春爛漫! 今月号から江國香織さんの小説、村井理子さんの書評エッセイがスタート。髙樹のぶ子さんの小説では、平安時代の歌人・小野小町の新たな一面が描かれます。そして奥泉光さん、いとうせいこうさんの文芸漫談でとりあげるのは、日本探偵小説三大奇書に数えられる夢野久作『ドグラ・マグラ』です!

【新連載】江國香織「外の世界の話を聞かせて」
南天文庫は私設図書館のような場所だ。三歳のときにはじめて訪れたはるは高校一年生になったいまも通っている。陽日は文庫の主であるあやめさんの仕事を手伝いながら、彼女と話す時間を楽しみにするようになっていた。

【小説】髙樹のぶ子「我が身世にふる」
小野小町が小説でよみがえる。生涯の記録がほとんど残されていない一方で、和歌の名手として現代まで語り継がれる歌人の後半生を描く。宮廷生活を終え、激しい世の移り変わりを見つめながら、言葉を頼りに生きたひとりの表現者の姿が浮かび上がる。

【小説】椎名誠「鉄塔の人々」
灰汁とガギは、元傭兵と小隊からはぐれた戦闘機械人間の二人組。命令系統から離脱し、国境を目指して旅を続ける。目的の山岳国境には、巨大な人工物が鎮座していて……。

【新連載】村井理子「湖畔のブッククラブ」
翻訳家でエッセイストの村井理子さんの書評エッセイの連載がスタート!  ご自身が翻訳家となるまでを顧みながら、韓国の人気翻訳家クォン・ナミさんの著書『ひとりだから楽しい仕事 日本と韓国、ふたつの言語を生きる翻訳家の生活』をご紹介。

【文芸漫談】奥泉光×いとうせいこう「夢野久作『ドグラ・マグラ』を読む」
日本が戦争に向かうぎりぎりのところ、1935年に発表された本作。当時モダニズム小説を主導したのは、夢野をはじめとするミステリー作家たちだった。複雑怪奇な物語を支える語りの多様性、文章の魅力を探る。

【追悼 加賀乙彦】菅野昭正「小説家の遺産を数えて」
加賀乙彦氏と同じ時代を生き、交流の深かった菅野氏が、『フランドルの冬』を初めて読んだときの驚異を思い起こし、その後の小説をも貫く自由なアマチュア精神の勝利と、「広角の社会的な視野」を持つ作家の偉業を讃え、死を悼む。

【第47回すばる文学賞】
みずみずしく意欲的な力作・秀作をお待ちしています。募集要項は http://subaru.shueisha.co.jp/bungakusho/  をご覧ください!

連載小説、対談、エッセイ、コラム等、豊富な内容で毎月6日発売です。