リニューアル第二号の巻頭を飾るのは山田詠美さんの短編小説。
桐野夏生さん、よしながふみさんの刺激に満ちた対談も読み逃しなく!

【小説】
山田詠美「F××K PC」
年齢・性別不詳(実は46歳、女)の作家・山川英々を最近悩ませているもの、それは今はやりの「PC」つまり「ポリティカル・コレクトネス」ってやつだ。〈私が好きなのは、男に凌辱されることです。〉小説をこう書き出して、英々は窮地に陥るのである。

【小説】
金石範「地の疼き」(前編)
小説家・Kは済州島四・三事件をテーマにした『火山島』第2部執筆で苦境に立っていた。済州島に行かねばならない。彼は朝鮮籍のまま42年ぶりの韓国入国を決意した。故郷とは何か? 次第にKの現実を小説の虚構世界が侵食し始めてきて……。

【小説】
椎名誠「ムロト川異変」
終末戦争後の荒廃した世界を生きる灰汁あく百舌もず。〈北政府〉の傭兵時代に知り合った二人が再会し、ムロト川の近くである企みに加担しようとしていた。

【小説】
兎束まいこ「バナナは腐る」
父さんは毎日「僕」にバナナを食べさせる。母さんは帰ってこないまま、もうずっと長いこと夏休みをしている気がする――目に見えないものへの恐怖と停滞に覆われた世界で、少年の目は何を見るのか? すばる文学賞佳作の新鋭による中編小説。

【対談】
桐野夏生×よしながふみ「無限の可能性を秘めた「子ども」の前で」
『燕は戻ってこない』で代理母を巡る波乱を描いた桐野氏と、『大奥』で女系相続が主流となった徳川将軍家を描いたよしなが氏。「子ども」という存在を巡り、創作と社会問題についての対話が深められていく。

【評論】
倉数茂「家父長制社会に「女」という文字を書きこむ――『燕は戻ってこない』論」
人々がそれぞれの階層/文化圏に分断された現代において、一人の子宮を介して巡り合う登場人物たち。その邂逅と、各人の決断はどんな意味を持つのか。桐野夏生氏の新刊『燕は戻ってこない』を論じる。

【対談】
服部文祥×角幡唯介「不確実性のなかで見出す解」
本誌連載『裸の大地 第一部 狩りと漂泊』刊行記念対談。角幡氏が2018年におこなった75日間の狩猟漂泊をまとめたこの新刊を服部氏はどう読んだのか。いま二人が抱く、冒険や狩猟に対する考え、表現に取り組む姿勢とは。

【対談】
ヤマザキマリ×ニコル・クーリッジ・ルマニエール「〈人類三千年の幸福論〉失敗や破綻はすべて過去に書いてある――」
漫画家・ヤマザキマリ氏と、大英博物館で初の大規模な「マンガ展」を成功させたキュレーターのルマニエール氏が、人類が直面する困難に立ち向かうヒントを探る。

【国際交流基金 共同企画】 
「会えない時代の往復書簡 小野正嗣×ブライアン・ワシントン編2」
実は二人が会っていたことが判明した前回。出会いの場かつブライアンの故郷であるヒューストンを舞台にした短編「雨が上がったら」を中心に、多様な人々が困難の中で共生する可能性を考える。

連載小説、対談、エッセイ、コラム等、豊富な内容で毎月6日発売です。