【一部抜粋】小説すばる『HiGH&LOW』10周年記念特集スペシャル鼎談 AKIRA(EXILE/EXILE THE SECOND)×川村壱馬(THE RAMPAGE)×平沼紀久(脚本家・監督・演出家)「ふたつのフェーズ、『新世界』へ」
『HiGH&LOW』の衝撃から十年――。
想像以上の世界の始まりである、第一フェーズを象徴する人物・琥珀を演じたAKIRAと、世界をさらに拡大した第二フェーズ、『HiGH&LOW THE WORST』で主人公・花岡楓士雄を演じた川村壱馬。
最終章『新世界』で、ふたつのフェーズはついに共鳴する。
数多の熱狂的なファンに支持され、無限の広がりを見せるこの世界はどこへ向かうのか。
物語を紡ぎ続けてきた平沼紀久とともに、さらなる『新世界』への扉を開く。
構成/藤谷千明
撮影/矢吹健巳(W)
スタイリスト/渡辺康裕(AKIRA担当)、吉田ケイスケ・室井悠(川村・平沼担当)
ヘアメイク/CHIE (H.M.C)(AKIRA担当)、oya(川村担当)、Ayako Ueno(平沼担当)
気がついたら十年経っていた
――二〇二六年で『HiGH&LOW』シリーズは十周年を迎えました。
AKIRA 映画やドラマにとどまらない「三六〇度エンターテインメント」を掲げ、さまざまなチャレンジを重ねた十年でした。あらためて振り返ると、よくここまでやってこられたなという規模のプロジェクトばかりで……。
平沼 当初、HIROさんと「十年続いたら、この作品は本物になるよね」と話していました。とはいえ、単に「十年続ける」ことを目指したんじゃなくて、一つひとつの作品に愚直に向き合って走り続けた結果、「気がついたら十年経っていた」というのが率直な感想ですね。
――川村さんは、「ずっと『HiGH&LOW』に出たかった」と公言されていますよね。最初に『HiGH&LOW』のことを知ったのは?
川村 十二、三年くらい前ですね。会社(LDH)に挨拶に行ったとき、オフィスの一角に「HiGH&LOW」と書かれた看板があったんですよ。直感的に気になって、スタッフさんからプロジェクトのことを教えてもらったんです。その時点で「絶対出たい!」って思いました。当時はまだ、THE RAMPAGEとしてデビューもしていなかったのに(笑)。
AKIRA 壱馬らしいね(笑)。
川村 だからドラマのSEASON 1も、放送前からすごく楽しみにしていました。実際の『HiGH&LOW』は、スケールも面白さも、自分が想像していたものをはるかに超えてきた。もう毎話、ワクワクでしたね。「これだ!」っていう感じで。それで、「この作品に出たい」という気持ちがもっと強くなっていきました。
――『HiGH&LOW』は日本の映像作品としては規格外のアクションやスケール感が当初から話題になっていました。プロジェクト立ち上げの際から中心にいて、当時から俳優活動もおこなっていらっしゃったAKIRAさんはそれをどう捉えていましたか。
AKIRA 今でも覚えているのは、撮影初日にセットに入ったとき、「自分の夢、かなったな」と思ったんです。当時の僕は、ハリウッド映画のような大作を求めてオーディションを受けたりしていたんですが、『HiGH&LOW』の現場に行ったとき、その夢はもうかなってしまった、と思えるぐらいのスケール感だった。すごく誇らしかったですね。
――川村さんは当時、AKIRAさんや平沼さんに、作品をご覧になった感想を直接伝えたりしたのですか?
川村 その頃はAKIRAさんや平沼さんとご一緒できるタイミングもそこまでなかったんです。EXILE THE SECONDさんの初アリーナツアー(EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2016-2017 “WILD WILD WARRIORS”)にTHE RAMPAGEでご一緒させていただいたりはしていたんですけど、もう雲の上の人、憧れのお兄さまがたという感覚で見ていました。
AKIRA そんなふうには感じてなかったのですごくうれしいね!
平沼 よく話すようになったのは、「HiGH &LOW THE LIVE」(二〇一六年に、福岡・大阪・愛知・東京のドーム会場で開催。『HiGH&LOW』の世界観をライブで表現し、LDH所属アーティストの出演だけでなく、アリーナ全体を使った豪華なカーアクション演出なども話題を呼んだ)あたりだったよね。THE RAMPAGEは当時一番若いグループだったし、ドームを舞台にとんでもない規模のステージが組み上がっていくなかで、「もうやるしかないです!」という感じだった(笑)。
川村 いきり立ってましたね(笑)。
日本の『HiGH&LOW』って知ってるか?
――そして川村さんは『HiGH&LOW THE WORST』で待望の『HiGH&LOW』シリーズに参加。しかも花岡楓士雄という主人公を演じることになります。
川村 僕は責任のある役回りに就くことが、プレッシャーよりもモチベーションに変わるタイプなのでうれしかったですね。もちろん、『HiGH&LOW』の歴史、鬼邪高の歴史にもリスペクトがあります。SWORDのチームのなかで唯一、LDH所属のメンバーが入っていないところからスタートして、山田裕貴くんたちが作り上げたのが鬼邪高ですよね。それもあって、撮影中は裕貴くんともいろいろ話をさせてもらいました。そこに対しての責任感やプレッシャーはありましたけど、『HiGH&LOW THE WORST』のど真ん中に立つとなったら「もうやってやる!」と、逆にギアが入りました。
――AKIRAさんの目に、『HiGH&LOW THE WORST』はどう映っていましたか。
AKIRA 『HiGH&LOW』の理念を継承しつつも、『HiGH&LOW THE WORST』ならではの世界観を描いていたのが、すごく新鮮でした。フレッシュさあふれるアクションとか、壱馬を筆頭に、あの世代ならではの空気をすごく感じましたね。そうそう、当時僕は海外にいることが多かったんですけど、そこで「『HiGH&LOW』見たよ」と言われるとき、我々のシリーズはもちろん、『HiGH&LOW THE WORST』の話題も必ず出てくるんですよ。
平沼 海外にも高橋ヒロシ先生のファンが多いというのもあるよね。
AKIRA それもあるし、海外だと、Netflixさんの力もあるんですけど、そもそも「日本にハンパない学園もののアクションがある」ということで、『HiGH&LOW THE WORST』自体が知られている。特に中華圏ではそうでしたね。そこから遡って、僕らの『HiGH&LOW』を知ってくれるようで、「日本の『HiGH&LOW』って知ってるか?」と聞かれて、「俺、出てる出てる」って(笑)。それに鬼邪高のあの、眼鏡の子がすごく人気で……。
平沼 轟?
AKIRA そう、轟がすごい人気なの。
川村 海外のファンのかたは、また視点が違うんですね。それに十年経つと世代の違いも生まれてくる。僕としてはオリジナルはあくまで先輩がた、という感覚だったんですが、本当にいろいろと変化していくものなんですね。
AKIRA 『HiGH&LOW THE WORST』で、若い世代にもぐっと広まった感じがあります。僕らの『HiGH&LOW』のときは、自分たちの世代はもちろん、ストーリーが大人にも刺さった。四十代、五十代の人たちが「ちょっと懐かしい」と感じる昭和の匂いや、不良の良さがある作品だったと思うんです。あるいは、アニメや漫画が好きな、いわゆるオタクと言われているようなみなさんが『HiGH&LOW』のキャラクターのファンになってくださったり、コアなファン層に刺さった感覚がありました。『HiGH&LOW THE WORST』はそれがより万人受けしたというか、壱馬たちTHE RAMPAGEの力もあって、若い世代へとファン層を広げてくれたような印象がありましたね。
「余白」が生んだオリジナル小説
――いわゆるオタクのかたにも刺さったというお話がありましたが、それが今回の「小説すばる」の大特集にもつながったのではないでしょうか。『HiGH&LOW』好きの作家さんや漫画家さんがたくさん参加してくださっていて、一人ひとりの熱量が半端なく、シリーズに対する深い愛情を感じました。
平沼 先日、オリジナル小説の原稿を読ませていただいたんですけど、「ここをこんな風に解釈するんだ」という楽しみが随所にありました。気づいたんですけど、作家さんや漫画家さんのかたがたに『HiGH&LOW』を好きになってもらえた理由のひとつは、もしかしたら「余白」なのかもしれません。『HiGH&LOW』はこれまでLDHのアーティストのミュージックビデオを撮ってきた久保茂昭さんが監督を務めていて、彼には歌詞の世界観に合わせてどのようにでも解釈できる絵作りをしていく、という感覚があるんです。もちろん、楽曲ごとにテーマはあるんだけど、「これはこうです」という直截的な答えは示さない。見る人自身がさまざまなことを想像できる絵作りとストーリー作りをしてきたので、その余白が刺さってくれたのかなと。
――想像の余地が生まれると。
平沼 そもそも『HiGH&LOW』って、俳優が脚本に書かれている以上のバックボーンを自分で作り込んで現場にやってきて、演じていくんです。
AKIRA それで僕は琥珀というキャラクターを作っていく際に、自分が思い描く理想の不良像を演じたいと考えて、まず理容室に行って、「菅原文太さんにしてください」って角刈りにしたんです。
平沼 名だたる不良が通っている有名な理容室なんだよね。AKIRAのその話から、山王商店街の理容室「ピューマ」が生まれたり。
AKIRA 自分の考える不良の後ろ姿って首が太いんですよ。だからそれが強調されるように計算して角刈りにしていたんです。体も十キロくらい大きくして。
平沼 これはファンの間でも有名な話なんですけど、AKIRAは琥珀を演じるときに、毎朝頭を塩水で洗ってから撮影現場に来てたんです。「琥珀の髪は絶対にゴワゴワしてるから」って。
AKIRA なかなかしっくりくる整髪料がなくて、「なんかねえかな」と思ったときに、海で泳いだあとの髪質がすげえしっくりきたんですよ、自分のなかで。あのバサバサした感じのね。
平沼 今回、小説を読んでいて、そういうところに作家さんが食いついてくれてるっていうか、そこからストーリーを想像して膨らませてくれているんだろうなって感じて。小説は、俳優が持ってきたバックボーンを想像力で言語化していく作業なんだなと。読んでいてすごく楽しかったし、うれしかったですね。
「小説すばる」2026年10月号より一部抜粋掲載
本誌では鼎談の続きのほか、『HiGH&LOW』を愛する作家たちが魂を込めた拳で書き上げたオリジナル小説や『HiGH&LOW』への熱い想いを語るエッセイ、豪華漫画家陣による描き下ろし挿絵などもお楽しみいただけます。
シリーズ最終章
映画
『HiGH&LOW THE 新世界』
【公開】2027年
【監督】久保茂昭、平沼紀久
【出演】AKIRA、NAOTO、白濱亜嵐、
川村壱馬、吉野北人 ほか

AKIRA(アキラ )◉ EXILEおよびEXILE THE SECONDの中心メンバー。EXILE TRIBEのリーダーとして一族を牽引し続ける。俳優としては09年の初主演映画『ちゃんと伝える』で日本映画批評家大賞新人賞を受賞。10年、中国公開のアンドリュー・ラウ監督作品『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』で海外映画デビュー。16年公開の『HiGH&LOW』では、伝説のチーム「ムゲン」の総長・琥珀として主演を務めた。23年からは「LDH愛夢悅」の代表取締役社長CEOを務め、台湾版紅白歌合戦「超級巨星紅白藝能大賞」への出演も果たす。さらに日本を代表して中国の大人気大型歌唱リアリティーエンターテインメント番組「Call Me By Fire」新シーズンにも出演。日本国内のみならず、アジア、世界に向け、活動の場を広げている。
川村壱馬(かわむら・かずま )◉ THE RAMPAGEのヴォーカル。14年「VOCAL BATTLE AUDITION 4」にて候補メンバーとして選出され、同年、正式メンバーとなる。17年、1stシングル「Lightning」でメジャーデビュー。25年には「零」としてソロデビューを果たす。俳優としては、18年にスタートした「PRINCE OF LEGEND」シリーズでデビュー。19年公開の『HiGH&LOW THE WORST』では、鬼邪高全日制の“頂点”を目指す主人公・花岡楓士雄役を務めた。
平沼紀久(ひらぬま・のりひさ )◉ 俳優として活動するかたわら、『HiGH&LOW』シリーズ全作品の脚本を手掛ける。18年『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』で長編映画監督デビュー。26年上演の舞台『HiGH&LOW THE 戦国 外伝』では演出も担当するほか、27年公開予定の映画『HiGH&LOW THE 新世界』では久保茂昭氏とともに監督を務める。
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