担当編集のテマエミソ新刊案内
全ての小中高生に届けたい──26歳の新鋭が描く、青春小説『放課後ひとり同盟』 4月26日(木)発売
どんな人生を歩んでも、きっと誰か、味方はいる──!
読み終えたあと、そう叫びたくなるのが本作『放課後ひとり同盟』。
学校を舞台に、10代特有の初期衝動を描く、青春連作短編集です。
日常に閉塞感のある人にこそ読んでほしい、一歩前に踏み出す勇気をくれる作品になっています。不思議な章タイトルも魅力の本作、少しだけご紹介いたします。
「林ちゃん、なにか護身術習えば?」そう提案されるがままに、私はパルコの屋上にいる「蹴り男」に会いに行く。その男は、空から降ってくる不幸を阻止するために、空に向かって蹴りを続けていると言うが──「空に飛び蹴り」。
気になる人ができたかも。新学期、クラス替えした教室で、私は原田幹雄に出会う。クラスでひと際目立つ、快活で、光のような存在の原田を意識する一方で、私はあることに悩んでいた──「怒る泣く笑う女子」。
家族への違和感、思い通りにいかない恋愛……。消沈するみさ子の前に現れたのは、嫌な感じのする犬だった──「吠えるな」。
手持無沙汰なときにはいつもひらがなを書く。書いている最中は、心が温かくなって幸せな気持ちになる──「ストーリーテラー」。
僕はその場から消えてなくなりたかった。救ってくれたのは、四年生のあたまに転校してきた栗田君だ──「僕とじょうぎとぐるぐると」。
以上全5編の短編で構成されています。
もし私が中学生の頃に本作を読んでいたら、きっとあの時、あんなに悩まなくて良かったのではないか…。そう思わせてくれるパワーのある小説です。全国の小中高生の皆さまに、ぜひ触れていただきたい。そう強く願います。
最後に、翻訳者の金原瑞人さんにいただいた素敵なコメントを掲載します。
いま、ほんとうに、こんな本がほしかったんだ。
ほかの仲間からちょっとずれたところを必死に飛んでいる人たちが驚くほどリアルに描かれていて、いつ落ちてしまうんだろうと、ひやひやして読んでいるうちに、自分が世界からずれているような気がしてきて、それがなんとなく快く思えてくる、そんな本。──金原瑞人(翻訳家)
作中の少年少女を、大人になってから見守るのも楽しいです!
ぜひ、ご一読ください。
(担当NK)
著者プロフィール
- 小嶋陽太郎こじま・ようたろう
- 1991年、長野県松本市生まれ。2014年『気障でけっこうです』で第16回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『今夜、きみは火星にもどる』『おとめの流儀。』『こちら文学少女になります』『ぼくのとなりにきみ』『ぼくらはその日まで』『悲しい話は終わりにしよう』がある。