プロフィール
-
高山 羽根子 (たかやま・はねこ)
1975年富山県生まれ。多摩美術大学卒業。2010年「うどん キツネつきの」で第1回創元SF短編賞佳作を受賞し、デビュー。2016年「太陽の側の島」で第2回林芙美子文学賞を受賞。2018年『オブジェクタム』が第39回日本SF大賞最終候補に選出。2019年「居た場所」で第160回芥川龍之介賞候補。「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」で第161回芥川龍之介賞候補。
担当編集より
第161回芥川賞候補作!
走れ、記憶に追いつかれないように。
「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」
このタイトルにピンときた方もいらっしゃるかもしれません。これはボブ・ディランの名曲「時代は変る」(原題The Times They Are a-Changin’)の冒頭の一節です。
100人が読めば100通りの形をとる今作で、あくまでその中の一人としてのことばですが、 静かに綴られる、個人的な記憶の濁流にのまれるうち、世界の大きな秘密に近づいてしまったように思います。読み終わると、この作品が「時代は変る」の一節をタイトルとしている意味が、ひしひしと迫ってきます。
皆さんは、何を感じられたでしょうか。たくさんの人にこの作品を読んでいただき、伺ってみたいです。ぜひお手にとってみてください。
<あらすじ>
おばあちゃんは背中が一番美しかったこと、下校中知らないおじさんにお腹をなめられたこと、自分の言い分を看板に書いたりする「やりかた」があると知ったこと、高校時代、話のつまらない「ニシダ」という友だちがいたこと……。大人になった「私」は雨宿りのために立ち寄ったお店で「イズミ」と出会う。イズミは東京の記録を撮りため、SNSにアップしている。映像の中、デモの先頭に立っているのは、ドレス姿の美しい男性、成長したニシダだった。
イズミにつれられてやってきたデモの群衆の中、ニシダはステージの上から私を見つけ、私は逃げ出した。敷き詰められた過去の記憶とともに、私は渋谷の街を思い切り走る。ニシダにつかまらないように。
(編集MK)
新着コンテンツ
-
インタビュー・対談2025年11月30日
インタビュー・対談2025年11月30日永井玲衣×頭木弘樹(文学紹介者)「生まれたての言葉と出会う」
言葉について考え続ける永井さんと頭木さん。対話で波打つ言葉の海を、お二人に泳いでいただきました。
-
インタビュー・対談2025年11月26日
インタビュー・対談2025年11月26日村山由佳「動物のことは噓偽りなく書ける。それが私の強みだと気づきました」
愛猫たちとの日々を愛情たっぷりにエッセイに綴ってこられた村山さんが、このたび小説で動物たちと人間を描いたのはなぜなのでしょうか。
-
新刊案内2025年11月26日
新刊案内2025年11月26日I
道尾秀介
「一冊の本」の概念を壊す道尾秀介、2年ぶりの新作。あなたの選択で、結末が変わる。35万部突破の『N』を凌ぐ衝撃。
-
新刊案内2025年11月26日
新刊案内2025年11月26日しっぽのカルテ
村山由佳
舞台は信州の美しい木立の中に佇む動物病院。かけがえのない命をいかに救い、いかに看取るのかを問う、感涙のハートフル・ストーリー。
-
インタビュー・対談2025年11月20日
インタビュー・対談2025年11月20日永井玲衣「言葉との出会いや、それを通して世界とどう出会い直すかを書きたかった」
永井さんがあちこちで行っている哲学対話での出来事を例に挙げたり、心の琴線に触れた詩や短歌を引用したりしながら展開していく本書への思いとは?
-
お知らせ2025年11月17日
お知らせ2025年11月17日小説すばる12月号、好評発売中です!
今年度小説すばる新人賞、抄録掲載! 天野純希さんの新連載、矢野隆さんの対談など本賞出身作家の活躍も見逃せません。