鴻池留衣さん、三角みず紀さんの新作小説は「すこしふしぎ」な読み味が魅力です。
中上健次文学の新たな像が浮かび上がる松浦寿輝さんの講演、
谷川俊太郎さん×高橋睦郎さん、中島京子さん×キム・エランさんの二つの対談からは、
知的刺激を受けること請け合い。

【小説】鴻池留衣「すみれにはおばけが見えた」
〈モデル、女優の岩下すみれさんが亡くなったことがわかった。27歳だった〉。スマホで訃報を目にした小説家の古賀拓哉は、一刻も早く作品を世に出すべく執筆を始める。拓哉とすみれの出会いは、彼が高校一年生の三月のことだった。

【小説】三角みづ紀「きみさがし」
きみは蜂蜜色のカーテンを開ける。旅先で朝焼けを見る行為は、きみにとって大切な行為だ。一日が動き出す様子を目撃し、きみは満足する。それさえかなえば、その日を成し遂げたと言っても良いほど……。気鋭の詩人が挑んだ、時間と旅の物語。

【熊野大学夏期特別セミナー 講演】松浦寿輝「中上健次の「文」」
“中上健次”と“熊野”。分かちがたいと思われているこの二つを切り離し、その「文」だけ孤立させてみるとどうなるのか。没後30年の昨年、熊野大学のセミナーの一環として行われた講演を載録。見たことのない中上文学が浮かび上がる! 

【対談】谷川俊太郎×高橋睦郎「詩の生まれるところ」
日本詩歌界のレジェンドの二人。その豊かなインスピレーションの源とは? 二人の詩を深く読み込み中国に広く紹介してきた日本文学研究者/詩人・田原氏が進行役となって、幼年時代のエピソードなど、その作品世界の源泉に迫る。

【論考】田原「言葉から言葉へ」
日本語で書いた『石の記憶』でH氏賞を受賞した田原氏。母国語の中国語でも詩を発表し、日本語から中国語、中国語から日本語への詩の翻訳も多く手がける。なぜ母国語ではなく日本語で言葉を紡ぐのか。自身の創作と「詩」そのものについて思考する。

【K−BOOKフェスティバル公開対談載録】中島京子×キム・エラン「小説家としての過去、今、そしてこれから」
K−BOOKフェスティバルにて開催された、小説家・中島京子氏とキム・エラン氏の公開対談を載録。かねてから親交のある2人が、国外への行き来ができなかったコロナ禍の日々を振り返り、お互いの創作について語り合う。

【第47回すばる文学賞】
みずみずしく意欲的な力作・秀作をお待ちしています。募集要項は http://subaru.shueisha.co.jp/bungakusho/  をご覧ください!

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