田砂鉄さんの座談会〈拡散するシスターフッド〉が掲載され、『燕は戻ってこない』が紹介されました!
・【著者インタビュー】「東京新聞」(2022年3月8日朝刊掲載)に、インタビュー〈桐野夏生最新刊『燕は戻ってこない』 出版記念インタビュー〉が掲載されました!
・【書評】「週刊文春」(2022年3月17日発売)に、朝井リョウさんによる「私の読書日記 資本主義の上部と内実」が掲載され、『燕は戻ってこない』が論じられました!
・【ラジオ】「大竹まこと ゴールデンラジオ」(2022年3月17日、文化放送)に桐野夏生さんが生出演し、関連記事〈桐野夏生が代理母ビジネスを描く最新作『燕は戻ってこない』ロシア、ウクライナとの関係は?〉が配信されました!
・【書評】「週刊現代」(2022年3月18日発売)に、南沢奈央さんによる書評〈貧困から脱するために「卵子」を他人に貸す29歳女性が見たもの。性と尊厳の果てを描く〉が掲載されました!
・【ブックレビュー】「週刊ポスト」(2022年3月18日発売)に「話題の新刊」として取り上げられました!
・【書評インタビュー】「telling,」(2022年3月21更新)に、長田杏奈さんのインタビュー〈「自己責任だと追い込む社会 忘れてはいけない」ライター・長田杏奈が語る桐野夏生最新作〉が掲載されました!
・【文芸時評】「毎日新聞」(2022年3月31日)に、田中和生さんによる評〈進むデジタル化 ファシズム的な世界に〉が掲載され、『燕は戻ってこない』が論じられました!
・【文芸時評】「毎日新聞」(2022年3月31日)に、小川公代さんの「3月 私のおすすめ」として『燕は戻ってこない』が取り上げられました!
・【対談】「すばる」5月号(2022年4月6日発売)に、桐野夏生さん・よしながふみさんの『燕は戻ってこない』『大奥』をめぐる対談〈無限の可能性を秘めた「子ども」の前で〉が掲載されました!
・【論考】「すばる」5月号(2022年4月6日発売)に、倉数茂さんによる評論〈家父長制社会に「女」という文字を書きこむ――『燕は戻ってこない』論〉が掲載されました!
・【インタビュー】「現代ビジネス」(2022年4月8・9日配信)に、インタビュー〈前編: 29歳困窮女性の代理母出産を描いて見えた「日本の貧困、本当の実態」〉〈後編: 衰退の一途をたどる日本の「深刻な階級社会」を変えることができるか〉が掲載されました!
・【インタビュー】「SPUR」(2022年4月22日発売)に、インタビュー〈その生きづらさや苦しみを可視化する。桐野夏生が寄り添う女たち〉が掲載されました!
・【インタビュー】「女性自身」(2022年5月17日発売)の〈今週のあなたを開く本〉に、著者インタビューが掲載されました!
・【インタビュー】「プレジデント・オンライン」(2022年5月26・27日配信)に、インタビュー〈前編: 女性を虐げるのは男性だけではない…桐野夏生が「代理出産」で描いた”恵まれた女性”には見えない真実〉〈後編: 「これ以上、日本だけ後れを取りたくない」作家・桐野夏生が女性初の日本ペンクラブ会長を引き受けた理由〉が掲載されました!
・【テレビ】「クローズアップ現代」(2022年6月1日放送)に桐野夏生さんが出演し、関連記事〈アンフェアネス、ラベリング…作家・桐野夏生さんが物語で抗う理由【インタビュー】〉〈「これは私たちの物語だ」…なぜ刺さる?桐野夏生さんの言葉 作品の魅力を語る〉が配信されました!
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